第35話「ゲイボルク」
テレビの中で得意げに話す、専門家のオッサン。
とはいえ、顔には見覚えがないんだけど───なんだろ? この喋り方……。
…………あ、コイツ。
ぐわし
「え?」
「叔父さん」
ニコッ
あ、そーいえば恵美さんいたんだっけ……。
つーか、なんで顔面握られてんだろー??
「ど、どーしたのかな? 恵美さんや?」
「どうしたんだろうねー?? どうしたんだと思うー??」
「……あ、え~っと?? ふ、服! 上着は着た方がいいぞ??」
「そーね」
あ、あれれー?
恵美さんの顔が怖いよ?
「じゃー……問題。なんでアタシが服を脱ぐ羽目になったでしょ~か?」
「え、ええー? な、なんでだろ……? あ」
痴女ってやつか!!
「……………………にこっ」
「え? なんで笑っ───」
凍り付いたような笑顔で、通学カバンに手を突っ込む恵美。
無言のまま、すー……と取り出したるは──。
「お、おっふ。恵美さん?……そ、そのぉ、カバンから出したデッカイハンマーみたいなの、なに?」
柄の部分が折りたたみ式になっているのか、カバンにコンパクトに収まるらしい。槌の部分は凶悪なまでにデカいけど───。
「……これ? これはねー。ゲイ・ボルグ」
「おーう……ゲイボルグね。え?……あれって、『槍』じゃなかったっけ? なんか、北欧神話かなんかの───あと、なんで『ゲイ』を強調したのか知らんけど───うん、可愛いじゃん」
ニコッ
女の子って、やっぱホモぉとかゲイとか好きなんだねーHAHAHA!
(……っていうか、そんなもん通学カバンにいれてるん?!)
「でしょー? これで、ね───こうー……ぐしゃっと」ニッコリ
ぐ、ぐしゃ……と?
「な、なにを?」
「ナニを」
即答ぅッ!
……おーう。
ナニって、あれだよね? あれのことだよね?
「あ、あぁ~! それでゲイ・ボルグ!」
ナニをつぶしてゲイ量産───……。
なるほどなるほどー!!
…………。
……。
「って……。ホワイ??」
えっと~、ち、ちなみに───。
だ、
「WHO?」
「YOU」ニコぉ
「OH、OHIT'S mine」にこッ
「えへへ」と、
ぎこちない笑いを浮かべる高橋に───。
すぅぅ、
「──女子高生に、茶ぁ……ぶッかけて一言も詫び無しかぁぁ!!」
ひぇぇ?!
──ぶっ殺してやるぁぁっぁああああああ!!
ぶぉんんッッッッ!!
大上段にゲイボルグこと、大型ハンマーを振り上げた恵美。
すかさず、高速の土下座をかます高橋。
両者、その形の美しいことと言ったら、もう!
「…………だが許さんッ!」恵美さん、容赦なし
ああああああああああああああああああああ!
そんまっせんんんんんんんんん!!
高橋の悲鳴が、うららかな昼下りに響き渡る……───。
『……くぁぁぁあああ、わふっ』
朝っぱらからうるさい愚かな人間の騒ぎなど知ったことかとばかりに、ポンタは日向ぼっこを楽しんでいた。
※ ポンタの戦果:なし ※
《料理:オークステーキ
(マンドラゴラおろし乗せ)
マンドラゴラのサラダ
マンドラゴラのスティック
(塩or味噌マヨネーズ)
マンドラゴラ葉茶




