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時は流れるままに 12

「怒られてんの!」 

 部屋には端末の前のモニター越しに入ってくる誠達をタレ目で見つめる要がいた。

「西園寺!無駄口叩く暇があったら報告書上げろ!オメー等もな」 

 そう言うとランは小さい身体で普通の人向けの実働部隊長の椅子によじ登る。その様子をわくわくしながら見つめる誠に冷ややかなカウラの視線が注がれていた

「ああ、仕事!仕事しますよ!」 

 そう言うと誠は自分の席に飛びつき、端末を起動させた。

「おう、仕事か?ご苦労なこっちゃ」 

 背広に着替えた明石がついでのようにドアから顔を出す。そして手にしたディスクをつまんで見せ付ける。

「ああ、明石。お前さんが預かったのか」 

 ランはそう言うと椅子から飛び降りててくてくと明石に近づく。だが、その彼女の前に彼女の背格好くらいの大きさの山が動いてきて思わずランは身をそらした。

「亀吉!」 

 驚いて叫ぶラン。その小山はシャムの保安隊内部に連れ込んでいるペットその2こと、ベルルカンゾウガメ『亀吉』だった。大きさのわりに軽快なフットワークを誇る亀吉は大口を開けてランを威嚇している。

「慣れないんですかね。目つきの悪いお子様には」 

 嫌味を飛ばす要だが、彼女が一番亀吉を苦手としていることは誠もカウラも知っていた。

「あの餓鬼が……」 

 ふつふつと怒りを燃やしているように握りこぶしを作るランだが、再び亀吉が口を開いたのを見ると手を引っ込める。それを見て明石も弱ったような顔でディスクを隣の棚に置くと亀吉を持ち上げて奥のシャムの机の隣のケージに運んだ。

「おう、ありがとうな」 

「クバルカ先任も苦労しとるようやね。ほいじゃあ本部に戻りまっさ!」 

 そう言って剃り上げられた頭を叩くと明石は出て行った。ケージから出ようと暴れる亀吉のたてる音が部屋中に響く。

「シャム……持って帰れよ」 

 心のそこからの叫びのようにそんな言葉を搾り出すと、安堵した表情でランは自分の席へと戻っていった。

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