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第一話、現人神

俺の名前は霊蓬・V・紫苑。

VはヴァルキリーのVだ。


さて、そんな俺なのだが種族的に言うとニンゲンには入っていない。

むしろ俺以外にこの種族はいないと言ってもいいだろう。


理由としては俺が機巧騎士と呼ばれる存在であり、機巧騎士は本来自我を持たないただの遠隔操作で動く人形に過ぎないからだ。


そんな機巧騎士が自我を持っているのには訳がある。

とある馬鹿が俺を改造したのだ。

全く、狂気の沙汰としか思えん。

無論俺が普通の人であったなら改造される事もなかったのであろうが………

如何せん俺には父親と母親から受け継いだ超常能力、所謂スキルがあった。


母親から受け継いだのが常人の数百倍はあろうかという魔力。

父親から受け継いだのが常人を遥かに上回る魔力の回復速度。


基本的に魔力を限界まで使った者は一日をかけて失った魔力を回復する。

ところが親父は其れがほぼ一瞬で、親父より魔力量が多い俺はおよそ一分ほどで完全回復する。


それに目をつけたのが『狂気の天才』と呼ばれた改造主、レイモンド・レイファン。

所謂マッドサイエンティストだ。

俺の体を少しずつ機巧騎士の外装部分と取替え、拒絶反応を俺の無限に近い魔力で回復させ、定着させていく。

おかげで俺の体の殆どが機巧部品になってしまった。

魔力がある限り再生し壊れることのない不死身の体へと。


いやなに、死ぬ方法がない訳ではない。

この体を一瞬で吹き飛ばせば良いだけの話だからな。


そんなこんなで俺は不死身の体を手に入れたわけだが、奴は不死身をいいことに更なる改造を施してな?

当時でも再現できないほどの超高性能な体になったのだよ。

そして、それを利用したのが『誉れ高き詐欺師』ギルバートだ。


奴め俺を戦争の道具にして英雄に祭り上げた後でさっきの封印の場、『失われた楽園』に封印したのだ。

その手腕は見事だったよ。

ま、このことはいつかまた別の機会に話すとしよう。


そのときギルバートは俺に誓った。


「必ずこの封印を我が子孫に解かせよう。無論私だけでなく悪鬼羅刹にも封印の管理を手伝ってもらう。然るべき時、必ずお前がこの大地を歩けるように。我が魂をかけて誓おう」


俺は其れを封印された後で聞いたよ。

しかし、わからないでもないのだ。

過ぎたる炎はわが身を焦がす。

この場合の炎は俺で、わが身はこの国だったがな。


そんな訳で俺は封印されていたのさ。



---------------------------------------------------------------------------------------------



「そんなことがあったんですか」

「お主はその当事者なのだぞ?シルヴィ」


シルヴィというのはシルヴェスティア・セノクンのことなのだが、言いにくいのでシルヴィと呼ばせてもらっている。

因みにだが今はシルヴィ達が『失われた楽園』に来るときに使った馬車の中にいる。


「それで、あのアホはいつまで寝ているのだ?いい加減に起きて貰わんとな」


あのアホ、確かレイだったか?

奴はいま馬車の隅に転がされている。

…………あやつはこの国の皇太子ではなかったのか?


「ご安心下さい。あのアホ、もといレイ様ももうすぐ目を覚まされるでしょう」


よほど信用がないのだな、あのアホ皇子は。


「ならよいが。それよりセリアンよ。その口調はやめてくれ。虫唾が走る」

「な、何故でしょうか?」

「お主の祖先の『悪鬼羅刹』とは馬が合わなくてな。かすかにその面影を残すお主と話すと思い出すのだよ」

「それなら早く言ってほしいものだ。私とてあの口調は苦手でな」


変わり身が早いというか、この場合は状況判断ができているということかな。

最悪武力行使を使用とも考えていたし。


「そういえば俺のこの口調もどうにかせねばな。さすがに時代錯誤であろう?」

「そうですね。確かに見た目が二十台前半の方がその口調ですと違和感があるというか、違和感しかないというか」

「二十台、だと?俺のこの容姿は十八の時のものだぞ?」


そんなに老け顔だったとは…………


「そうか?私的にはありなのだがな」

「「え?」」


まさかの発言に耳を窺いつつセリアンを見てみると不思議そうな顔をしていた。


「それはつまり、あの、えーっと……」

「え?あっ!いや!その、何だ。その口調が合っているというだけであってその……」


どうやら自分の言ったことについてようやく理解したらしく顔を真っ赤にしてぶつぶつとつぶやき始めた。


やはり悪鬼羅刹に似ている。

血は争えんということか。


「ん、ん?どこだ?ここは」

「目を覚ましたかアホ」

「誰があほだ。私はこの国の…」

「皇太子だろう?聞き飽きたわ」


アホがようやく目を覚ました。


「さて、ここからが本題なのだが。俺の種族を言って置かねばな」

「何故だ?それにその事はシルヴィの親父殿に話をするのでは?」

「これを知らんと色々と説明がつかん事が出てくるのでな。俺の種族は『現人神あらがみ』人でありながら人でない。神であり神でない。どっちつかずの種族だよ」

なんか伏線っぽいの張っちゃいました。

すいません。


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