プロローグ
「お客さん! 終点ですよ!」
ん、、、
「やばっ」
いつの間にか眠ってたみたいだ。とりあえず荷物を手に取りホームに出る。
「どこだ?ここ、」
錆びた駅名の看板をみると、「家出 (いえだし) 」とあった。
家出、か…聞いたこともないけれどまさに自分が身を置いている状況だ……
今日は朝起きた時から学校にいく気分じゃなかった。うちは共働きなので朝飯は一人で食べる。冷たい味噌汁をすすりながら僕は、ある漠然とした願望に支配されていた…
「どこか遠くへ!今いる家も!家族も!学校も!友達も!すべて捨てて!家を出て遠くへ!」
そう決意した僕は、荷物をまとめ、貯金箱を叩き割って、ありったけの金をもって学校とは反対の方へと歩き出した。そしてバスに乗り、電車に乗り、ありったけ遠くへきて、今ここにいる。
時刻を確認すると、午後8時をまわったところだった。
(とりあえず腹ごしらえするか)
そう思い立った僕は駅をでて、近くにあったファストフード店に入り、「鰻とアボカドのチーズバーガー」なるものを注文した。その謎の味を堪能しつつ、これからのことについて考えた。
(あと758円しかない、思ったより電車賃がかかってしまった…ホテルには泊まれないだろうし…野宿、か…)
このごろかなり暖かくなったけどまだ春だ、凍え死にすることは無いと思うが、かなり寒くなるだろう。
店を出て街を歩いてみる、繁華街をカップルが、サラリーマンが、学生が歩き、通り過ぎていく。この人たちは、生きていて楽しいのだろうか。そんな疑問が頭に浮かぶ。
去年高校に入学してから、1年が過ぎた。
去年の今頃は、今から始まる生活に心躍らせていたっけ。中学で受験勉強を頑張って、担任には無理だと言われていたレベルの高校に進学できた。部活に入って、彼女つくって、文化祭でバンド組んで、、、とか色々な想像して心躍らせていたっけ。
けど、突然、本当に突然、「生きている理由」を知りたくなった。別に日常に不満があった理由でもない。たとえるなら、子供が、「なんで空は青いのー?」と訊くように、素朴に、素直に、知りたくなったんだ。
繁華街をぬけると、シャッター通りに出た。寂れた店が建ち並ぶ路地で腰を下ろした。近くに置いてあった古びたダンボールを手に取り、地べたに敷いて寝床をつくり、その上に寝転んだ。(明日はどうしよう…)と考えていると、不意に、少女がこちらをのぞき込みながら、
「あなた、私たちのところへおいでよ!」
と、声を掛けてきた。
みなさんは、生きている理由かんがえていますか?
それともかんがえるのをやめていますか?
もしくは理由がわかりましたか?
私はまだわかっていません。よかったら教えてほしいです。




