PROLOGUEⅡ ~After Destroy……~ ③
「具合は、 どうだ?」
最初の一言がそれかい、 相変わらず紳士やね。
もうちょい色々愚痴ってくれてもいいのにさ。
「快調だよ~。 元気溌剌ってほどじゃないけど。
6~7割ってトコだね。 魔氣も魔那も、 大分回復してきてる」
「そうか」
穏やかにそう言うと得物の大剣を突き立て、
木の根に腰かけて怪鳥の羽を毟り出す。
オレも手伝おうとするが無言の視線で止められる。
二日目の昼に、 「いやぁ~、 すまないねぇ~、 私がこんなんじゃなけりゃ~」
とゴホゴホやったらミウと一緒にガチで睨まれた。
それ以来逆らえません、 すいません。
チッ、 ミウのヤツが 『オヤカタサマ~』 とか言いながら
羽毟り手伝ってやがる、 相方も微笑で応じてる、 ズルイ。
ってかオレはママでそっちは違うのかい!
いいですよ、 いいですよ、 本調子じゃない半病人は
葉っぱの布団で不貞寝しますよっと。
その前に。
「ガラ割って沸騰する前からスープ煮出して!
肉は一口大でなるべく最初の方に入れて!
薬草少な目、 香草多め! 博多の水炊き的なヤツ食べたい!」
自分は何にもしないで寝っ転がりながら注文だけはする。、
完ッ全に〇〇の所業だがだって手伝わせてくんないんだもん、
仕方ないじゃないか。
あぁ~、 寝てやる、 寝てやる、 尻も掻いてやる。
傍にコーラとポテチとソシャゲが転がってれば完璧だね。
そんな寝つきの悪いダメ人間が、
やがて放送出来ない顔で微睡むこと数刻。
ン? 何かヤベェ、 ラーメン屋さんの匂いしてきたぞ!?
ラーメン大好きノエルさん! 語呂悪ッ!
はいはい解りました、 ダメ人間はハムスターのように鼻鳴らしながら
むくりと起きるだけですよ。
焚き火の席につくともうお椀型の食器に白濁したスープが注いである。
木を削った箸と丸石の箸置きまであるよ。
明〇光秀か! 侘び数寄か!
正座が苦手なオレにやっても意味ねーっての!
ほかほかするお椀の中にはブツ切にされた肉と2~3種類のキノコ、
水菜みたいな緑の野草がキレイに並んでる。
薬草、 香草の類は刻んであるね。
無作為によそったんじゃなくちゃんと盛り付けしてあるよ、
スゲーな英霊。
箸に手を合わせていただきます!
一口啜るとあぁ~もう旨い!
不味いわけがないこんなもん。
文句あるヤツは連れて来い、 魔導で肉片にしてやるから。
まだ胃が本調子じゃないから優しいね、
これが牛だとちょっと強過ぎるね。
それと多分コラーゲン的なモノの含有率が多いんだろうね。
女の躰だからかめっちゃ沁みてくカンジがするわ。
って、 おい。 おいおい、 ミウ肩口でピョンピョンうるせーよ。
ちゃんとお前の分お前のお皿に注いであるだろうよ、
小さいから多分相方のお手製だろコレ?
解った、 解ったから暴れるな、 零れる!
箸で肉を千切って口先で冷ます、
フーフー吹くなら! 解った震えるな!
何でこのネタ知ってんだよ。
そう言いながら箸の先を口に入れる、
味変わんないのに何が面白いんだか、
って融けるなぁ~!
っつか面白いなその能力、 オレも使える?
その後能力~ごはん~とバカな事ヤってる魔物二匹を後目に
空になった器と鍋をまとめて沢へと洗いに行く英霊様。
ホントすいません、 何もしないヤツの土下座に価値は無いって
知ってますがすいません。
――その時聴こえた。
文字通り布を引き裂くような悲鳴。
魔物の呻き声じゃなくて、 悲鳴だ!
NEXT PHANTASM…Ж
【ZODIAC PARADOX EXTREAM/CHAOSPHERE!】
~戯題・愛のままにわがままに 魔皇少女は異世界に屈しない!~
~第二章 『叛逆の双星』 篇~
GLOW UP!!