第52話「姪っ子にわからせられましたぁ!」
ヤバい……。
なんか、制服姿のJKが犬のリードで縛られて部屋の隅に転がってる絵面ぁっぁぁああ、超ヤヴァァァァぁぁぁああーーーーーイ!!
「もがもがー」
『もしもしぃ、もしもーーーーーし!!』
『わふわふッ、わふわふぅッ♪』
高橋が大暴れしている間に、ポンタはスマホからこぼれる音に興味津々だ。
だが、それが功を制したらしい。
『あーもー。いたずらですかー?』
『わふわふっ、わぉぉぉおおん♪』
…………ナイスぽんた!!
『わんわん。わんわんおッ!』
いけ!
そのまま、ごまかせぇぇぇ!!
『ったく、誤作動ですか? もしもしぃ!』
『わんわんおッ』ぽちー
ついには、パクっとスマホを咥えたポンタによって通話が途切れる───ナイス!!
ナイス、ポンタ!
……多分、ナイス!!
ナ、ナイス……だよね? うん、ナイスだと思う。そう……ナイスと思おう!!
この後、ケーサツに番号検索されそうだけど……あとは誤魔化すしかねぇ!
「もがもがー(スマホがー)」
「スマホがーじゃねぁ! 馬鹿垂れぇ!」
すぱーん!
なんでぇ?
なんでこの子はすぐ警察呼ぶの?!
そんなに俺に前科つけたいのぉぉぉお?!
「はぁはぁ……疲れる。コイツが来るとマジで疲れる─────────……あー」
『へっへっへっへ♪』
た、頼むよポンタ君。
そんな顔して、「足」咥えて持ってくるのやめてくれないかね?
俺が、足を「ほ~らとってこ~い♪」って投げる様に見える?
そんな猟奇的な飼い主に見えるぅ?!
ま、まぁ。
青白いし、ちょっと生臭いので明らかに人間の足じゃないんだけどね───……。
逆にリアル!!
めっちゃリアル!!
ほらぁ、姪っ子がすっごい怯えた目で見て──────ねぇ!……この子、全然怯えてねぇ!!
「じとー」
ほらぁ! じとーとか口で言ってるし!!
普通さぁ! 身内とはいえ、家のなかに切断された足とかあったらびっくりするじゃん?!
猟奇殺人の証拠とか思うじゃーーーーん?!
「あぁ、もう!! どう説明したらええねん!!」
つーか、どうしよう。
どうやって収拾つけよう……。
足は転がってるし、家は臭いし、庭にはデッカイ穴があるし、犬小屋はダンジョンだし、姪っ子縛っちゃったし──────!!
「あああああああああああああ、もーーーーーーーーーーーーーー!!」
ガラッ
『高橋さーーーーーーーーーーん! うるさいですよーーー! あと、臭いし、なに女子高生連れ込んで縛ってるんですかぁ! 引っ越ししてくださーい♪』
「うるっせぇっぇええええええええええええ! もーーーーいっぱいいっぱいなんだよ、こっちはぁっぁあああ!」
あード畜生!
もう、全部埋めちまいてぇぇ!
(案外……こうして、この世には猟奇殺人が起きるんじゃなかろうか?!)
もう、マジでいっぱいいっぱい!!
つーか、あのオバちゃんの度胸もすげぇな?!
このくっせぇ臭気の中、家の中で女子高生が縛られてるのに、窓開けて怒鳴るだけって……。
しかも、引っ越ししろぉ?!
ふ、普通、通報しないぃ?!
なくなくなくなく、なくなーい!?
───……いやさ、してくれなくれて助かってるけどぉぉぉぉおおおおおおおお!
「畜生……! もう、マジで埋めるか?」
デッカイ穴ほっといたし、恵美を埋めて、オバチャン埋めて──────「誰を埋めるって?」
「そりゃ、全部──────って、恵美さぁぁん?!」
「ごほん……。縛りがまだまだ甘いよオジサン。……それより、そろそろ説明して欲しいんですけどぉ───姪っ子縛っといて、てへぺろーで済むとお思いで?」
て、てへぺろー
「え~っと、リダイヤル───」
「さーーーーーせん!!!」
恵美さん、さーーーーーせんんんんん!!
高橋は綺麗な土下座をきめて、仁王立ちする姪っ子にひれ伏したのだった。




