30話
お仕事の残業で遅れました(´;ω;`)
明日の投稿も遅れるかもしれません!
昨日は1万PVありがとうございます!
沢山の方が見てくださっていると分かると励みになります!
「問題?詳しく話しなさい」
メリルを中へ入れる。
マリーは部屋に戻っただろうし、部屋の中もモノは増えていないし、マリーの痕跡も分からないだろう。
メリルには知られてもいい様な気がするが使用人に知られたくない後ろめたさとマリーを独占したい気持ちが勝っているので隠し通す。
「まずはエルザより報告です。ワライクバ襲撃なのですが延期になりました」
延期?いい事じゃないの?……いや、こっちの動きがバレた?
「フェイクではないでしょうか?ワライクバの件は第1王子に伝わったようで第1王子も何かしらの行動しようとしてます。その日は別の場所がターゲットになりました」
「どう言う事ですの?」
「ワライクバの件は念入りに計画してました。なので第1王子に邪魔をされたくない第2王子派は延期にしてその日は別の場所を襲撃する。第1王子が油断している頃にまた襲撃するのだと思われます」
「そうなの?」
「はい、それに今回はギーベ・シッカーに第2王子派より粛清が出ております。ワライクバの情報を第1王子へ最近意図的に流してます。第2王子はギーベ・シッカーを粛清しに行くそうですがその隙にその領地に魔物を放ち、第2王子派が襲われたのだと思わせる魂胆らしいです」
「……妙に詳しいのね、気になったので聞いていいかしら?」
「情報源は……お嬢様にその……ええと簡単に言うと第2王子派の貴族の愛人からです。それ以上はお嬢様の教育的に言えませんがようやくすると男性は女性にカッコつけたいモノなのです。それに平民の女に話した所で問題ないと思ったのでしょう」
……なんかスパイ映画みたいだ。前世の記憶で昔の女優は実はスパイだったなど話があったけどそれみたいだ。
「平民の事を石ころと思っている貴族相手に情報を引き出すのは簡単です。女性の特権と言うのですね。貴族同士だと牽制し合って真面に情報を引き出すのは難しく、かと言って平民でも使いや護衛などに話す事もないので愛人が一番情報を握りやすいのです」
……うわぁ、リアルで何か男ってってなる。
「今までどこの者たちよりも的確な情報を掴む謎は理解しました。その者達にボーナスで後で金貨を数枚渡しますので労ってあげて下さい」
情報を得る為に本当に身体はっていてびっくりした。
少し考えたら思いつくのだけど理性が考えなかった。
「はい、了解です。その者達もやる気が出るでしょう。話は戻します。それでシッカー伯爵は1人で姿を眩まして、只今、この領地に逃亡しようと考えているようです。ここは王族ではなく侯爵家の管理下なので庇護を求めに来るでしょう」
……え?来るの?
「それは困りましたね。どう対応いたしましょうか」
ジッとメリルは見つめてくる。
「お嬢様、実はこちらに来る事はほぼ不可能ですよ」
……え?どう言う事?
「すみません。お嬢様の反応を知りたくて試すように言いました。シッカー伯爵は確かにこちらへ来ようとしてますが身分を隠したままこちらに行くのは難しいのです。領地を跨ぐとはそう言う事です」
意味が分からない。
私の周りにはハテナが飛び回っているだろう。
「その地についた平民が移動しない理由は危険だからです。大体の平民は冒険者や商人や富豪層でない限りその地で一生を終えるでしょう。冒険者でもCランク以下の者も同じくその土地の冒険者止まりです。それ位大変です。貴族は遠征に騎士や高ランクの冒険者を雇い領地を跨ぎます。貴族の魔術が如何に強いものであろうと限度があります。貴族の魔術はどちらかと言えば対人用です。シッカー伯爵はギルドを使えば身元がバレます。1人で跨げばまず死にます。お嬢様はその様な経験や知識があるか試したのです。申し訳ありません」
なるほど、私は知らない所で安全に過ごしていたのか。
そして、呪文に対しても対人用ではなく、下位の呪文は1人が限度で全体は中位や上位なのでメリルの言わんとしている事は分かる。
「いえ、ありがとうございます。有り難みを知らず過ごしてました。なので平民の苦労をもう少し詳しく聞いても良いですか?」
なら今のうちに聞けるだけ聞いておこう。
「領地の中は比較的安全です。村や町などのその間はやはり危険な猛獣がいますが平民でも何とかなります。たまに魔獣も出ますが大丈夫です。しかし、領地の狭間は綻びがあります。その場所には魔獣以外に魔物も出現するのです。他国より安全と言うだけでこの国にも危険はあります」
初めて知った。本で書いていたのはこの国は他国より安全と言うだけで危険な話はなかった。それにRPGでは確かに魔物も出現していたがゲームだからだと認識していた。
「では、結界を抜けてたまに魔物が現れるのも狭間の魔物なんですね」
「そうですね、魔の境界と平民は呼んでいます。結界の周りに法服貴族が多い理由も魔物の侵略防止や討伐です。では獣と魔獣と魔物はどう違うのかご存知ですか?」
獣は普通の動物だ。魔獣は魔力を持った獣だ。魔物は魔を帯びた獣だったはず。
「そうですね。概ね正解です。本にも誰もが知る気がないお話ですが獣も魔力を持ち聖獣になる事もあります。魔獣も魔を帯びつ幻獣になります。魔物神力を帯びて神獣になります。例外もあるのですよ」
メリルは一息つくと続ける。
「魔獣も上位のモノは知力があります。魔物も同じです。そうですね、魔獣だと白虎や銀狼、魔物の上位だとドラゴンや龍なんかが良い例えでしょう。その辺りのモンスターはこの国へ出る事はないでしょう。結界はモンスターの力を弱めますから」
メリルの雰囲気が変わる。真剣味が現れる。
「獣も魔獣も魔物も知能が低いから争う。しかし、魔物は違います。彼等は負を纏って魔と化す。上位の魔物になれば自我を持てますが魔物とは不敏な生き物なのです。だから他者を憎み、恨み、妬み、人を獣を魔獣を魔物を襲う。自分以外を襲う。哀れな生き物です。お嬢様も貴族です。対抗手段もありましょう。しかし、お嬢様は人です。もしかしたら死ぬかも知れない。それだけは覚えていて下さい」
メリルは私を心配してくれたのだろう。
「分かりました。ですがこの離れの森を抜けるとピレネー領ですよね?シッカー伯爵がどこの場所の土地を持っているか分からないのですがら森まで来たらどうにかならないでしょうか?」
マリーは隣の領地から来たのだから賭けになるだろうが来る事は可能じゃないのかな?
しかし、メリルはダメな子を見る目で見てくる。あれ?
「……それこそ無茶ですね。先程も言いましたがこのレイナス家はピレネー領地の隣を守護しております。まず、この地の土地を守護しているかは迷いの森、死の森と呼ばれている森の横です。ピレネー領から侵略の恐れも無いですし魔物だけ気をつけたらいいのです。その森は30キロぐらいでは無いかと言われています」
「曖昧なのですね?」
「森が生きておるのです。文字通り、中でダンジョン化しており中の広さは知られてないので抜ける事は無理でしょう。まず、レントと呼ばれる魔木が惑わすでしょう。あそこを抜け出せたなら幸運でしょうね」
……私、其処を突っ切ろうとしたよ!危なかった!
と言うよりマリー抜けてきたよね!?スキルか?スキルのおかげなのか?
マリー居なかったら私あのまま森に殺されていたかも!怖っ!
「なるほど、私は無知でした。勉強になります」
しかし、いい事を聞いた。
領地を跨ぐのは難しいのか。
ケイトから戴いた古代魔道具を研究して、利用出来ないか考えててみよう。
ワライクバの件の件と言いシッカー伯爵の件と言い、第2王子が絡みすぎて面倒だ。
……第2王子がピレネー領地に行く?
これは使えるかも!
「……お嬢様?何を企んでいるのですか?」
どうやら黒い微笑みをしていたようだ。メリルが引いている。
お読み頂きありがとうございます!




