表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
97/580

第十三話 ピンクでマジック 中編 5

 「僕の洗濯物の中に、女物のパンツが混ざっててな。ピンクの物なんだけど、お前のかなって思って」


 そうか、最初からこうやって聞けば良かったんだ。


 安は妙に意識するからダメなんだ、と一人納得した。


 「私、そんな子供っぽい色のパンツ持ってないわ。ベージュとかグレーよ」


 雪も意識してないのか、それとも安を男として見てないのか、平然と下着の話をしてきた。


 安も雪に同調する。


 「そうか、ちょっと困っててさ」


 「そうよね。大の男が女物のパンツ持ってるなんて、おかしいものね」


 「持ちたくて持った訳じゃないって。いいんだ、一応誰の物か見当もつけてるし、念のため確認に来ただけだから。ありがと」


 安はふっと気を楽にして、階段を降りていった。


 この調子で矢守に聞いて、最後に優乃ちゃんに渡せばいいんだな。


 最初から直接優乃の所に行けばいいものを、安の思考もかなりおかしくなっている。


 あいつ、一人で全員に聞く気かしら。私にでも頼めばいいのに。バカね。


 頼まれてもやる気がないのに、雪は思った。



 安は部屋に戻ると、まず昼食をとった。


 腹ごしらえをしていかんとな。


 すでに意識している時点で負けているようななものだ。しかし安の中では、矢守が最後の山のようなものだった。おそらく下着の説明をした時点で何かしてくるのは間違いない。迫ってくる分には何とでもなるが、これを弱みとつけ込んで来るかも知れない。そうなっては安としては困ることになるに違いない。


 安の考えは意識しないで行こうから、強気で押して行こうに変わっていた。



 昼食を食べ終えて、よしっと気合いを入れる。安は矢守の部屋に行くと、戸を叩いた。


 コンコン


 「矢守、矢守」


 しばらく待ってみたが、部屋から返事は返って来なかった。さらに二度三度叩いて呼んでみたが、物音すらしなかった。


 まずいぞ。


 安は考えた。


 矢守で確認を取って、その勢いで優乃の所に行く予定であった。それがいきなり途切れてしまっては、計画が水の泡だ。万が一ここで優乃にバッタリ会ってしまっては、パンツの事を聞かなければ後々不自然になってしまう。一時退却。急がば回れだ。

 安は自室に戻って矢守を待つことにした。



 夕方。矢守の返ってきた様子に気付いた安は、早速気合いを入れて、矢守の部屋に行った。


 コンコン


 戸の音に、中から「いいわよー」と返事が返ってきた。


 「あら、安さん」


 誰かと会っていたのか、いつもよりしっかりした化粧に、格好のいい服を着た矢守が言った。


 「矢守、どこか行ってたのか」


 安は部屋にはいると自分を落ち着かせるため、まず世間話から入っていった。


 「今度、雑誌にマンガ載せてもらうことになったの。連載じゃないんだけど、その打ち合わせよ。でもなぁに、安さんが私の部屋に来るなんて、めずらしい。私に会いたくなったの?」


 矢守は人差し指を下唇に当て、流し目をしながら安に迫ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ