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210話 私を知っても、どうかついてきて

私の目の前には、人間が4人いる。

『この世界の真理』ってやつに触れちゃった専属使用人たちがいる。

四者四様、茫然としてたり頭抱えてたり、大変なありさまだ。


鉄格子がはまってる窓から外を見れば、すっかり日が落ちていた。

太陽が長い時期だから、これは結構喋った証拠だ。

何をしゃべったって、そりゃあ……


『私(原作者)に関するすべて』だ。

私がスラムに生まれて、成り代わって……それよりも前のこと。

成り代わってから私が国外逃亡するまでで現実に起こったことは割愛。だって4人とほぼ毎日一緒だったし、怒ったことは私よりも覚えてるから。


主軸となったのは、やっぱり私が「この世界の未来を知ってる」こと。

そして「私自身がこの世界をつくっていた」こと。



「ええっと……?でぃあーなさまはらいらさんで、でもじつはこのせかいをつくったひと…?」

「頼む、あたしたちと同じ言語でもう一回話してくれ。アタシ馬鹿なんだな、言われた内容が理解できねぇ。聞き間違ったのか?」

「間違いじゃないですよアテナ。ディアーナ様は間違いなく『この世界は自分の描いた物語の世界』だとおっしゃいました……それを変えるためにこれまで奔走されていたとも」

「やっぱり許せなくなりそうですこの偽物。じゃあこいつがアンナが死ぬとか書かなければ死ななかったんじゃないんですか?これまでこの世界で出た命の犠牲のすべての元凶じゃないですか」



有能な専属使用人全員が理解不能からのノックアウトするとは思わなかったけど。

いや、するか普通。

だって「この世界のすべては紙の上だった」って言われてるんだ。

怒りもするし、戸惑いもする。


みんなは、私も含めてこの世界を生きてきた人間。

それを事実だと受け入れる以前に、私が頭おかしいと思われてもしょうがない。

私でもそうする。


だから私にできるのは、できる限りの疑問に答えることだけ。

みんなに『完全なる私の味方』でいてもらうために。


一部、猛反発にあっているけれど。



「確かに、アンナ王妃は確かにわたくしが『ディアーナ七歳の誕生パーティーで暗殺』って書いてしまったけれど」

「殺人者じゃないですか見損ないましたシクシク。人を創作上で殺して心も痛まないなんて化け物ですか?」

「オメーは直接人殺して表情一つ変わらねぇ異常者だろ棚上げすんなジーク」

「そうですよ!空想することは自由です。でも、それがこの世界っていうのはちょっと、受け入れにくいですけど……」



ジークの言い分はごもっともだ。

彼の大切な人の運命を決めたのは私だし。


ディアーナ王女というキャラを立たせるために「衝撃的な過去」を作った。

死なんて創作上珍しくもなんともないって当時は書いてたけど、アンナは殺されなければならないほどの何かをしたわけでもない。

裏設定では過去彼女が関わった戦争か事業で恨みを買ってたとか、新しい王妃を据えたい何者かの謀略とか考えてたな。


そういう考えなら、私は間違いなく人殺しだ。

でも、でもだよ?

文章で書いただけだ。

別に私自体は悪いことなんてしてないのに。



「ですが、そもそもディアーナ様が物語を書かなければアンナ王妃はおろか自分たちも存在していません。それに、それを言うならこの世のすべての作家が重罪人になりますよ」

「そう!そうよ。わたくしはただ書いただけですもの!それに、この世界に転生してからは原作の悲劇を繰り返さないように手を回したりたくさん動いていたし」

「でもアンナは死んだんですが?なんですか、運命は変えられないとでも?」

「それは……それは本当にわからないのよ…」



痛いところしか突いてこないじゃないジーク。

アンナは、私が意図的に死亡フラグをぶち折ったのに死んだ。


運命というか、原作通りに行かせようとする力が働いてるのかなって予想してるけど、それだと説明がつかないことも多々ある。



「だからその、わたくしはこれまで誰にも言わなかったわ。でも、もうすぐ大きな出来事が起こるのにわたくしだけではどうにもならなくなったからあなた達に言ったの」

「どうにもならない?ディアーナ様ってこの世界の全部を知ってるんじゃないんですか?」

「メリー……そんなに簡単だったら、わたくしはこの秘密を抱えたまま生き抜くつもりだったわよ」



そう、アンナの死は私が「物語の修正力」の存在があるかもと考えたきっかけ。

だけど明らかに私が作中に出してない『魔法』はダイレクトにこの世界に根付いて、行動すら変える威力がある。


それらはもう原作者の私の考えすら凌駕した。

こうなったら一人で抱えてなんていられないでしょ?

幸い、私より有能な専属使用人がここに4人もいるんだから!



「わたくしはこれまで自分の書いた原作を変えようとしてきた。それは実際にいくつかは成功している……でも、これから起こる大事に向けてすべては大きく動きを見せる…はずよ」

「質問いいか?お前がその大事に重きを置いてるのはわかったよ。でも一番重要なことあたしらに言ってねぇだろ。お前が未来知ってるとかとりあえず抜きにして、あたしらに何を望んでるんだ」

「そうですね。ディアーナ様、どうかご命令ください。専属使用人の自分たちに『何』を求めますか?」



アテナとコマチは切り替え早すぎでしょ。

アテナは理解するのめんどいって理由でしょ十中八九。

コマチは、もしかすると全部理解したのかもしれない。だとしたら怖いけど、コマチならありえそう。


だけど、そうだね。

4人に何を望むのか。

今の私は、王女じゃないって4人にバレてる。

それでも力を貸すって言ってくれることが、どれだけ心強いか。


私の望みがどんなに重くても、きっと尻尾撒いて逃げない確信が、ある。



「あなた達に望むのは……幸せなディオメシアをつくること」



七年間でつけたみんなの力を、どうか利用させてください。



「約半年後、ディオメシアは滅亡する。その未来を、変えに行く」

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