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近未来SF短編集 in United Corporation of JAPAN  作者: あのワタナベ
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強盗狩り


 発砲音が遠く響く。


 どこかで強盗か、強盗(チンピラ)狩りの自警団(ビジランテ)が戦闘でもしているのだろう。

 そう思いながら敷地内に設置した警備カメラの映像を眺める。


 おっと、これだ。低光量下でモノクロになった映像の一つを拡大。町内会とステンシルされた揃いのコートを着込んだ若者たちがショットガンやアサルトライフルを構え、貧相な拳銃を持ったチンピラを取り囲んで金網に追いつめている。


「おーい、町内会!! うちの敷地に弾が飛び込んでるぞ」


 カメラに付属のスピーカーで警告。


「すんません!! お怪我はありませんか!!」

「だいじょうぶだ。そいつらは何者だ?」

「地域住民を相手に路上強盗をやってました!! 次から気をつけます!!」

「おう、そっちもごくろうさん!!」


 一瞬チンピラ達にうかんだ希望。戦闘を止めてくれるとでも思ったのだろう。だがその希望もあっという間に消え果てる。


 数発の閃光とともに崩れ落ちた肉。みずから通報していたのだろう。端末と銃を持った自警団員(ビジランテ)企業警察(コープコップ)の一個小隊が建物の影からゆっくりと姿を現す。

 現場検証だろうか、端末とドローンで周囲を撮影すると一言二言言葉を交わし、続いて現れた警察車両に新鮮な肉塊(フレッシュミート)を積むとそのまま走り去った。



「なんだった?」

「強盗狩り」


 買い取り屋の問いに調達屋が答える。


「向こうじゃ銃声なんて聞かなかったから落ち着かねえ。こっちじゃよくあることなのかね」


 こっちでは最低でも一週間に一回は銃声が響く。


「まあ普通に生活してたら大概は出くわさないさ。心配なら銃を持つか?」

「そうだな。一丁くらいは持ってないと不安で仕方ねえ」

「奥の101番コンテナに銃と弾がしこたま(・・・・)隠してあった。気に入ったのを持っておきな」

「じゃ飯食ったら覗いてみる」

「おう、俺も懐につっこんどかないと収まりが悪い。一緒に行くか」


 俺の稼業じゃハンドガンの一丁も持ってないと不安だからな。長年の経験ってのは(タチ)が悪い。

 二発でニューイェン硬貨一つの安くもないが高くもないものを懐に抱えていないと安心できないのはなんなんだろうな。二発で三ニューイェンのショットシェルならもっと安心だ。


 死んだらおしまいだから、使うべき所に使う。

 金で買える安心と金で買えなくもない命なら確実な方を選ぶね。



「どうよ、なんかいいのはあったか?」

「俺好みなのはリボルバーなんだがな。オートばっかりでリボルバーは大口径しかないな」

「これはどうだ?」


 といって短いバレルのリボルバーを差し出す。

 S&WのM500か。骨董品だ。

 シルバーメッキでやたらとでかい。


「こりゃ猛獣撃ちだろ。でかすぎる。ベルトに挿して護身用、なんてネタにもならねえぞ」

「ならオートに主旨替えしな。まともなリボルバーは置いてねえ」

「38口径のスナブノーズが欲しかったんだが、あきらめるしかなさそうだ。サブコンパクトでいいのあるか?」

「ならこいつかな、グロック30。モノは骨董品だが弾は流通してるし、在庫も山ほどある。フレームは互換品が出てるし、パーツが手に入らないって事はないだろう」

「なんで45口径なんてデカブツなんだ?」

「ステイツの宗教だろ。あの国はなんでもでかいのが好きだからな。それにアーマーピアシング弾ならレベル2の皮膚装甲移植ダーマルプロテクションを抜ける」

「サイボーグ相手でもプレートを背負ってなければなんとかなるか」

「同じようなバレル長なら45口径版は9mmのアーマーピアシングより効果が高いらしいぞ」


 端末でカタログを眺めながら解説してくれる。


「ふん、九発か。まあ普段用なら十分だ。やばそうならショットガンなりAR-15なり担ぎ出しゃいいだろ」


「そんな時が来ないことを祈るね」


 などと言っている割にでかいライフルに弾を込めている。


 やる気まんまんじゃねえか。


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