表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/28

あったかもふもふお料理はいかが?



 魔族の脅威は去り、世界を救ったヒスイには新たな目的ができた。それは、ユウシャの家を自分がいなくても、人気を継続させること。


 だから、ヒスイの料理の腕をジェイド、アニーシャ、ペイの三人に叩き込む。ジェイドはヒスイと方向性は違えど料理はできるのだ、特に聖女と熊幼女の二人。


 料理を作るのではなく、教える。それはヒスイにとって初めての試みだったが……初めてゆえに、腕がなる!



「ヒスイ様、待ってくださいよぉ」


「さあせっせと歩いて! 時間は有限、無駄なく使わないと!」



 ヒスイは、いずれ元の世界に帰る。しかしそれは、今ではない。三人に、自分の味を伝えて……この世界に、あの味を浸透させる。そうしてこそ、真に世界を救ったと言えるだろう。


 ヒスイが、三人に味を教えたあとは……きっと三人が、それぞれの道を進んでいくに違いない。ネズミ方式に、一人また一人と、味を継いでいく者が増えていく。


 そうなれば、この世界の料理も……レベルが、格段にあがる。それは、この世界を去ったあとでも、ヒスイにとっては嬉しいことなのだ。



「さあ、やるよみんな!」


「ま、待ってくださいヒスイ……その前に少し、もふもふタイムを設けてください」


「なんですかそのタイム! そんなのありません!」


「ううん……いや、今日は……いいよ! 許す! 存分にもふもふしなさい、アニーシャを!」


「なん、ですと!?」


「だってペイちゃんじゃR指定入っちゃうからさ、絵面的に」


「あーる……?」


「いや、わかんないですし、私だって嫌なん……ちょっ、ジェイドさん? なにを、手をわきわきさせてるんですか!」


「もふもふ、もふもふ……もふー!」


「キャー!」


「はいはーい、ペイちゃんはあっち行ってようねー」


「え、あ、うん」



 騒がしい店内……それは、一つの理想でもあった。この世界の人々と、魔族と、異世界の人間と。本来交わるはずのなかった、者たち。


 しかし今、こうして笑い合うことができている。それはきっかけは、ヒスイが動いたからかもしれない……しかし、彼女らを繋げたのは、その心だ。心があったかくなれば、人は優しくなれる。心をあったかくするには、あったかい料理を食べればいい。


 ただあったかいだけでなく、身に染みる……いや、心にまで染みる料理。それを作り、提供したことこそが……みんなを、あたたかくして、ハッピーにさせた。


 そうだ、ヒスイが作っていたのはきっと、ただあったかいものではなく……人々を幸せにするための、あったかいものだ。


 これからもヒスイは、聖女と、熊の幼女と、もふもふ好きの変態魔族と……料理を、作っていく。この世界を、あったかくするために。



 カランカラーン



「おっ、お客さんだ。ほら二人とも、じゃれてないで準備して」


「だ、誰のせいですか!」



 店の、戸が開く。


 今日もまた、ユウシャの家は……人々の心をあたたかくするべく、開店する。



「いらっしゃいませー、ユウシャの家へようこそ!」

もふもふ企画、完結しました!

年末からここまで、思いの外時間がかかったなぁ……けれど、やりとげましたよ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 完結お疲れ様です!!! 勢いよく最後まで読みました!!!そして、笑いました……。お腹痛い、痛いよぉ……。沸点が低いのは自分で理解してたけど、これは一気に読まないとダメだ。1つ1つだとツボに…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ