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第十五話:どちらかを選べ

時間制限、同時多発危機、そして選択。


さらに――

ここではすでに“別の選択”も同時に動いています。

「緊急警報!」


 アラートが、叩きつけるように鳴る。


 「東欧戦線、大規模兵器起動確認!」


 モニターに映る都市。


 人口、約120万。


 中心部に、異常なエネルギー反応。


 「……何だ、これ」


 ナポレオンが即答する。


 「戦術核に近い」


 背筋が冷える。


 「起動まで?」


 「……残り28分」


 空気が凍る。


 その瞬間――


 別の警報。


 「中東戦線、指揮系統崩壊!」


 画面が二分される。


 全面衝突寸前の戦場。


 「……連動してる」


 ナポレオンが低く言う。


 「選ばせるつもりだ」


 信長が笑う。


 「どちらを殺すか、な」


 ガンディーが言う。


 「選択を強制しています」


 家康が言う。


 「時間がない」


 心臓が跳ねる。


 理解する。


 これは――


 選択だ。


 「……二つある」


 ナポレオンが言う。


 「A:東欧都市を救う」


 「B:中東戦線を止める」


 信長が言う。


 「Aを取れば、都市は助かる」


 ガンディーが言う。


 「だが、戦争は拡大します」


 家康が言う。


 「Bを取れば、戦争は止まる」


 ナポレオンが言う。


 「だが、都市は消える」


 沈黙。


 「……両方は?」


 分かっていても、聞く。


 ナポレオンが即答する。


 「無理だ」


 信長が言う。


 「間に合わぬ」


 ガンディーが言う。


 「……難しい」


 家康が言う。


 「時間が足りぬ」


 残り25分。


 そのとき――


 通信が割り込む。


 あの男。


 「いい状況ですね」


 冷たい声。


 「あなたの選択で、未来が決まる」


 拳を握る。


 「……黙れ」


 男は続ける。


 「どちらも救えません」


 「だから選んでください」


 「“誰を殺すか”を」


 心臓が軋む。


 ナポレオンが一歩前に出る。


 「答えは一つだ」


 迷いなく言う。


 「Bを選べ」


 「戦争を止めろ」


 「長期的に見れば、それが最も多くを救う」


 そして――


 静かに続けた。


 「これは提案ではない」


 空気が変わる。


 「すでに私の側は動いている」


 理解が追いつかない。


 「……何をした」


 ナポレオンは答えない。


 ただ、モニターの別画面が開く。


 中東戦線。


 すでに――


 流れが変わり始めている。


 強制的に。


 「……勝手にやったのか」


 信長が笑う。


 「いいではないか」


 ガンディーが言う。


 「……それは」


 家康が言う。


 「分裂じゃな」


 俺は、ナポレオンを見た。


 「……なんでだ」


 ナポレオンは短く言う。


 「遅いからだ」


 言葉が刺さる。


 「お前は迷う」


 「だから、私は進める」


 残り20分。


 ガンディーが言う。


 「私はAです」


 「目の前の命を見捨ててはいけません」


 信長が言う。


 「どちらも切れ」


 家康が言う。


 「……決めよ」


 視線が、刺さる。


 俺に。


 リナの顔が浮かぶ。


 守れなかった記憶。


 今、また同じ選択。


 「……俺は」


 息が詰まる。


 選べ。


 選ばなければ、両方死ぬ。


 目を閉じる。


 そして――


 開く。


 「……Aだ」


 沈黙。


 ナポレオンが、わずかに眉を動かす。


 「愚かだ」


 ガンディーが、静かに頷く。


 信長が笑う。


 家康が、目を細める。


 「都市を救う」


 それしか言えなかった。


 「今、目の前で死ぬ命を見捨てない」


 ナポレオンが吐き捨てる。


 「戦争は広がる」


 「分かってる」


 「なら、なぜだ」


 答えは一つ。


 「……同じことを、繰り返したくない」


 残り15分。


 「作戦開始!」


 全リソースを都市へ集中。


 通信遮断。


 エネルギー制御。


 局所制圧。


 時間が削られる。


 「残り10分!」


 汗が落ちる。


 「間に合え……!」


 そして――


 残り0分。


 静寂。


 「……停止」


 「起動、阻止成功」


 力が抜ける。


 だが――


 別の画面。


 中東戦線。


 すでに――


 ナポレオンの介入で、戦局が“制御”されていた。


 だがその代わりに――


 別の地域で、戦火が拡大している。


 ナポレオンが言う。


 「……始まったな」


 俺は、何も言えなかった。


 両方、動いた。


 両方、正しかった。


 そして――


 両方、壊れた。


 「……これが、分裂だ」


 家康の声。


 重い。


 それでも――


 「……続ける」


 かすれた声。


 「止める」


 もう戻れない。


 この戦いは――


 一つじゃない。


 分かれたまま、進むしかない。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


分裂したまま、両方の選択が同時に動きました。


どちらも正しく、どちらも代償がある。

そして、完全な成功にはならない。


ここからはこの“ズレ”がさらに大きくなっていきます。

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