Ж-25 儚 き 花 ~Oh My Little Girl~ ②
≪クアドラブル・ナーガ、STRUCK!
CLEARNESS SKILL AWAY!
我が主よ!≫
三つ首、 尻尾も含めれば四つ首の大蛇の頭が
胴体から離れて沼田打ち回る。
流石の生命力と云うべきか、 文字通り五体バラバラになってるのに
裂けた舌で威嚇しながら尚もこちらに飛び掛かってこようとしてる。
オレのお気に入り異能 『エビル・クロー』
切れ味はあるけど斬れ過ぎるのが弱点だな、
生命力、 再生力が強い敵には反撃の隙与えかねないわ。
「サーシャ!」
「は、ハイィィィ!?」
近過ぎず離れ過ぎず、 安全地帯に置いていた少女をオレは招き寄せる。
「トドメ刺せる?」
「え?」
指を弾いて造った魔導のナイフ、 その刃を挟んで差し向ける。
「出来ないならイイ。
でもオレと違ってサーシャ達には
“神の恩恵” とやらが有るンだから、
強くなりたいなら斃しといた方が良い。
こんな機会は滅多に無いし、 勿体ない」
年端もいかない少女にナイフ握らせトドメを刺せと命じる。
元の世界じゃ警察と児相にタコ殴りにされるような所業だけど
この世界では生命の重さが違う。
倫理的にどうかは知らんけど、
現実問題として魔物に自制をかける制度はないし
同じ人族にすら護られない存在もいる。
だから魔皇のオレがしてやれるのはコレくらい、
強者を斃す経験に由って得られる
“神の恩恵” の権利を譲渡するだけ。
サーシャはしばらく震えてたけど、
ミウがオレの肩から飛び移りコクコクと頷いてみせると
やがて意を決したように刃の柄を握った。
「眼ェ瞑ってでもいいからとにかく振り降ろして。
噛みつかれそうになってもオレと爺ちゃんが撃ち落とすから大丈夫!」
ハクエイの爺ちゃんが独特の構えで携える杖、
実はコレ 「仕込み刀」 だったんだわ。
例えじゃなくて本当の 「刀」
片刃も反りもオレの知ってるのとクリソツ。
「え、 えぇい!」
そんな余裕こいたコト考えられるのも、
実はサーシャならヤれるって予想は付いてたから。
今朝の皮剥ぎも体液と脂に手を汚しながらも黙々とやってたし、
村には家畜も多かったら 「締める」 手伝いとかもしてたんだと想う。
そういうコトに 「慣れ」 があるのなら、
死にかけの魔物のトドメくらい刺せるでしょ。
まぁ、 根が真面目か一心不乱か知らんけど、
眼前がただの虐殺動画になっちゃってる事を抜かせば。
「あ……」
残った事故現場の肉片を
オレが『貪喰』で啖い奪っていると、
サーシャの躰が仄かに光を宿した。
「何だか、 躰がポカポカします。
それと頭に、 透明で冷たい水が流れてるみたいで、
何だか、 スゴク気分が良いです」
≪CAUTION! 準友軍個体、 サーシャ。
魂の位階、 Lv2→Lv9へと増強。
PLEASE USE IT! 我が主よ!≫




