準備
「やっと…か…」
俺は目が覚める。金のない俺はギルドで寝泊まりしている。
ローのおっさんが許可をくれた。俺が寝泊まりしている部屋は応接室。ソファーで寝ていた。ローのおっさん曰く、人なんてほとんど来ないから、そこで寝泊まりしても問題はないんだそうだ。それはそれで問題あるのでは?と思うが、ここで寝泊まりさせてもらっている以上、なんとも微妙な気分だ。
さて、今日はなんの日かというと、認定試験の日だ。試験会場はギルド連盟の建物だから、一人で行ける。
俺は着替え、部屋から出る。
「よぉ…起きたか。」
ローのおっさんはそう言う。ギルドマスターとして、ギルドに不審者が入っても大丈夫なように、ここで寝泊まりしている。
だから、ローのおっさんにはちゃんとした部屋がある。
ご飯は基本自分で作るが、今日は試験ということもあり、作ってくれていた。
「おっさんが作った料理を食うってなんか変な感じたな。」
「だったら、食わせねえぞ。」
「いや、食う。セラの料理よりはマシだ。」
セラの料理を助けたお礼ということで一度だけ食べたことがあるが、まあ不味かった。
「頂きます。」
顔には出さないで個性的な味だと言ってやった。
俺の言葉の意味をちゃんと分かっているかどうか微妙だが。
話を戻そう。とりあえず食えたものではなかったということだ。セラに今度、料理を教えてやろう。
家に親がいないことが多かったから、俺が料理を作っていた。まあ、不味くはない自信がある。なんだかんだ言って、俺は器用なのだ。やればなんでもできる。基本、やろうとしないからできないものも多いが。
「ごちそうさんでした。」
俺は飯を食い終えて、寝癖をなおしたり、歯を磨いたりする。
身支度は終わった。少しの間ゆっくりしていよう。
そんなとき、扉があいた。
「おはよう」
「おはよう、セラ」
「シュウ、今日試験、頑張って。応援している。」
「ああ」
受付開始は9:30、受付完了が10:00、試験開始は10:20
ちなみに今は9:20、ここから歩いて20分だからそろそろ出たほうがいいか。ちなみにセラが来なければ5分後に出るつもりだった。
「そんじゃあ、行ってくる。」
「おう、行ってら。」
「行ってらっしゃい。」
俺はその場所へ向かう。神の言ったことを守れるといいが。
そーいやあれ以来、神見てねえな。
あんな中途半端にチャラい神でも仕事多いのか?まあ、会いたい訳じゃねーから別にどうでもいっか。
〈さらっと酷くない!?〉
神か…どこだ?
〈君の脳に直接、電気信号送ってるから周りにはいないよ。〉
は?どういうこと?………あー…そういことか。
どうやら、音が電気信号に変換されて脳にどんな音か教えているのを利用したらしい。というか、それ以外の方法は思いつかない。
〈大正解。そんなことより、試験頑張ってね。〉
それだけのためにこんな信じ難いことやったのかよ。
まあ、どうでもいい。
〈僕にとっては大切なことだよ。こうでもしないと、少ない領地の取り合いが始まっちゃうからね。〉
やっぱり、俺のこと駒として利用しようとしてたな。
少ない領地の取り合いとは多分、こういうことだろう。
俺達は今、狭い範囲に暮らしている。というのも、大陸が二つあるとはいえ、人類が住めている場所はわずか端っこの方だ。その範囲の中には種族がたくさんある分、様々な国が乱立している。それは何百年も変わらない。今のところ塀の外に領地を広げようとしているため協力しているが、どこかの国がいつ裏切るかわからない。塀とは神が建てた人類防衛のための境界線だ。人類の力ではどうにもならないから、人類を守るために建てたらしい。ちなみに塀の外には狂暴過ぎるモンスターがいて、A級三人がかりでやっと倒せる連中ばかりだ。S級の人達は1人でも倒せるが、S級自体が三人しかいない。だから、S級を増やすことで、希望を増やし、少しでも遅らせようという算段だ。そんなこと考えられても、俺には無理な話だ。
〈おしい、少し違う。遅らせよう、じゃなくて、一つの大陸の占領だ。そしてしまえば、人間は争いにくくなる。でも、二大陸とも、征服しちゃいけない。そんなことしたらそのうち戦争が始まっちゃうからね。〉
それはそうだが、難易度が高い。いくらなんでも無理な話だ。
〈やれば何でもできるんじゃないのかい?〉
やれることに限界があるぞ。それは人間業じゃない。
〈君はこの世界の人間じゃないじゃないか。〉
いやでも人間だから。
〈まあ、いいや。君がそのうち自分でわかることだから。〉
とりあえずあり得ないなんてことはないが、正直信じられない。でもまあ、そのうちわかるか。
〈そーだよ。んじゃ、頑張って。期待に応えてくれよ。〉
期待…か…期待ってことは、神にどうしようできないことってことだ。多分神は、創れても壊せないのだろう。
俺は神とそんなやり取りをしているうちにギルド連盟についた。神とのやり取りなんて忘れよう。
さあ、始めよう。面倒くさくてもやるしかない
そんな、開拓生活を。




