表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/16

看板に偽りのない「悪役」令嬢

異世界転生って、思ったほどチートできないな。


3人の子どもたちに囲まれて、幸せいっぱい! 

知育玩具も好評だし、抱っこもハグもたくさんやった。王宮ママ生活楽しい! ……かったんだけどね。


男の人の「生涯、君だけを愛する」って、プロポーズの定型文なんだね。

私たちの子なのに、夫は顔も見せないで仕事、仕事、仕事……。挙げ句の果てに側妃って。浮気じゃん。結婚した意味、あるのかな。


「君が王太子妃の仕事をしないなら、実務能力のある側妃を娶って何が悪い?」


ってさあ。

正論だよ? 正論だけど、なら、執務だけ、仕事だけの側妃でいいじゃん?!

子どもまで作る必要、ある?!


ぶち切れたら、ため息を吐かれたわ。


「子を成せなかった側妃が、どれほど悲惨な晩年を送るか、知らない君ではなかろうに」


そんなのおかしいって、あなたが言ったのに。

ふたりで頑張れば、つらい思いをする側妃がいなくなるって、他でもないユージーンが言ったのに! 



感情的な母親を見せるのは忍びないから、子どもたちを侍女に任せて、離宮の庭を歩いた。

今の季節は、巴旦杏(アーモンド)の花が満開だ。白くて、ひらひらしていて綺麗だな。桜みたい。桜、かあ。帰りたいなあ。日本に。


「仕事しないって、私だって仕事したくないわけじゃないのに。ワンオペ育児は誰のせいよ」


ぶつぶつつぶやいていたら、辺境にいたころの乳母が木陰に控えていた。

この人はフツーのおばさんにしか見えないんだけど、すっごい敏腕の隠密なのよ。だから、辺境でイリーナが何をしているか、見張ってもらっていたの。


リーンハルト、わけわかんないこと言ってたからね。

「僕はイリーナ嬢を保護しただけで、断じて不適切な関係ではない」って。そんなの、断罪王子のテンプレじゃない。


ふたりきりの愛の巣を与えられたら、やりまくる一択でしょ。

淫乱イリーナちゃんには、第一王子だけじゃ不足でしょうけど。でも、大丈夫だよ! 王都に皆のお家を建ててあげたから!

学生時代はイヤだったけど、子どもを3人産んだ今なら、ちょっとだけなら覗いてみたいかな☆なーんてね!


「コレットさん!」


「ご報告にあがりました。イリーナ・オルコットは現在、女子修道院附属病院に入院しております」


「入院……?」


やだ、イリーナがんばりすぎ?

いくら包帯が似合うからって、あんまり痛そうなのはイヤだなあ。次からは加減して欲しいわ。


「夜間錯乱型の夢遊病です。目覚めた時に錯乱した記憶はありません。日中も情緒不安が見られます。オズボーン様が訪れた際、誘拐を仄めかされて発症したと思われます」


「待って! 私、そんなの初めて聞いたわ! 」


「男子禁制の修道院ならともかく。病院では、貴女の手引きで誘拐されかねませんから」


「誘拐なんて人聞きの悪い! オズボーンやフォードたちに毎日イリーナに会いたいって切望されて、苦しげで、切ないくらいで……あんなに一途な愛だもの。叶えてあげたいじゃない」


「正気でございますか?」


ずっと親切だった、「お嬢様の発想は面白いですわね」と笑ってくれたコレットさんが、冷たい……。

なんで?

あの子は逆ハーレムで幸せになるタイプの子でしょう? 

リーンハルトと婚約者だった頃は、気持ち悪かったし、本当にイヤだったけど。

あの断罪劇でも、オズボーンに突き飛ばされて、みんなからすごまれて、本当に怖かったけど。でも、許してあげたよ! 和解もした!

今は、みんなで幸せになってほしい一択だよ???


「む、夢遊病なんて、あの子の場合は欲求不満が原因でしょう? 男性をあてがえば回復されるのではなくて?」


「は?」


ピキと、空気が凍る気配がした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 頑張ってないじゃん、この人。 自分を棚に上げて旦那に全部面倒を押し付けて、それすら自覚しないって本当に酷いなぁ。 でも、こういう人、結構多そう。 自分もそうなる可能性は十分ある。 偏見とか思…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ