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近未来SF短編集 in United Corporation of JAPAN  作者: あのワタナベ
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なんでも屋と用心棒 作業


 くっそめんどくさい作業をしている。

 ライン工にでもなった気分だぜ。

 いや、ライン工をやったことはないんだけど。俺は警備業務一本だったからな。


 今日は淡々と部屋で作業だ。


 なんでも屋が作った電子回路を出力(プリント)屋が印刷し(つくっ)たボディに詰めて部品を差し込む。バネとピンを刺して電池を入れる。基板から伸びているケーブルにテスト用の回路をつないでピンを抜く。時計をにらめつつブザーが鳴るまでを計測。きっかり4秒であることを確認。テスト回路を取り外し、ピンを戻し電池を抜いて挿し直す。これを延々繰り返す。

 弟子はそれを受け取り加工されたボディをねじ込む。


「いつまでこれを続けりゃいいんだ?」

「お前が使う分ができるまでだよ」

「二、三個あれば、それでよかったんだけどな」

「秘密兵器用と予備だよ。人間相手にゃ目眩めくらましくらいになるし、運が良けりゃ警戒して近づいてこねえようになるだろ。使わなかった分は売りさばくさ」


「こっちの分、終わったよ。次はまだ?」

「もうちょい待て。ほれ」


 三人で作業が終わった部品を順番に渡していく。


「こんな即席手榴(しゅりゅう)弾でどんだけ効果がある?」

「装甲なしの部分がズタズタになる程度だ。お前も手榴弾が欲しいって言ってたじゃねえか。グダグダ言ってねえで手を動かせ」


 30個ほど作って今日の作業は終わり。


 翌日の作業。

 弟子が手榴弾の本体(ボディ)を上下ひっくり返し、紙のスリーブを刺す。ボディと紙の間に鉄球を流し込むと接着剤で固定。硬化待ちの間に俺が紙のスリーブ内部に爆薬を詰める。後は紙を敷き、鉄球を敷き詰めて接着剤を流しこむ。硬化前に蓋をねじ込めば手榴弾の完成だ。ガワ(・・)がプラスチックで玩具おもちゃのようだが実用的な爆薬を詰めてあるので威力は十分。


 二人だけの流れ作業だ。今日はなんでも屋は出払っている。




 家庭用プリンタを改造した薄膜金属プリンタを操作する。端末からデータを送って、プリント処理を実行。これは安物プリンタだからフィルムの上にシール状の電子回路を作るだけだ。必要な場所に直接プリントはできない。高級機だと可能だとか言ってたが、あるものでどうにかするしかないだろう。


 プリントアウトするのはアブなんとかを利用した強化神経の応用。電流を流して筋力をむりやり強化するのと同時に、貼った回路自体が伸び縮みして補助してくれるステッカー型強化神経&強化筋肉だ。

 バッテリーは外付けだが出力は強化外骨格(エグゾスケルトン)やマッスルスーツよりは弱い。その分、どこのご家庭でも、とはいかないがビルの一室でプリントアウトするくらいには手軽に作れるらしい。

 これのアイデアと制御ソフトはなんでも屋の弟子。ステッカー自体は剥がすまでの使い捨てだが、あるだけ上等。強化外骨格(エグゾスケルトン)なんて普通のルートでは手に入らない。せいぜい軽作業用の補助くらいが関の山。反応速度も出力も段違いだ。


「ためしに出力してみたから、腕にくっつけてみて。動きは録画(キャプチャ)してフィードバックさせるから」


 まいどお馴染なじみのAI学習。


 背中、腹、肩から腕、上腕から前腕、指にシールを貼られた。

 腰の後ろにバッテリーをつけて、背中ごしにケーブルが伸びる。この線もシールにできないのか?

 そう問うと。


「伸縮の限界があるから無理。そのうち改良する」


 弟子もなんでも屋もいろいろ考えてくれているようだけれど、いまいちかゆい所に手が届かない感じだ。


 文句を言える立場でもないんだけどな。


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