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第十四話:お前のやり方では終わらない

ここから空気が変わります。


これまで協力していた関係に、明確な亀裂が入ります。

正しさではなく、“選択の違い”が表に出てきます。

「……非効率だ」


 ナポレオンの声は、はっきりしていた。


 静まり返った室内に、その一言が落ちる。


 誰も、すぐには反応しない。


 だが――


 空気が、変わった。


 「……なんだと」


 俺は、ゆっくり振り返る。


 ナポレオンは、腕を組んだまま言う。


 「お前のやり方だ」


 「救う、守る、均す」


 「全部やろうとして、全部中途半端だ」


 言葉が、刺さる。


 信長が、くつくつと笑う。


 「言うではないか」


 ガンディーが静かに言う。


 「言葉が強すぎます」


 家康は、何も言わない。


 ただ、見ている。


 ナポレオンは続ける。


 「結果は出ている」


 モニターを指す。


 燃え続ける戦場。


 「止まっていない」


 「むしろ、広がっている」


 拳を握る。


 「……分かってる」


 「ならば、結論は一つだ」


 ナポレオンが、一歩前に出る。


 「やり方を変えろ」


 「……どう変える」


 聞いていた。


 分かっていても。


 聞かずにいられなかった。


 ナポレオンは、迷いなく言った。


 「切り捨てろ」


 沈黙。


 ガンディーが、わずかに目を開く。


 信長が笑う。


 家康が、目を細める。


 「救えない場所は、見捨てる」


 「優先順位を決める」


 「重要な戦場だけを止める」


 「それ以外は、放置だ」


 言葉が、冷たく落ちる。


 「……ふざけるな」


 思わず、口に出ていた。


 ナポレオンは、表情を変えない。


 「現実だ」


 「それで人が死ぬ」


 「今も死んでいる」


 言い返せない。


 「……違う」


 かすれた声。


 「見捨てるためにやってるんじゃない」


 ナポレオンが、初めて感情を見せる。


 わずかに、苛立ち。


 「ならば、全員救うのか?」


 答えられない。


 できるはずがない。


 「できないことをやろうとするな」


 その一言で、空気が凍る。


 信長が言う。


 「弱いな」


 ガンディーが言う。


 「それでも、人は理想を持つべきです」


 ナポレオンが振り返る。


 「理想で人は救えない」


 家康が、ようやく口を開く。


 「……どちらも正しい」


 全員が、止まる。


 「だから厄介なのじゃ」


 沈黙。


 俺は、ナポレオンを見た。


 「……じゃあ、お前はどうする」


 ナポレオンは言った。


 「私がやる」


 空気が、変わる。


 「お前のやり方では遅い」


 「私のやり方で、終わらせる」


 信長が笑う。


 「面白い」


 ガンディーが言う。


 「それは危険です」


 家康が言う。


 「分裂するぞ」


 ナポレオンは、気にしない。


 ただ、俺を見ている。


 「選べ」


 その一言。


 「お前のやり方で続けるか」


 「私に任せるか」


 心臓が、強く打つ。


 逃げ場はない。


 どちらかを選べば、どちらかを捨てる。


 リナの顔が、浮かぶ。


 救えなかった記憶。


 救った命。


 そして――


 今、燃えている世界。


 「……」


 言葉が出ない。


 そのとき――


 信長が笑った。


 「どちらも選べばよい」


 全員が、見る。


 「分けろ」


 「戦をな」


 ナポレオンが目を細める。


 ガンディーが息を止める。


 家康が頷く。


 「……なるほどな」


 理解する。


 「……二つに分けるのか」


 信長が言う。


 「そうじゃ」


 「お前は、お前のやり方でやれ」


 「ナポレオンは、ナポレオンのやり方でやる」


 沈黙。


 それは――


 チームの分裂だった。


 ナポレオンが、わずかに笑う。


 「合理的だ」


 ガンディーが言う。


 「……危険です」


 家康が言う。


 「だが、進む」


 俺は、ゆっくりと言った。


 「……やる」


 もう、戻れない。


 正しさは、一つじゃない。


 だから――


 「分ける」


 ナポレオンが頷く。


 信長が笑う。


 ガンディーが目を閉じる。


 家康が、静かに見る。


 世界は、まだ燃えている。


 だが――


 その止め方は、二つに分かれた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


ここで明確に「分裂」が起きました。


これまで一つだったチームが、

異なる方法を選ぶことで二つに分かれます。


どちらが正しいのか。

それとも、どちらも間違っているのか。


ここから物語はさらに揺れていきます。

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