第80話 宿屋からの抗議 前編
数日間、レイはフローネとベイロースと執事と共に屋敷の人から良いスキルがある者を選び、それぞれ配置替えをしている
「訓練場も完成したのか?」
レイが新しい建物を見ている
「ご案内します。 まだ内装が完成してません」
執事が笑顔で言うと新しい建物に向かう
「中々広い… 向こうが魔法の練習場?」
レイが建物の横の屋根と向かいにある壁を見ている
「魔法だけでなく、飛び道具全般になります… 弓矢や投擲も練習できます」
ベイロースが笑顔で言うと、フローネも説明している
「フローネは迷宮で鍛えるから関係ないか… 」
レイが呟く
「御主人様!! ほとんど魔法を使わせてくれないのに… ここで鍛錬させてください」
フローネが慌ててレイを見て抗議している
「今度アントを殲滅してもらおうかな」
「アント…もう見たくないです… この間も少しとか言って200匹は倒していましたし… あの集まるの怖いです」
フローネが震えながらレイを見ている
「ルカでも倒せるのだから頑張るように…ベイロースもルカに一騎打ちで負けないようにね」
レイが笑顔でベイロースを見ている
「う! … ルカさん… 弱そうに見えるのに… 剣術鋭く強くなってます… 」
ベイロースが落ち込んだ様に言う
(ルカさんをあんなに強く鍛えて良いのですか? それも自信ないとか言われても… この前、警備担当2人相手に余裕で勝ってましたし… どれだけスキル結晶を使ったのですか? )
訓練場内の警備担当達の訓練を見てから本邸に戻る
「御主人様、先程伯爵家の執事より、明日迎いに来るとの事です」
レインがレイを出迎えながら見ている
「呼び出し、面倒だな… 」
レイが嫌そうにしているのを見てレインが笑っている
「ミッドランド公爵家からの御礼の件と盗賊の件と伺っています」
「奴隷が増えなければ良いけど… 」
「最初から全員売却にしてくださいね」
「そうしたいな… 全員売却… 開拓村に全員送るか… 送れば良いかな?」
レイが考えながら呟いていると、ミミが少し遠めでレイ達を様子を伺っている
「御主人様、少し宜しいですか?」
ミミが申し訳なさそうに近付いてくる
「ミミどうしたの?」
「御主人様… 何か仕事… 欲しいです」
ミミが申し訳なさそうにレイを見ている
「え! 仕事か… 食事の準備も掃除も侍女が多くて仕事が無いか… ミミが得意な事は…」
レイが考えながらミミを見ている
スキル…感知か… どうしようかな? 迷宮や戦闘訓練はまだ早いかな…
「ミミの仕事は… 裏の屋敷の子供達や侍女達の困り事を伝える係りを任せるよ… レイン達に言い難い事でもミミになら話してくれるからね」
レイが笑顔でミミを見て言う
「はい! 御主人様!!」
ミミが満面の笑顔でレイを見ている
「それ以外は、文字の勉強やフィーリスのお手伝いを頼んだよ」
「はい!! 御主人様!!」
ミミが大きな声で返事をすると、レイが頭を撫でている。ミミが気持ちよさそうに目を細めている
翌朝、レイとレインとエリンは迎えの馬車に乗り伯爵の館に向かい、部屋に通される
「レイ様、お祖父様の代理として訪問しました」
アルミナリナーが微笑みながらレイを見ているマリーフォーナが後で見ている
「ワザワザ、アルミナリナー様が来訪なんて恐れ多いです」
「美味しい料理をたべ…… ミリーアリア様と交流の為です」
アルミナリナーが言葉を途中でやめて、慌てて言い直している。マリーフォーナがため息をしてレイを見詰めている
忘れろと言う圧力か? 御飯が食べたいから来訪か… 伯爵様も苦笑いしているから… ただの失言か…
「レイ様、お祖父様よりこちらの紋章を授けると言う事です。 こちらは褒美になります… 盗賊の持ち物は処分済みです」
アルミナリナーが笑顔で説明している。マリーフォーナがトレイに乗せられた物をレイの前に置く
「奴隷がいないなら良かったです」
レイが笑顔で言うと、レイン達が微笑んでいる
「賊の資産と奴隷の引き渡しをマーブリル子爵家に要請しましたが、拒否されています。 お祖父様の激怒に渋々マーブリル子爵が謝りに来て、レイ様が教えてもらった通り、犯罪奴隷にして目の前で全て自供させましたので言い逃れも出来ず、 先日金貨2000枚相当の隣領の借金の借用書等を頂きました… 」
アルミナリナーが笑顔で説明している
「ん? 借用書? それは… 大丈夫なのでしょうか? 踏み倒せるのでは?」
レイが思わず声をあげる
「何故ですか?」
「返済不可能な借金で有れば、返済されません… それ以外の借金が膨大なら公爵家が借金返済を求めても返済されず、乗っ取ってから別の借金の返済を求められたら公爵家が返済する事になりませんか?」
レイが説明していると、伯爵が頭を押さえている
「え! そうなのですか? そんな事出来るのですか?」
アルミナリナーが驚いた様にマリーフォーナを見ている
「男爵の余裕… その可能性も有ると思います… 公爵領に戻るにももう一度会う事になりますが… 護衛が必要かも…」
マリーフォーナが考えながら呟き、伯爵が苦笑いしている
(逆に襲われかねない… 護衛を付けるか? 使者を送るか… 返り討ちが1番でも… 貴族同士の争いは面倒になるからな… )
余計な事を言ったかな… 公爵様なら考えているかも、 それなら… 公爵様… アルミナリナー様を連れて公爵領に来いと言う事か… それにこの袋の硬貨や宝石… 護衛料込みなのか? 紋章も後ろ盾と言う事なら襲わせて返り討ちが目的かな… 伯爵様も理解しているのでは? 男爵家も火の車なら… まさか… 男爵家を褒美にしようとしてないですよね? 貴族様ならあり得そうで面倒だな… 回避する為には… 陰謀かも……
執事が入ってきて伯爵に耳打ちしている
「レイ、宿屋に借金返済を求めたとか… 抗議が来ている… 」
伯爵がアルミナリナー達が出て行ってから、レイ達を残して説明している
「伯爵様に泣き付いたか…」
「あの宿屋はこの町で唯一の大きな宿屋だ… 何とか存続させてほしい」
「不可能です。 先日レインと2人で視察に向かいましたが、 泊まりは銀貨10枚… 噂も悪く… つまみ出されたくなければ帰れと言われたし… 絶対に潰されないと解っているからやり放題になっています。 行商人からのクレームも有りましたから… 借金返済は始めて欲しいです……」
レイが説明していると、伯爵も考えている
(ん? これはレイが運営してくれるなら… 料理も美味しくなるのか? それなら返済不可能なら強制徴収をさせるか… 調査も必要だろう… )




