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緊急用でカバンに入れてる絆創膏がいつ入れたやつなのか分からない

さぁやって参りました要塞地下。暗い、埃っぽい、寒いの三重苦が揃った素晴らしい場所です。


 今日ここで、地上最強が決定するッッ!


「あなたが天才中国武術家や、原始人やらのキャラをしっかりと作り込み、息を飲むような戦闘描写を鮮明に表現できるなら、どうぞ好きにやってください」


 よっしゃ。とりあえず予選から始めるか……


「やれると言うのか?自分にならやれるという自負があるのか?」

「この世に傲慢の罪があるとしたなら、それはきっと作者さんの事でしょうね」


 楽しいか?三流以下のゴミムシ作者をよってたかっていじめて……


 もっと構って


「だめだ、自分から小説で恥を晒しているようなドMに、なにを言っても効きやしない……」

「SMはちょっと……個人的には好きですが」

「ふはははは!相変わらず、愉快な客人であるな」


 ……そういえば、初めて会った時から思ってたんですけど……


 なんで喋り方クッ○大王なんですか?


「しー!思っても絶対言ったらダメですってそんな事!」


 だってワガハイワガハイって明らかにキャラ作ってるじゃん!普通に生活してきた人間の一人称がワガハイになる訳ないじゃん!


 デーモン小○閣下だけだからね?生まれながらにしてワガハイって言うのが許されているのは。


「いや、あれもたぶんキャラ作りで……」


 そんな訳ないだろっ!!!言って良い事と悪いことがあるぞ!!!


「えぇ……?でもこれは言って良いことですよね……?」


 うん!!!


「面倒くさいなこいつ……」

「……ワガハイのワガハイの話をするには、100年前のグランザ56世までさかのぼる……」


ぽわわわん……

「まーたグランザ56世だよ。織○信長だよ……あと昔話する時の効果音が古い……」

「なんでも当時に、世の中で大人気だったとあるテレビゲームがあったらしくてな……それに登場するキャラクターを見て、グランザ56世はこう言ったらしい」


『ワガハイは○ッパ大王だぞ~』


「……そこから始まったのだ、先祖代々受け継がれてきた、この由緒正しき一人称は!」

「本当にク○パ大王じゃねぇかぁぁぁぁ!!!」


 凄いなグランザ家!?もう100年間もクッパ○王のロールプレイしてるって事でしょ?尊敬に値する偉業だろこれ。


「あぁ、この100年間。グランザの人間は、どれだけクッパ大○になりきれるかを日々研究し続けたのだ。しかし……そこでこのワガハイ……ややこしいが、つまりは今のグランザであるワガハイが、その一家の研究に、とんでもない泥を塗ってしまったのである……」

「な、なにがあったんですか?そんなに深刻な問題が……?」

「うむ……ワガハイは……属性が多すぎたのだ……!」

「属性……?炎とか水とかそういう魔法の属性の事ですか?」

「キャラ付けの事である……!」

「金髪赤眼隻眼眼帯義手八重歯の事かよ!!重苦しい空気で言うから何事かと思ったら、くっだらねぇなクソが!!」


 ……ま、まさか……俺がサイコロ振って適当に考えたてんこ盛り属性のせいで、こんな悲しみを生んでしまっていたなんて………!


 すまないグランザさん……すまない……!


「ふっ、気にするでない。ワガハイは暗黒帝グランザ!誰が何と揶揄しようとも、ワガハイはグランザなのである!!」

「気高い王の精神……!感服します!」


 グランザに栄光あれ!!帝国に繁栄あれぇい!!!


「……何やら真面目そうな話に聞こえますが、様はゲームのキャラクターのロールプレイの話してるだけですからね、これ……」


 珍しく御手洗さんがツッコミになってる……話が脱線し過ぎた証拠か。


 よし、軌道修正するぞユウキ。たまにはおふざけを封印して、真面目にやろう。


「大体ふざけ出すのあなたの方ですけどね……どの口が言ってるんだが……」


 ごほん……地下はまたずいぶんと暗いんですね。それに何だか、あまり人間の出入りがあるようにも見えないような……何の場所なんですか?ここは。


「うむ。今はほとんど使われていないが、地下の半分程度は倉庫として、そしてもう半分は……牢屋として使われていたそうだ」

「牢屋、ですか。それはまた物騒な……」

「ワガハイもあまり詳しくは知らないのだが、罪人や魔物を閉じ込めるのに使われていたらしいぞ」

「『らしい』……ですか。その口調から察するに……もしや壊滅要塞ゼロビュートは、最初からグランザ家の物では無かったということでしょうか?」


 確かに。まるで以前の所有者から聞きかじったかの様な言い方ですね。失礼でなければ、壊滅要塞ゼロビュートの歴史を、簡単に説明して頂けますか?


「うむ。察しの通り、壊滅要塞ゼロビュートは、元はどこぞの国で開発された要塞である。それを100年前に、グランザ56世がなんとか制圧し、こうして代々、グランザ家の人間に受け継がれてきた訳である」

「……さっきちょっとグランザ56世の事バカにしてしまいましたが、改めて聞くと凄いなグランザ56世……こんな要塞を制圧するだなんて……」

「壮大な制圧戦であったらしい……グランザ家の被害も大きく、多数の死傷者も出た、悲惨なものだったそうな……」


 ……え、そんな一家の血と涙が滲んでいる要塞を、テーマパークみたいにしてるんですか……?


「うむ……最初は一時的な資金のやり繰りの筈だったのだが……思ったよりバズってしまったのだ……もう引くに引けぬ程にな……」

「そりゃバズるでしょうよ……完全な異世界人の僕でも行きたいと思いましたもん、壊滅要塞ゼロビュート見学ツアー……」

「羨ましい……私も早く人気になりたいものです……頑張ってくださいね、作者さん」


 あっはい……じゃなくて。なるほど、ゼロビュートにそんな歴史が……しかし今の説明を聞くに、シュワちゃまを見つけ出すのは難しそうだな……


「牢屋に鍵がかかっている事もあるでしょうし、何より要塞の地下と言うだけあって、広さが半端じゃ無いですからね……どうしたものか……」

「……あのぉ。前回も作者さんがおっしゃられていた事なのですが、改めて私の方からもよろしいでしょうか?」

「?なんでしょうか?」

「なぜチート能力をお使いにならないのですか?」


 ……あ!そうじゃん。ユウキの『思ったことが現実になる』チート使えばすぐにシュワちゃまを見つけられるじゃんか!


「……使いたくありません」


 な、なんでだよユウキ?遠慮する事は無いんだぞ?異世界転生した人間がチート能力を使うのは普通の事なんだから。


「そうですよユウキさん。せっかく手に入れた能力なのですから、好きな様に使って、名いっぱい楽しんで良いんですよ?」

「……それでも嫌なんです。僕は……僕は他人の努力を無下にしたくありません!」


 ユウキ……?


「今僕がここで能力を使って、いとも簡単にシュワを見つけてしまったら、ここまで僕たちを案内してくれたグランザさんや、今も必死になってシュワを探してくれているスタッフの皆さんを、バカにしているのと同じことになると思うんです。僕はそんな失礼極まりない事は絶対にしたくありません!」


 ……なるほどな。道理で頑なにチート能力使わなかった訳だ。


 分かったユウキ。チートは使わずに、しっかりと皆の力を借りてシュワちゃまを探そう!


「であるな。ワガハイもその方が道理であると思うぞ」

「はい。異世界転生モノとしては失格かもしれませんが、私個人としては、その考えには賛同致します」

「はい!ワガママを聞いてくださって、ありがとうございます!」


 へっ……良かったな、ユウキ……

(あっぶねぇぇぇ!?実は俺がうまくチート能力を使う場面を用意出来ていないだけって事に気付かれずに済んだぁぁぁ!!良かったぁ、ユウキが穢れ無き純粋な青年で……この流れを逃すものかよ!)


「それに、こうやって能力を温存しておけば、いつかは作者さんが『とんでもない見せ場』を用意してくださりますからね」


 はい、そうですね……はい?


「確かに。温存して温存して、いつか来るであろう『最高の見せ場』で能力を披露すれば、激アツ展開間違いなしですね!」


 あー……うん。ソダネ……

(あれぇ……?もしかして元より追い込まれてる……?とんでもないプレッシャーかけられてる……?)


「そうと決まれば、早速探しに行きましょうか」

「うむ。ワガハイもこのまま、案内人として同行しよう」

「よろしくお願いします!作者もそれで良いですよね?」


 どうしようかな…….最高の見せ場……なんも思い付かない……


「作者?どうしたんですか?虚ろな目でブツブツと……」


 いやぁ?何でもないよぉ?早く行こうぜ!すぐに行こうぜ!何もかも忘れてさぁ!!


「なんかすごいやる気だな……別に良いけど……」

「倉庫側は既にスタッフを手配してあるのでな、ワガハイ達は牢屋側を探すとしよう」

「はい。待っててねシュワ……!」


 しかし牢屋か……こんな暗くて静かで、虫とかネズミとか居そうな牢屋に閉じ込められたら……シュワちゃま泣いちゃうだろうなぁ……かわいそうに。


「……え?シュワってそういう感じなんですか?」


 え?うん。ひとりぼっちだと泣いちゃういっちゃいのおこちゃまだよ。


「そ、そうなんですか?それはまた、なんというか……」

「凄まじいギャップ萌えですね……人気が出そうで羨ましいです……」


 あ、これ俺が言ったの内緒だぞ?バレたらまたシュワちゃまによる朗読劇が始まりかねない……


「?朗読劇?それにずっと気になってたんですけどシュワちゃまって……二人だけの時に、ずいぶんと仲良くなったんですね」


 ふっ……迷子の結束を舐めるなよ?


「威張れることですか、それは……と言うかお前も迷子だったんかい。てっきりシュワが心配で付いていたのかと思ってたのに……」


 ……あ、そういうことにしておけば良かったのか……じゃあそういうことにしといてくれ。俺は迷子じゃなかった。迷子だったのはシュワちゃまだけ。つまり俺の方が偉い!


「いっちゃいのおこちゃまと張り合わないでくださいよ、みっともない……」

「ほら、こっちだ客人達よ。この通路の先が、ゼロビュートの誇る巨大な牢屋……『天使の遊び場』である」


 天使の……遊び場?なんか牢屋の名前にしては、ずいぶんとメルヘンな……


「どうにも管理がずさんな牢屋であったらしくてな、捕らえられていた囚人が飢えに苦しみ、そして何人も力尽きていたそうだ。そうやって度々『天使が訪れて、囚人の魂を天界へと運んでいった』という餓死への比喩的表現から、『天使の遊び場』と、そう名付けられたそうな」


 ふ~ん……やだ超怖いじゃん……名前は天使なのにやってること悪魔ですやん……


「なんでこう、闇の深い場所の名前って、ちょっとおしゃれな感じになるんですかね……」

「恐怖や狂気は、芸術としての価値が生まれやすいですからね。真に恐ろしいのは、いつだって人間の創造力です」

「見ての通り、足元が暗いのでな。このランタンを持って慎重に歩くが良いぞ」


 あれ、眼帯のライトは使わないんですか?


「ふはははは!あれは夢が無いと言われたのでな!眼帯の機能はしばらく封印である!」

「お心遣い、痛み入ります」

 

 お手数お掛けいたします。わざわざこんな格好良いランタンまで用意して貰えるなんて。


「良いのである!ワガハイもランタン使ってみたかったのである!ワクワクするのである!」

「見てくださいユウキさん。こういう仕事に楽しみを見出だせる人が、この世で一番強いのです」

「はい。参考になります!」


 そのちょくちょく入る御手洗さんの社会人講座の方が、眼帯のライト機能よりよっぽど夢が無いような気がするんですが……これもランタンみたいなワクワクする物に変えれないかな……


「セクシー講座の方がよろしかったですか?それでしたら今すぐにでもワクワク出来ますよ」


 それはたぶんワクワクするんじゃなくて、年齢制限がかからないかの緊張で心拍数が上がるだけだと思います……


「出発である!このグランザの後ろに続くが良い!」

トコトコ……

「……グランザさんって、結構身長低いじゃないですか?」


 そうだな。あと顔も眼帯してるから分かりにくいけど、結構童顔。


「……あの見た目でランタン振り回しながらトコトコ歩いてるの見てると……なんというか……」


 ……子供感凄いよな


「はい……あの独特な喋り方もなんだか、子供のごっこ遊びに思えてくるって言うか……」


 ただでさえ金髪赤眼隻眼眼帯義手八重歯なのに、そこに低身長童顔子供っぽいまで追加となると、流石に属性過多で胃もたれしてくるな……


「なんだか、よりじゅげむ感が増しましたね……」


ピリリリリ!

「む!おやつの時間である!チョコレート食べるのである!」


 くそ!甘党まで追加されたぞ!一体どこまで伸びるって言うんだ、グランザさんの属性は!


「確かに、あれはもう○ッパ大王の面影は無いですね……あまりにイレギュラーが過ぎる……」

「あのぉ、お二人とも?ちゃんとシュワさんの事探していますか?お話に夢中になるのも良いですが、やるべき事はきちんとやりましょうね」

「すいません……」

 すいません……


「む?困ったな……この扉、鍵が閉まっているである」


 鍵はどこかに保管されているんですか?


「いや、それがどうにも、制圧された時の争いで、何本か鍵が失われたらしくてな……この様に、鍵の無い扉がいくつもあるのだ」

「困りましたね……扉は鉄で出来ていますから、無理矢理開けるのも難しそうですし……」


 うーん。向こう側から開けられたりすればなぁ……


「……あのぉ。作者さんに扉をすり抜けて貰って、向こう側から開けて貰えば良いのでは無いでしょうか?」

「……あ、確かに。作者は概念なのですから、扉くらいすり抜けられるじゃないですか?」


 いや、それは無理だ。


「なんでですか?まさかすり抜ける事は出来るけど、物に触ることは出来ないとか……?」


 そんな便利な設定を俺に付けてしまったら、今後の展開考える時に邪魔になるからだ!!


 想像してみろ!この先『密室殺人事件』とか起こった時に、物をすり抜けられる俺が存在したら、なんか密室って強調してるのがバカらしくなるだろうが!!


 どこかに閉じ込められたりした時に『でも作者がいるから開ければ良いじゃん?』とかツッコまれたりしちゃうだろうが!!


 そんな大層な便利設定、俺には到底扱いきれないぃぃぃ!!!


「あーもう!分かりました分かりましたから!なんて情けない人なんだ……」

「あー……では私が素手で無理矢理鉄の扉を破壊するのも、止めた方がよさそうですね」


 ……え、出来るんですか?


「出来ますね。鉄製程度でしたら、素手で破壊出来ます」


 や、止めておきましょう……その怪力設定も、俺には扱いきれそうにありません……


「くそ!作者の能力が低いばかりに、無駄に色々な制約が出来てしまう!」

「仕方ないのである。別の道を探そう」


 ふ、不甲斐ない……俺にもっと力があれば、こんな事には……!力が……力が欲しい……!


「0はいくら鍛えても0ですよ」


 あ、ちょっとそこの角で泣いてきますね。泣き止むまで時間かかると思うから、今回の話は一旦終わりにします。探さないでください……


「面倒くさ……」


 一週間くらい泣いてやろうかこの野郎。

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