53.本気
https://x.com/talkback2278/status/2010649942818525538
友人が作ってくれたあらすじ紹介の動画です。
Xに載せてますので是非どうぞ
ケビンと魔道具の話でまた盛り上がりつつ健吾の部屋の前に到着した。
ドアを開けようとしてピタリと止まる健吾。
ただならぬ雰囲気にケビンが周囲を警戒しながら話しかける。
「おや・・・、どうしたんだい?」
「殿下・・・。」
「もしかして・・・。」
ゆっくりケビンへ振り向く。
「魔道鳩って魔道具ですか!?」
「・・・はぁ?」
「そ、そりゃあ「魔道」って付いてるしね。紙に書いた文字が鳩になって飛んで行くなんて魔道具そのものだと思うよ。」
「あ、ああああ・・。僕それ最初に行ったダンジョンでめっちゃ使ってました・・・。スティングさんに連絡手段として教わってたんです・・・。魔道具初めて見たとか言って恥ずかしい・・・。」
「ま、まぁ・・・、国宝級のマントを見れば、誰でも使える魔道鳩の事なんて吹っ飛ぶものさ!」
「そ、そうですよね!?」
「はっはっは!そうだとも!」
ケビンの苦し紛れで雑な慰め方に納得したのか機嫌が戻り、部屋のドアを開ける。
「お疲れさまでした、ケンゴさん。」
「あれ、スティングさん来てたんですね、後で会いに行こうとしてたんです。」
そこにはスティングが珍しくお供のマナ・ナミを連れずに一人で椅子に腰かけていた。
「・・・まぁ多分、それを見越して殿下がココへ呼び出したのでしょう。」
「おおー、なんかすごいですねぇ、殿下は先読みのスキルでもお持ちです?」
「いや全然、マントで隠れてあちこち見てるから予想しやすいだけだよ。」
「・・・殿下、マントを使うのはいいですが解除する所を絶対に見られてはいけませんよ、国宝であるこのマントの存在を知っているのは陛下と諜報部と私だけなのですから。」
「えええ!それって宰相様とか騎士団長とかの超お偉いさんたちですら知らないって事ですぅ!?」
「そそ、そもそもこのマントを宝箱から入手したのスティング君だしね。」
「はい、ソロで中級ダンジョンボスを倒した時の宝箱からでしたね。それで内密に殿下に献上したんですよ。」
「いやぁありがたかったねぇ。愚弟デビッドの婚約破棄事件の後だったから余計にね。デビッドを唆した派閥の割り出しに役に立たせてもらっているよ。」
「まぁもうほとんど終わっちゃってるけどね。(ニヤリ)」
「お、おお・・・。」
また悪い顔をするケビン。
「せっかくケンゴ殿がこの世界に来てくれて活躍し始めたというのにねぇ、なぜかそれを良く思わない貴族たちがいるんだよ。」
「そ、そうなんですか・・?」
「そうなんだよねぇ、おかしいでしょ?お前ら魔族と内通でもしてんの?って位邪魔するんだよね。」
「その邪魔をする貴族たちがデビッド元殿下を推していた派閥でしたからね、全く。」
「うん、僕を蹴落としてデビッドが時期王位に就いて欲しかったみたいだが、弟がバカな婚約破棄をやらかして自滅したからねぇ。」
「それから時間をかけて悪巧みしている所に、僕と親しいスティングがケンゴ殿を召喚した。」
「そしてそのケンゴ殿が期待通りに活躍し始めたので、ヤツらは大いに困った。」
「で、今日騎士団のレベルアップ話まで提案してくれたので、間違いなくケンゴ殿の身辺警護が必要になると思ってね、僕自らが監視してたんだよ。」
「まぁこんな感じだね。(バチン!)」
「い、いやいや!ウインクしてる場合ですか!・・王太子自ら警護ってかなり間違ってますから!」
「あはは、今回だけだよ、次からは諜報部の精鋭を二人ほど付けるのでよろしくね!」
「は、はぁ・・、しかし・・・国も人も一つになって危機に立ち向かわないといけないのにめちゃくちゃ足引っ張る人達がいるって・・・どういう思考してるんでしょう。」
「全くです、未曽有の危機・・・とまではいきませんが、この先悪魔の巣の対処が遅れれば必ず国家存亡の事態へと発展すると、私も殿下も会議で何度も言ってるんですけどね・・・。」
「だねぇ、こんな時でも人類は一枚岩にはなれないんだなぁとある意味感心したよ。」
「だからもう足引っ張るヤツら、いらないよね。」
さっきまでおちゃらけながら話していたケビンの顔から笑顔が消えた。
怒りもなく、ただただスンっとなったみたいな無表情。
あ、これは本気になった時にする顔だな、と健吾は身震いする。
「ケンゴ殿には国の汚点の話ばかりで申し訳ない。騎士団の話、くれぐれもよろしくお願いする。」
ケビンは真面目な表情のまま健吾に頭を下げる。
「うわああ!国の王太子殿下が頭を下げてはダメです!ま、任せてください!高速パワーレベリングってのを披露致しますから頭を上げてえええ!」
「そう?じゃあ頼むね!」
今までの真剣な表情はどこへやら、ペロりと舌を出しながら頭を上げてにこやかに笑う。
ガクッと関西芸人風にズッコケる健吾とスティング。
ケビンはその後の事をスティングに任せて姿を消して出て行った。
「王太子って、すごく大変なんですね・・・。」
「王子が多いとどうしても派閥が形成されますからね、ですがさすがにやり過ぎです。」
そう言うスティングもいつもの笑顔はなく無表情になって天井を見つめていた。
「ひぇ・・・。」
(ああ、最も怒らせてはいけないタイプを二人も怒らせてしまった感じですなぁ。南無・・・。)
明日からのケビンとスティングの行動が末恐ろしくなる健吾であった。
・・人物紹介・・
楠本健吾 レベル19 火魔法使い 元社畜廃人ゲーマーおじさん
リリィ・ノーブレット レベル31 聖魔法使い 筆頭聖女 勇者PTの聖女の妹
キョウコ レベル50+ 風魔法使い 序列3位 魔法研究派 引きこもり
スティング レベル90 風魔法使い 筆頭宮廷魔導士 王太子派
ケビン・エーリック レベル??? 王太子 第一騎士団長
ケリー・エーリック レベル??? 第二王子 第二・第三騎士団長 脳筋
マイク・エーリック レベル??? 第三王子 勇者 魔王討伐後悪魔の巣駆除の旅へ
公爵令嬢(???) レベル??? 元筆頭聖女 勇者PTの回復役 リリィの姉
デビッド・エーリック レベル??? 元第二王子 身勝手な婚約破棄騒動で廃嫡・国外追放
男爵令嬢(???) レベル??? デビッドの浮気相手 国外追放




