三十一話
浴室から出ると4時半だった。
ぼんやり髪を乾かしながらテレビのニュースを見ている。
電車通学なので運行情報が大切なのだ。
しかし……、久しぶりに嫌な夢を見たな。朝から気分は最悪だ。
まぁ、気分は切り替えが大事だ。
朝早く起きたおかげでゆったり過ごせる。
「よし、コーヒーでも飲んで落ち着こう。カフェインで自身を覚醒させないとだな。」
よくコーヒー派か紅茶派とかあるけど私は紅茶が好きだ。コーヒーは眠気覚ましに飲む事が多い。
コーヒーを準備していると父さんが起きてきた。
「俺もコーヒー飲む。」
「わかった。」
『おはよう。』のあいさつもなく唐突にそう言われたが、いつものことだ。
2人分用意しながら、朝食と弁当を作る。
「千遥。」
「何?」
「トマトは入れるな。」
「子供っぽいな。医者なんだからトマトの栄養価を讃えて食えよ中年。」
「まだ中年じゃないから大丈夫だ。」
父さんは妙に好き嫌いがある。医者のくせに……。
とりあえずコーヒーを入れて、朝食を準備し終える。
朝食を食べるために弁当作りは少し中断する。
トーストにオムレツ、サラダとシンプルだが、そこそこバランスは良い。
無言で朝食を食べていると「顔色悪い。」と、言われた。
「いつもこんな感じだ。」「そうなのか?」
医者ってこういうのに敏感だよな……。