64.士気高揚
健吾はあっという間に建てられていく施設から視線を戻し説明を始めた。
目の前にはきれいに整列した騎士たちと看護師さんたち。
「知っている方もいると思いますが改めて自己紹介を。私はクスモトケンゴと申します。」
「この世界ではケンゴ・クスモトになるようなのでケンゴとお呼びください。」
「少し前に召喚魔法でこの世界・・エルシオンとは違う世界から来ました。」
「おおお」
今城で話題になっている当人に異世界から来ましたと言われ、さすがにざわつく。
「元の世界で少しばかりダンジョン攻略やレベル上げについて知識がありましたので、王太子殿下の推薦で皆さんのレベル上げの支援をさせて頂く事になりました。」
「短期間で効率良く、かつ安全に、が目標です。皆さんよろしくお願いします。」
やる気のありそうな騎士さん達とやや不安そうな顔の看護師さんたちからも熱烈な拍手をもらう。
やはり騎士さんは強くなりたいと言う想いが強いのかこういうイベントには貪欲だ。
看護師さん達はこの先悪魔の巣のせいで患者が増えた時の為に、少しでも強い魔力と豊富な魔力量が必要なのでその為のレベル上げなのだ、と納得してもらっている。
「では早速ですがレベル20台の騎士さん6人と看護師さん1人の7人パーティーを組んでもらいます。」
「その護衛パーティーとして高レベル者さん5人が付きます。」
「7人パーティーと護衛パーティー5人の12人を1パーティーとして5組編成します。」
「そして最初に5組全員で最下層のボス部屋扉前まで行き、1パーティーづつ入っていきます。」
「ボスを倒すと10分でボスが新たに出現し、各階の魔物も沸きます。」
「ボスを倒したパーティーは魔法陣で入口に戻り、準備を整えてまたボス部屋を目指してください。」
「これを繰り返していく事になります。」
編成の話はケビンたちと何度も話し合った事なのでスラスラと話す事が出来た。
「基本的にボス部屋の扉前に待機する時間が多くなるので、ボス部屋前にも少し無理矢理ですが休憩施設を作って貰える事になっています。」
「アンデッドが主体のダンジョンなので安全地帯と言えば聖域。なのでこの人をお呼びしました!」
健吾がリックと共に乗って来た馬車に手のひらを向ける。
騎士や看護師さん、そして説明を聞いていた周りの人が一斉に馬車を見る。
御者さんが扉を開けると。
「おおおおお!!」
割れんばかりの大歓声。
「皆さまごきげんよう。わたくしも是非協力させて頂きますわ。」
姿を現したのはご存じゴールドランド王国筆頭聖女リリィだった。
愛嬌たっぷりの笑顔に全員大興奮。
「えっ!聖女様いつの間にこんな人気者に!?ぐほっ!!」
降りてきたリリィに笑顔でエルボーを脇腹に入れられる。
実は出発直前に顔を隠したシスター姿の女性がそそくさと馬車に乗り込んできたので、誰かと思っていたらリリィだったのだ。
副団長のリックに無理を言って乗せてもらったらしい。
「置いていくなんて酷いですわ!わたくしもレベルを上げて頂いた恩をお返ししたかったのに!」
と、馬車が動き始めてからもぷりぷりと可愛く怒っていたので、急きょボス部屋前の安全地帯作りに協力してもらう事になった。
レベル30を超え、魔法の威力、魔力量、魔力操作レベルも上がって魔力消費軽減に魔力回復速度アップすらも身につけた彼女はよほどのことが無い限り魔力切れにならず、城の医療塔や街の神殿でも患者を癒しており、絶大な人気を得るまでになっていた。
「ちょこちょこ遊びに来てとんかつ食べてただけじゃないんだ・・ぐぼぁ!!」
首にエルボーの貴公子ばりのイイものを喰らって悶絶する。
「では行きますわよー!」
「おおおー!!」
リリィの掛け声の後、女神に祈りを捧げるとキラキラとした星屑のようなエフェクトがパーティー全員に降りかかった。
・・人物紹介・・
楠本健吾 レベル24 火魔法使い 元社畜廃人ゲーマーおじさん
リリィ・ノーブレット レベル31 聖魔法使い 筆頭聖女 勇者PTの聖女の妹
婦長さん レベル23 聖魔法使い 療養塔の婦長
新人さん レベル21 聖魔法使い 聖女見習い 療養塔で修行中
騎士さんx4人 レベル20台後半 第二騎士団員 最初のレベリング参加者
スティング レベル90 風魔法使い 筆頭宮廷魔導士 王太子派
ケビン・エーリック レベル??? 第一王子 王太子 第一騎士団長




