10-6:複合技
今回もちょいエロ回です。
元旦からちょいエロです。
しかしこの動画、講座の態をしているが見ようによってはかなりエロい代物だ。縛られ役の織姫は普段着のジャージだから肌の露出こそしていないが、縄を巻かれれば体の線が露わになる。そして『軽くMが入っている(清一郎談)』からか、次第に織姫の表情と声に艶が含まれてきて――待て、ムスコよ。落ち着け――『生理反応再現』をオフにしなければ視聴を続けるのが困難な有様だった。
あと、なんかだんだん梓も嬉しそうで楽しそうな顔になっているような気がする。普段は縛るだけで終了、加虐趣味は無いとの事だったが……これをきっかけに目覚めてしまったか? いや、そんなことはないよな? うん、ないない。ないという事にしておこう。
『縛り終えの姿勢、体重のかかり方、吊るす時はどこを支点にするのかも重要』
とうとう椅子やらポールに固定する縛り方や、滑車を使って天井から吊るす際の縛り方まで披露し始めた。梓の所の天井に何故ポールと滑車があるのかは謎だ。
そうして一通りの縛り方を紹介し、荒い呼吸でぐったりしている織姫を他所に『最初に言ったように関節の可動範囲の見極めが大事。そこに余裕を持たせれば痛くない普通の緊縛にも応用できる』と締めくくるかと思いきや、
『最後に複合技を見せる』
『ええ、まだやるのぉ……』
『予定外だけどこの流れならやるしかない。最後だから、織姫ガンバ』
『仕方ないわねぇ』
まだあった。
渋々といった言葉を口にしながら、しかし縛られるのに協力的な織姫。
淡々と縄を捌く梓……いや、織姫の背後に回った時、はっきりと口角が上がったぞ。笑ってやがる。こいつはとんでもない縛りになる。そんな確信めいた予感があった。
果たして、大変満足げな顔の梓が『ふう』と息を吐いて手を止めた時、織姫は複雑怪奇な緊縛姿でポールに固定されていた。踵が腿裏に付くように折り畳んで縛られた両足で膝立ちという不安定な姿勢。しかし背面側で纏めて縛った両手がポールを抱き込んでいるから倒れたりはしない。鉢巻っぽく頭部に巻かれた縄が髪を絡めながら後ろ向きのテンションを掛けていて、織姫は喉を晒して僅かに仰け反っている。それがまた縄で絞り出された胸をいやらしく強調していた。その他数本の縄がポールを巡っているのだが、弛んでいるのもあって、縛る過程を見ていたのにどういう意味があるのか俄かには理解できない。
でも……なんだこの縛り方。
“痛い縛り方講座”の最後にしては――『これで終わりなの? ちょっと苦しい姿勢だけど痛くはないわね。あ! まさか城太郎へのサービスカットなの!?』――今すぐムスコと遊びたくなるようなエロさはあるものの、織姫に痛がる様子は無い。
『まだ終わってない。これを引っ張れば完成する』
『あら、そうなの?』
『織姫覚悟して。これかなりキツイと思う。多分拷問にも使える』
『じょ、冗談でしょ? 冗談よね?』
『縛る時はいつも本気』
『あ、梓!?』
『でも痛いだけだと織姫が可哀そうだから、今回は一工夫した』
『ほっ……』
『気持ち良くなれるにしてある。多分成人指定されるレベル』
『はあ!? ちょ、待ってよ! これ城太郎が見るのよ!?』
『問答無用。はい』
ぐいっと、梓が縄を引っ張って。
その後どうなったのか、詳細は織姫の名誉の為にも伏せておくべきだろう。
そして清一郎が以前梓について言っていた“軽くSが入っている”というのは大間違いだと思う。それとももともとはその通りで、この動画の撮影中に新たなステージに進んでしまったのか。最後の縛りが予定外だったのだとすれば後者の可能性が高いか。つまるところこの複合技とやらは軽くSが入っている程度の人間が実行できるような生易しいものではないえげつなさだったのだ。
複合技とは良く言ったもので、ある部位に発生した痛みを和らげようと姿勢や重心を変えると別の部位が痛むように連動しており、しかもそうと判っていても反射的に逃れようとしてしまうくらいの激痛らしい。結果、ポールに固定された不自由な体をウネウネと蠢かし続けることとなる。そしてその動きによって織姫のとある部位に食い込んだ縄が前後にスライドする。ご丁寧に結び目で作った瘤付きだ。温情として施された“気持ち良くなれる”要素がこれらしい。
『梓! や、やめ! あっ……うぅん! 痛い! 洒落にならないから! く、う……なにこれどうなってるの!?』
拷問に使えるというのも誇張ではないと思う。梓の解説を掻き消してしまう程、織姫の声は切羽詰まっている。
『解説中。織姫うるさい』
『んぐっ!?』
『織姫、噛んだら駄目だよ。噛んだら……延長』
『んんー!!』
梓、容赦無しか。
織姫の口にぶっといソーセージを深々と突き刺しやがった。
このソーセージも謎だな。常備してるのか?
『ふう、静かになった。織姫はコレが大好きだから咥えさせておけば大人しくなる』
いつだったか聞いた覚えのあるセリフ。
薄らと笑みを浮かべ、ソーセージを前後に動かしながら、口調だけは淡々としたまま解説を続ける梓は怖い。しかし画面から目を逸らせない。梓が怖い以上に、織姫がエロいからだ。
『以上、解説終わり。あ、織姫も終わってた』
解説が終わる間際に激しく痙攣して力尽きるところをしっかり確認してたのを俺は見逃してないからな? それを終わってたって……。
『この複合技は一例に過ぎない。組み合わせは無限大。緊縛道に終わりは無い。城太郎も研鑽に励むように』
しかも織姫を放置してなんだか良い感じに締めやがった。
時折梓の織姫に対する扱いが雑になるのは今までにもあった事だが、今回のこれは極め付けだ。
『終わったらすぐに解く。解くまでが緊縛道』
お、おう。
家に帰るまでが遠足みたいなノリだな。
すぐという割には多少放置気味だったが。
ともあれ緊縛の達人は縛るのも速ければ解くのも速い。
あっという間に自由を取り戻した織姫は、
『あ、梓ー! あんたなんてことしてくれたのよー!』
梓の胸倉を掴んで吊し上げ、ガクガクと猛烈な勢いで前後に揺さぶった。
『判ってるの!? これ見るの城太郎なんだからね!? 私城太郎にイ……く時の顔を見られるなんて嫌だからね!』
済まん織姫。バッチリと見てしまった。
ん?
冷静に考えれば、この動画、知り合い程度の異性に見せて良い内容じゃないよな? だったら最後の複合技の部分だけでもカットすれば良いのに、なんでそのままなんだ?
『こ、これは真理恵のため。真理恵くらいになるとこれくらいは必要。織姫は真理恵のための尊い犠牲になった』
『勝手に犠牲にしないでくれる!?』
『むう……なら織姫、撮り直す? 気持ち良いのは無しで』
『アレはもう嫌!』
『じゃあこのまま使うしかない』
『でも……』
『真理恵のため。これは真理恵のため』
『く……』
『師匠なら弟子のために多少の泥を被るくらいでないと』
『弟子のために……ああもう判ったわよ!』
……なるほど、こうやって織姫を言い包めたのか。
梓、凄いな。
『城太郎!』
「はい!?」
画面越しにいきなり呼びかけられて思わず返事をしてしまった。
『城太郎』
胸倉掴んで梓を引き摺りズンズンとカメラに寄ってくる織姫。
ガッとカメラを掴んで更に寄る。
画面は織姫の顔のドアップだ。
これだけアップになっても粗がないんだから織姫は本当に美人だよなぁ。
……などという感慨を吹き飛ばすようなドスの効いた声で、
『この動画を渡すのは真理恵のためで、城太郎のためのじゃないんだからね! だから……その……ナニをするのには絶対に使わないでよ! いいわね! あと内容に関して他言は厳禁! 見せるなんて以ての外! もしも他所に漏らしたりしたら……潰すからね!』
一息で言い切って、そこで動画は終わった。
ふむ。再生は俺のアカウントに限定するロック付きで、“清一郎を含めた他者に漏らせば法的な制裁も辞さない”か。そりゃそうだな。こんなの弟や見ず知らずの他人には見せられまい。弟子の為、で俺に見せるのを許容したのだって驚きだ。
織姫よ、この動画は必ず真理恵さんのために役立ててみせるぞ。
……が、その前に。
『生理反応再現』をオンにして。
もう我慢できない。ムスコと遊ぼう。
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次の機会でさっそく真理恵さんのために役立てる事ができた。
動画を見せるのは禁止なので口頭での説明しかできなかったが、そこは縛られ上手な真理恵さんだ。複合技はさすがに無理でも単発技なら上手く合わせてくれた。
そしてとても悦んでいた。
ただまあ、関節技と打撃技で痛みの種類が違うように、縄で得られる痛みは鞭のそれとは違う訳で、まだまだ完全とは言えないのが歯がゆいところだ。
梓と織姫に直接礼を言いに行くのは止めておいた。
織姫をネタにしてムスコと遊んだのは後悔していないが、あんな動画を見た直後に本人を目の前にしたら挙動不審になる自信があるし、問い詰められたら誤魔化せる自信は無い。ほとぼりが冷めるまで会うのは避けるべきだろう。
という訳で礼は清一郎経由で一先ず済ませた。
その際清一郎が「あの動画を撮った後、姉ちゃんと梓がなんだかギクシャクしてるんだけど……」と動画の内容を気にしていたけれど、織姫の名誉のため、そして俺が制裁を受けないために沈黙を守ったのは言うまでもないだろう。
そんなこともありつつ、ゲーム攻略も真理恵さんとの関係も少しずつ進展させていたある日の事、豊さんからのお報せがあった。
「雄二がログインしてくるぞ!」
と。
今回の更新はここまでです。
初回の投稿が2019年一月一日なのでちょうど一年が経ちました。
そして一年経っても粗筋の内容に追い付いていないという……。
今回のラストに名前だけ出た阿部雄二がログインしてようやく主要キャラが出揃います。
粗筋に追い付くまでもう少しです。
今年も月一更新を目標にしますので、よろしくお願いします。




