12/12
(7) 変わった時間
春→はる
最近、前が見えずらくなった気がする。
灰色の景色の中をずっと走っているようだ。先が見えずらい。苦しくなる風や分からない意味が僕の身体を通り過ぎ、耳に谺する。
「止まればいいじゃん」
誰かが言った。聞いたことのある声。
(いや、止まったら、壊れると思うから。ダメ)
「いや、走り続けても、もう無理でしょ」
また……。強がりだけど、優しくする声。
(そ…う…だけど………)
速く回してた足が、ゆっくりと回転数を落としていく。
(僕は、なんでこんなに……ダメなんだ)
「止まれよ。」
(ダメだよ………)
「止まれよ」
(歩かないと…)
「ボクがやるから、止まれって言ってんの。」
(けど……動かさないと…)
「支えるから、代われ。春」
もう……止まる。不規則なリズムで前に出していた足を、ゆっくり止める。
(………………)
「休んで、また動かせる時が来たら………うぉ……ぇ……」
もう、聞こえない。前なんて見えない。
僕は、終わる




