第34話「姪っ子に、茶ぁぶっかけたら怒り狂った件」
「ぶっほぉぉおおおおおおおおお───」
「ぎゃぁっぁああああああああああ!!」
流し見ていたテレビの音声に思わず吹き出す高橋。
もちろん、直線状にいた恵美に盛大にぶっかけることに……。
「あッッッッッッッつ!!」
「え? 嘘?! マジ?! 嘘ぉぉぉお?!」
「あッつ、あッつ、あッつーいん」
目の前でお茶を被って、悶えながら上着を脱ぎ始めた姪っ子のことなど知らぬとばかりに、顔面真っ青になる高橋。
───おぇぇっぇええええ!!
めっちゃ食ったがな!
めっちゃぁあ!!
マ、マンドラゴラどころじゃないよ?!
オーク肉もここ最近で食いまくってるよぉぉぉお?!
えええ?!
「く、くくく、食ったら死ぬの?! 吐血するのぉぉぉおお?!」
「と、ととと、吐血どころじゃないわよ!! あっつー!! あっつ!! あっつ~~~~~~ぃん & くっさ! そして、きったなーーーーい!!」
やだぁ! やだぁ!! 死にたくなーい!!
ジタバタと悶絶する高橋。今さら口に手を突っ込んで吐いても時遅し───。
「あぁあもぅぅ!! か、可愛い姪っ子になんてことを、あっちぃ!! くっさい!! あーーーもうーーー、べたべたよぉ!」
……いや、だって吐血して死ぬんだもん!
姪っ子が臭くてベタベタとか知らんわぃ!!
そんなことより、
「や、やべぇ! やべぇ! やべぇって!! 食っちゃった……! 俺、マンドラゴラとオーク肉食っちゃったよぉぉおお!! サラダとステーーーーーキでっぇぇえ!! 」
死ぬの?
吐血しちゃうのッ?!
口から、血ぃ吐いて死んじゃうのぉぉぉおおおお?!
ゆらーり
「…………イェ~ス。そーよぉ、そーよーーーー……。アンタはね、吐血して死ぬのー。口から盛大に内臓と一緒にねぇぇぇ、叔父さぁぁぁん……! っていうか、死ねぇぇぇええええええええええ!!」
今すぐにぃ!!
「う、うぉぉ!? なんだ、恵美?! なんで上着脱いでるん?! お、叔父さんでも、さすがに姪っ子は───」
「じゃっかましいわ!! ぶっ殺してやるぁぁぁあああ!!」
上着を脱ぎ捨てた恵美が、ものすっごい形相で拳を作っている。
っていうか、振りかぶっている!!
すっごい腰の入ったパンチを放とうとしているぅぅぅう!!
「ちょぁぁああ、ちょ、ちょ、ちょ! タンマタンマ!!」
「やかましやぁぁああ! 誰がタンマするかぁぁあ!」ブォン!!
は、早い!
「恵美さん?! グーはあかん!! つーーーーか、速ッ!」
何そのパンチ?!
すっごい、速い?!
恵美さん、
早い、速い! 速ぁぁぁああい!
辛うじて躱すも、胸で追撃の顔面ワンパン!!
スパーン♪
「って、いったっぁあ……っくない?!」
ありゃ?
むしろ柔らかくね??
って、恵美ぃ!!
……色々凄いことになっとるで?!
揺れまくっとるでぇぇえ! あーーーーー眼福ぅ! じゃない、吐血吐血!!
……って、そうじゃない!!
「ちょ、ちょっと、待てって! マジで待てって!! な? いったん落ち着こッ! な?……じゃないと、叔父さん死んじゃうから、」
……んん───待て!!
ステイ、恵美!!!
「だれがステイじゃ!! 犬とちゃつわぁぁ!!
そして、死ね! 今すぐ死ね!! 今宵、高橋家の叔父は、死んじゃうんだよぉぉぉおお!──そして、殺してあげるよぉぉぉおおッ!」
あ、あかーん、恵美の目が据わっとる……。
い、いや、それよりもまずはスマホだ!
どんな時でも、スーマーホ!
恵美が脱いでようが、まずは吐血だ!!
ぴこぴこ、ぽちー
『オーク肉』 『吐血』
こ、これだぁっぁああああ!……って。
……ブル・シット!
『吐血するほど旨いッ!』じゃねーよ! 誰も味のこと検索してねーよ!
なにが、極上の豚のごとし───じゃぁぁあ!!
くっそーーーー!!
死にたくねぇっぇええええ!!
『ですが、それは──特殊なケースですね。
……よほどの量を、初めて大量に、
一度に採った場合に限られます。
それ以前に、少量を口にしていれば、
自然と適正が付きますよ。
ま……その場合は耐性といった方が
いいかもしれませんね』
た、耐……性……??
「───……パードゥン?」
テレビの内容にハタと停止する高橋。
どうやら、吐血して死ぬというのはよほど極端な場合の事らしい。
……極端に大量に食べた気もするが、吐血していないということは高橋にも適正があったのか───……あるいは、
「……あ! そうか、前の会社で───」
モンスター素材の解体時に出て来た端肉を食った覚えがある。
あれ、結構うまかったなー……そうか、あれのおかげで『耐性』ついてたのか。
でも、下手したら吐血して死ぬようなものを食わせてたのか、あの会社──────こわっ!!
改めて、前の会社こわッ! & ブラック!!
「……まぁ不幸中の幸い、か? 糞みたいな会社だったけど、今だけは感謝感謝───……ん?」
『なので、
私は念のために家族や知り合いには、
ダンジョン産の食事を振る舞うように
しているんですよ。
まぁ値は張るんですがね、
それでも安全には代えがたいと──ww』
「wwじゃねーわ! ビビらせやがって……!」
…………つーか、あれ?
そーいや、こいつどっかで─────。




