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犬小屋ダンジョン  作者: LA軍@呪具師(250万部)アニメ化決定ッ


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第9話「世界情勢と販売方法」

 じゅー♪


 フライパンでオーク肉をイイ感じに焼きつつ、スマホ。ぽちー


「……あ、これだ」


 ダンジョンWiki参照中。


「え~っと、なになに?……オークは多数のダンジョンに生息する人型モンスターで、主にダンジョンの上層から中層にかけて確認される」


 ふむふむ


 スマホに表示されたオークは2~3mの巨体で緑色の肌をした豚顔のモンスターだった。


 うむ、いかにもなオーク顔。


(あー……たしかに顔は似てたな)

 ポンタが捕まえてきたのとは、肌が全然違う色だけど。


「ほむほむ。……オークにはある程度の知能があり、武装している個体も確認。中堅クラスの冒険者以外はパーティで戦うことを推奨───か」


 へー……。結構強いんだな。


 だけど、青い肌の個体については記載なし。

 ちなみに、今朝見たあの赤いゴブリンも同様だ。


 普通のゴブリンは、緑やあさ黒い肌をした魔物で、集団で行動することが多く、場合によってはオークよりも危険とされている。


 しかし、その中にも、赤い肌のゴブリンの記載はなった。


 んー? なんだろ?

 やっぱり新種なのかな───??


「…………お、これは」


 『新種 ␣ ゴブリン』 で、検索すると数件ヒットあり。


「え~っと、ゴブリンやオークには亜種が確認されており、主に中層から深層にかけて稀に出現することもあり、非常に───……え?」



 ……し、深層??

 ───それに非常に好戦的で危険んんんん??



「…………危険だったっけ???」



   『ごふん……!』


 ポンタに殴られてブルブル震えていたオークが脳裏に浮かぶ。



(えー、あれが??)



 ないない。……ないわー。

 だって、青いオーク……めっちゃ震えてたよ? ポンタに半殺しにされてたよ??



 犬にやられるオークとか、ザコじゃね?


「……まぁ、Wiki情報だしなー。深層モンスターが犬小屋に出現とか、ネタにもならねーよ」


 まったく冗談きついよ、君ぃ! HAHAHA。


「ま、それはそれとして。……ふむふむ。亜種らしき魔物が初めて確認されたのは、ネバダ州にある砂漠型ダンジョンで、発見した米軍の特殊部隊は半数が戦死……───うっそ、マジ??」


 おいおい。

 絶対あのゴブリンとオークは関係ないわ。

 

「……ポンタが捕まえて来たモンスターが、米軍が苦戦するほどの奴なら───うちのポンタが最強ってことじゃね?……………………うん、ないわー。しかも、犬小屋の中から捕まえて来た奴だしな」


 うぷぷ(笑)。わかった。


 これかー、いわゆるフェイクニュースってやつは?


 米軍特殊部隊が苦戦するモンスターをポンタが狩ってくるとか、意味不明ー。ぶぷぅ!


「でもまぁ、その可能性も微レ存───……」



 絶命していた赤い肌のゴブリンに、

 ぶるぶる怯えていたオークを思い出し、…………「うん。ないない」と首を振る。



 だって、ポンタが捕らえてきて、……そして、コ○リの(くわ)でトドメをさせたんだぞ?

 とてもとても、凶暴とは似て非なるものだ。

 

 だいたい、それ以外にはスマホ検索で調べてもほとんど情報が出てこない。

 まぁ、某大型掲示板には色々のってるけど、信頼性は皆無だ。


 つまり、よくあるデマか噂程度のものだろう。



 ……世界中でダンジョンが出現して、はや10数年───。



 まだまだダンジョンの解明には程遠いが、アメリカなどの超大国では国家の威信にかけて調査を進めているという。


 もちろん、そのすべての情報が開示されている話ではないが、いくつかダンジョンが踏破され、攻略情報は各国で共有され、一部は民間にも開示されているのだ。


 今となっては情報を出し惜しみする方が危険ということで、よほど重要な情報以外は共有されているほど。


 ……それらの情報に基づき、比較的安全なダンジョンが民間にも開放されているのだ。

 つまり、今時、未知のモンスターなんてのが早々確認されるはずもないというわけ。


 そんなのがいるとすれば、軍隊ですら手を出せない深層くらいなものだろう。


 その深層も、大国が技術を駆使して、無人探査器材や新型ドローンなどで探っているという。


 情報こそ開示されていないが、アメリカや中国は、すでにその全貌を解明しているなんて噂だってあるし、……実際、ありそうな話だ。


 なんたってダンジョンは無尽蔵ともいえる資源の宝庫。

 危険を差し引いても、世界的な不況の今、せっかくの資源を遊ばせておく理由はない。


 深層域は危険すぎて採算が取れないというが、上層~中層は訓練を積んだ人間なら十分に進出可能で採算もとれるらしい。


 また、ダンジョン内では、金や銀のほか、『魔石』と呼ばれる膨大なエネルギーを秘めた未知の素材も取れるんだとか。


 まだまだ解析中らしいが、『魔石』には軍事・医療・エネルギー分野を飛躍的に発展させる可能性がある物質なんだとか。


 実際に、前のブラックな会社でもそういったダンジョン上層~中層でとれた素材を加工していた。

 『魔石』も、まれにモンスターの中から発見されたことがあり、その場合は厳重に梱包して親会社に転送していたものだ。


 ……ま、その確率は恐ろしく低いため、さすがにポンタが捕ってきたものの中には含まれていないだろう。


「───うん。つーことで、オーク肉はありがたく食わせてもらおう。……なんかポンタに養われてるみたいな気分になるけど、…………それもこれも不況が悪い!」


 いっそ、素材が売れればこれはこれで儲かりそうなんだけどな。


 とはいえ、ダンジョンに入るには資格が必要で、

 自衛隊か警察のそういう部署(・・・・・・)に行くか、

 あとは民間のダンジョン探索をしている会社に入るくらいしかない。


 ……むー。

 確かに、ダンジョン探索の冒険者系の求人は多いんだけどなー。体力勝負ってのがなー。

 あと、結構死者も多いという。

 その分福利厚生がしっかりしているというが、命を懸けるのはちょっと───。


 ───う~ん……。

 

 冒険者になれば素材も売れるんだけどなー。

(※ 一般人が素材を売るのは、今のところ違法なのだ)


 うーん、でもなー…………。


 頭の中の転職先がグラグラと冒険者に傾きそうになっている。

 しかし、片方の天秤には「命の保証」がデーン! と乗っかっていて、なかなか粘っている……けど、


「──────……ぼ、冒険者ってのも、あり、…………か?」


 い、いやいや、命の保証には代えられない。

 ……で、でも、高給で無職脱出の魅力もまた……。


 命の保証、

 無職……


 命の保証、無職───……


 頭の中でその二つが、グルグルグルグル。グルグルグルグル!


 うううううう…………!

 むむむむむむ…………!


 うむむむむううう──────……よ、よっし決めた!

「俺は冒険し───」




   ───ピンポ~ン♪




「ッ……?! び、び、っくりしたー!!」


 滅多に鳴らない呼び鈴にびっくり。

 誰かと思って玄関に向かおうとして、



  「──何ブツブツ言っての、おじさん?」


 

 …………ッ!?

 背後?!


(び、びっくりしたーーーーーーー!!)

 に、二度ビックリしたわッッ!!


 なんで背後に?!

 い、いつの間に背後にぃぃいい?!


 つーか、

「……い、いいい、いきなり入ってくるなよ恵美(・・)ぃ!! しかも、俺は入っていいとも何とも言ってないんですけどぉぉお───!」


 人様のおウチに、ピンポンからのノーウェイト(待ったなし)で入ってくるって───どういう神経してんの君ぃ?!


 チャイムを鳴らしてからノーウェイトで人の家の台所に入ってきたのは、セーラー服を着た少女だった。


 艶やかな黒髪に、出るとこは出てるわがままボディ。

 小柄なところがまたアンバランスでいい……!


 ───じゃないッ。


「はぁ? いきなりじゃないよ? ちゃんとチャイム鳴らしたじゃん」


 いや!!

「鳴らしたら、入ってOKじゃないから!!」


 どんな常識だよ!! 叔父さんが風呂でも入ってたらどうすんのよ?!


「どうもしないよ?」

「どうにかしろや!!」


 そこは「キャー!」とちゃうんかい!!


「あーあー。うっさい、うっさ~い。わーわーわー」

「聞・け・よ!」


 まったく……。

 あっけらかんとしていうのは、今時の子供の感性なのだろうか。


「もう、いちいち細かいよ? 可愛い姪っ子が来ただけでもお得じゃん」

「自分で可愛いとかいうな、馬鹿たれ!」


「えへへ」

「なんも褒めとらんわッ」


 …………まぁ、可愛いんだけどさ!! むかつくことにぃ!


 ……そう。コイツの名は高橋恵美。

 苗字から察することができると思うが、姉貴の娘。




 つまり、高橋の姪っ子だ────。

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