事務職2
うちの警備部はなにをしている。
襲撃されるのはまあ仕方がない。だが撃たれたのが、よりによってなんでアイツなんだ。何のための警備部か分かってないな。襲わせないための抑止力だぞ。派手に弾バラ撒いて相手に引かせるくらいの事をなぜしなかったんだ。
しかも今、行方不明ってのはどういうことだ。退院後は慰留させろって指示を出してただろうが。
くそ。アイツを回収しないとマズい。上にバレたらただじゃ済まされない。
そう思っていた矢先、オフィスに呼び出される。
上司が今、目の前にいる。
「で、例のものはいつ届くのかね?」
「今、調整中です」
冷や汗がとまらない。
「強襲班を準備、待機させなさい」
「ちょっとまってください!!」
「対象の位置は分かっているのだろう?」
「一応うちの社員なんですよ!!」
「だった、の間違いだな。もう辞めたそうじゃないか。
しかも厳重監視指定だったのに退職時の備品回収処理も行わずに。
元社員とはいえうちの試作品を埋め込んで社外を歩いているというのは保安上よろしくなかろう」
「……」
「すぐに回収を。穏便に済まそうがそうでなかろうが機密が我々の管理を離れるのは許容できん」
「彼は、いえ、対象は試作品を装備していることを自覚していません。本人はあくまで旧式の強化心肺と神経系だと思っています。
事実、情報を持っていなかった現場が減価償却済みとして処理してしまいました。交渉の余地は十分に」
「君にできるか? 無理なら強襲班に回収か破壊をさせるがね」
「連絡を取って、退職手続きに不備があった、補償も充分ではなかったため一般用の高級義足化手術の提供を、と持ちかけます。その際に回収を行います」
「現場復帰を要求される可能性は? 試作システムありきの前線実験部隊だろう」
「あり得ますがそこはなんとか。最悪、系列の警備部を紹介という形で」
「本人に悟られずに可能かね?」
「対象の行動範囲に心当たりがあります。同僚からの嘆願があったと言えば無碍にはできないはずです。実際、そういう声が上がってきてましたので」
「なら今回は君に任せよう」
心労がたえない職場だ。




