第10話「姪っ子に発見された……」
つまり、高橋の姪っ子だ。
アイドル級の可愛さを誇る、馬鹿たれ姪っ子──。
セーラー服からもわかる通り、今を煌めく女子高生というやつだ!!
そして、
くっそー……無駄に可愛いッ。ここ大事!
「それよりどうしたの? なんかポンタが玄関でションボリしてたけど……」
「あ、あー……それはその……。ちょ、ちょっと犬小屋が、ね」……ダンジョン化してて、ね。
「なんて?」
……ボソッと、そこはなんとな〜く濁して言う高橋。
「ふーん? ま、いいや。あ、そだ。なんか一階が、めっちゃ臭いんですけど?」
「え? そう? HAHAHAちょっと生ゴミ処理が追い付いてないのかも───」
ゴブリンとオークという、生ゴミ。
「ふ~~~~~~ん? 叔父さん風呂入ってる?」
「──入っとるわぁぁぁあ!」
失礼だね君は!!
無職だけど、風呂は入っとるわぁぁあッ!!
口さがないにもほどがあるわッ!
「……だいたい、何しに来たんだっつーの?!」
「えー、お使い的な? 後、暇だし」
「『的な?』じゃねぇ! 俺が知るかぁ!───あと、俺は暇じゃねぇ!!」
「無職は暇じゃん」
「暇じゃねー無職もおるわーぃ!!」
「無職=暇でしょー?」
「ぶっ殺すぞ、クソガキぃぃいい!!」
この野郎……!
無駄に可愛くて、無駄にデカイけしからんオパイをしよってからに!!
けしからん!!
実に、けしからん!!
「……触ったら殺すからね」
「触るかぁぁぁああ!」
つーか、シレッと、
───心を読むなぁっぁあああ!!
「いや、顔に出てるから」
どんな顔だよ!!
姪っ子の胸に注目中──ってどんな顔だよッ?!
「ぐ、ぐぬぬ……。落ち着け俺。ひっひっふー!ひっひっふー」
「それ、赤ちゃん産むときにやつだよ」
うるせぇぇえ!!
「今、俺の『怒り』が産まれ落ちようとしてるのぉぉぉおお!!」
なんなの?!
なんなのこの子ぉぉ!!
姉貴とは疎遠なので、あまりこの子とも本来接点はないんだけど、こうしてたまにズカズカと家に入ってくることがある。
何が楽しくてこんな三十路のオッサンの家に来るんだか───……あ、惚れた?
「んなわけないっしょ。おじさん頭わいてる?」
「口の利き方ぁぁぁあ!」
「就職してから言いなよー」
「うっせぇーわッ! お前だって学生だろーが!」
「アタシはバイトしてますぅー。ぶっちゃけ叔父さんより稼いでますぅ。月十万以上稼いでますぅ!」
ぐ、ぐぅぅうう……。
「ぐうの音もでないわ!」畜生……!!
叔父さん泣いちゃうよ?
「……っていうか月十万?! え、うそ?!」
「ん? ホントホント、ほ~れ、ほ~れ」
恵美の財布にビッーーーーーーシリと入った諭吉さん……。
ま、マジぇ?!
「ちょぇぇぇえ?! え、うそ!? 今時の子、こんなに金持ってるの?」
え、マジのすけ?
「え? なに?! ど、どーやって?! え、え? マジ、え?」
あ、もしかして───。
「援助なやつ?」
「殺すぞエロ叔父」
「誰がエロ叔父じゃ!!」
叔父は事実やが!
エロくはないわーーい!!
「はいはい。姪っ子ジロジロ見るのもほどほどに。……ま、そんなことより、無事みたいだね? よかったよかったー」
雑ぅぅ!!
「生存確認が雑ぅぅう!」
「だって、昨日、パトカーとか自衛隊(?)が来てたから、何があったのか確認して来いってお母さんがね。───万が一にもないだろうけど、無職に絶望して首くくってるかもしれないから~って、言ってたよ」
「……パトカー来てたの昨日なんですけどぉぉぉおおお!!」
そも、ジロジロってなんやねん?! 俺をなんやと思ってるねん!!
だいたい、心配して様子見に来るくらいなら昨日来いっつーーーの!
つーか、姉貴も心配してるなら自分で来いよ!
ああああああああ、もおおおおおおおおおお!!
「だって昨日、金曜ロードショー見たかったし」
「俺の命は金曜ロードショーより下なのぉ?!」
「うん」
「……返答、はやっ!!」
即答すなっ!
……つーか、それ21時開始だからね?
全然時間に余裕あったよね?
…………え。俺って実の家族からそんな扱い?
「うん」
「うん♪───じぇねーよ! 泣くぞ」
「『♪』まではつけてないよ?…………それより、叔父さん。それってオーク肉? え? 高級品じゃん」
───それよりって君ぃ! 俺の悲しみはそれよりなのか!!
えー。……何? 今時のJKってみんなこんな感じなの??
高橋の悲しみをよそに、フライパンの上でいい感じに焼けている肉を物欲しそうに見る恵美。
「………………やらんぞ」
「いいよ、自分で焼くから」
「おう───って、」
やらんっって言っとるだろうがぁぁあ!!
自分で焼いたらいいって意味じゃないからぁぁあ!!
「──って、もう焼いとるぅぅう!?」
自由ッ?
自由なの?! JKのJは自由のJ?!
「うわっ! すっごい油───! いい匂~い♪ ねねね、叔父さん! 余ってるならちょっと貰って帰ってもいい───って……?!」
「あ、ちょ!!」
ごぱっ
「…え?! 何この量?! あ、赤ッ!! 冷蔵庫、赤ーいッ! そして、ぐろーい!!…………って、ええー? これ全部オーク肉?! れ、冷蔵庫の中、肉ぎっしりで猟奇的なんですけどぉー」
フリーダムに台所を漁る恵美が冷蔵庫を開けると、ポンタが狩ってきたオーク肉がぎっしり……。
……み、み、見られたぁぁぁあ!




