第186話 果樹園と魔獣 後編
レイ達は男爵領内を見て回り町に戻り、屋敷に向かう
「御主人様、お帰りなさいませ」
執事と侍女が並んでいる
「何かあったか?」
「昨日、ルセイド伯爵家の騎士ロワイダル様達が御到着しています。ミッドランド公爵家からも使者が到着しております」
執事が笑顔で説明している
「すぐに呼ばれるかな? ロワイダルさんが来るなんてね」
レイが笑顔で言う
「動きが早かったですね」
レインが微笑みながら言うと、馬車が入ってくる
「レイ、まさかすぐに呼ばれるとな… 」
ホルスウィナーが馬車から降りてきて言う
「こんな早く屋敷に来たのですか?」
レイがホルスウィナーを見て言う
「男爵は困惑気味だ… 状況を聞きたい… 男爵に聞くよりも先に話を聞きたい」
ホルスウィナーかレイを見ている
「応接室に案内します」
レイが笑顔で言い、屋敷に入っていく
レイが事情を説明して、ホルスウィナーが頭を抱えている
「説明から… 宣戦布告と言えるな… それに魔獣が起こした損害賠償と罪は飼い主が責任を取る必要がある… 書類を見てみないと分からないが… 問題ならば抗議ではなく、犯罪者引き渡しを求められる… 無礼と言いながらクリアナ様の目の前で怒鳴るとは… それにヒリア様の目の前だろ?」
ホルスウィナーが苦笑いしている
「そうですね… ヒリアの前で怒鳴ってましたね」
レイが笑っている
「マーブリル子爵家もここまでくると、気の毒にも思えるな… 家臣の暴走… 王国法も知らぬとは… 常識が無いのはレイと一緒なのか?」
「え? 常識が無い!!」
「常識が無いと言うよりも、常識外だな… 公爵家を小間使いしているのだから… マーブリル子爵家も多少の損害賠償で済まないぞ… 本当に愚かすぎる…」
ホルスウィナーがレイを見て言う
(さらっと書類にサインをさせたのか? 本当に何処まで書いてあるのか? 証拠になるならば、終わりだぞ… 士爵が起こしたならば、領地没収だろう… ヒリア王女様の目の前で… クリアナの目の前でも終わりだろう……)
翌朝、レイ達はホルスウィナーと共に領主の館に向かい、話し合いを始めている
「は? これは愚かすぎる… この書類だけで証拠として十分だろう… 魔獣を討伐をクリアナ様の許可を得ている時点で、男爵家の命令になる… そもそも魔獣を他領地に侵入させている時点で問題だな… それにこのアルザバイロス士爵…王国法を知らぬとは… それも無礼者としてクリアナ様達を捕らえようとは… それも男爵領内で… 宣戦布告だな…宣戦布告だ!! 許されないな… 男爵は即刻王家に仲裁を求めましょう… ミッドランド公爵家としても抗議をします… レイ達の手紙もフォールベアン殿下に届けよう」
ホルスウィナーが笑顔で言う
「レイの後ろ盾はルセイド伯爵家です。 ルセイド伯爵家として抗議をします」
ロワイダルが苦笑いして言う
「味方がいて心強い」
男爵が笑顔で言う
「心強いと言うよりもレイがこの書類にサインをさせた時点で、マーブリル子爵家とラーミリアランド男爵家の問題にされているが、 宣戦布告に領地侵犯に魔獣被害… 証拠を残されて終わりだろう」
ホルスウィナーが書類を見て言う
(レイ、完全な証拠、それも相手の言い分も書いてあるが… 一方的な言い分ではない… 相手の傲慢さもわかるように書いてあるな… マーブリル子爵が読んだら飛んできそうだな)
「後の事は任せます… 書類はクリアナ様の名前になってますから… 賠償しっかりお願いします」
レイが笑顔で言う
「は? 何を… あ!!」
男爵が書類を見て顔が引きつっている
「やっぱりレイだったか… 最初からこの為に書類に名前を残さなかったのか? 流石押し付けの名人だな」
ホルスウィナーが笑顔で言う
「伯爵様には報告をしておく」
ロワイダルが笑顔で言う
「領主様の仕事ですから… 忙しいのでそろそろ帰りますね」
レイが笑顔で言う
「アルミナリナーとお祖母様から早く次の化粧品を頼むとの事だったぞ」
ホルスウィナーが笑顔で言う
「帰ったら作ります」
レイが笑顔で言い、部屋を出て行き、男爵が見送っている
(は? 帰った… これは賠償金はどうしたら良いのか? 果樹園への賠償… 男爵家がもらってからレイ殿に渡したら良いのか? レイ殿がいなくても賠償相談はできるが… マーブリル子爵家の対応次第では… マーブリル子爵家取り潰しになるぞ… こんなに簡単に相手を潰せるならば、危険人物なのでは… 今更か… ホルスウィナー様が飛んでくるぐらいだからな…)
屋敷に戻り、部屋に書庫から書物が運ばれてくる
「パミラリーゼから糸と布と染料の書物との事です… それと本棚を種類毎に分けてくれました」
レインが説明している
「パミラリーゼは優秀だな」
レイが呟く
「御主人様の目利きのおかげです。 アルザバイロス士爵の動向ですが、問題になって無いと思っています。 本当に馬鹿です」
レインが冷たく言う
「もしかしてマーブリル子爵家が悪いのではなく、家臣団が悪いのか? 管理出来てない方も悪いけど」
「愚かです。 フォールベアン殿下の密偵にも伝えましたので、フォールベアン殿下の密偵が内偵をしています… 」
「果実の種と皮早く持って帰りたいから、どうでもよいけど… 根野菜もフランが買っているからね」
レイが笑顔でレインを見ている
「パミラリーゼはどうしますか?」
レインがレイを見ている
「準男爵家の書庫も整理してもらおうか? 価値ある書物があれば、本邸に持って帰ろう」
レイが笑顔で説明している。レインが微笑みながら頷いている
(これだけの事になっても何も気にしてないですね… パミラリーゼもかなり優秀です。 男ならば領主様として最高の素質なのですが… 御主人様も恐怖で支配する方法を身に着けてくれましたが… パミラリーゼも感謝してくれるでしょうか?)




