27話
思ったより長いのでまた分けます、、、
あの後、メリルは使用人達を纏め、元の仕事へ戻した。
公爵家からこれだけの事をしてこの結末で逃げ出す者はいないだろう。
私もライナスが管理していた執務室へと足を運んでいた。
本来ならこの様な後始末はお父様がしないといけない仕事なのだが領地を回ったり他領の要請などで公爵家として、貴族の仕事を真っ当しているみたいなので私が出来る範囲で確認をする。
領地内での平民の仕事要請や開拓などの案件、孤児の問題と出てくる出てくる。
頭が痛いです。小さな事を見て見ぬ振りをしても問題が多すぎて困った。
特に平民への対応は酷い。
レイナス家として却下の烙印を押され処理されている。
貴族の対応も芳しくない。
先程のやり取りと変わらない。昨年未代だった徴税分上乗せさせたのを請求している。しかも、出来ないのであれば平民を売ってでもお金に変えろとまで書かれている始末。まだ、次の徴税まで2ヶ月はあるのが救いだ。
早いうちに手を打てて良かった。
……ギーベ・プーリアはまだこの地にいるかな?
コレは私だけじゃ無理だ。
お父様は他領へ出向いているし便りを出してもいつ届くか分からない。それに原作でのお父様は領地運営は向かないようだったし、原作と現実は違うが可能性の話だ。しかし、うん、あのライナス君を腹心にしている時点で現にダメだ。
他の領地も面会のお手紙が来ているが徴税の多すぎて払いたくないと当回しに書いており民を想うより自分達の利益の無さに色々あるような手紙ばかりである。
その中でも目を惹いたのはパルマ伯爵とモルビエ子爵の手紙だ。
この2人は手紙の内容も領地の利益の話とお父様への直接交渉をしたいと当回しに使用人達の疑いが書かれてあった。
この2人は貴族として優秀なのだろう。
そして、ギーベ・プーリアも手紙ではこの2人と似ていた。
そして、直談判に来る実行力、判断するにギーベ・プーリアを使うのはアリだろう。
私が出来る内容を纏め、ギーベ・プーリアに任せるものとメリルにも任せてみよう。メリルは使用人だが役に立つ。
実際にこの様な件を早期でカタがついたのはメリルのおかげでもある。
ただ、彼女も裏ギルドの一員だ。
流せる情報は規制しよう。
しばらく、作業をしているとメリルがやってきた。
「少しお話をしても宜しいでしょうか?お嬢様のお耳に入れて欲しい内容が出てきました」
「分かりました。その前にギーベ・プーリアはまだこの地にいるのかしら?居るのでしたら屋敷に至急呼んで下さい」
メリルは頷くと近くにいたミーヤを呼び、ギーベ・プーリアの元へ向かわせた。
そして、場所を移し、誰も居ない書籍へメリルと向かう。
「それであの使用人達から情報はありましたか?」
「はい、少し厄介な内容です」
私は思わず眉をひそめる。
続けてと話を促す。
「ライナスの実家とのやり取りの手紙を見つけました。手紙の枚数が多いので持ってきてませんが内容はこのレイナス領を混乱に招く事、将来没落に至る不祥事をやる事です」
……だから、あんなバカな事をやったのか。
「その手紙を見つけて別の一つ問題が浮上してます」
「それはどう言う問題でしょう?」
「旦那様への要請は第2王子派の貴族ばかりです。内容は魔物討伐や社交など様々なのですがお母様亡き後から露骨なのです。まるで家に居させない為の様な気がします。そして、ライナスの実家はハバール子爵です。第2王子派の中心の1人です。第2王子が気に入っている貴族なので旦那様も中々手が出せなかったと思います。初めに私が言っても信用の問題で無理だと言ったのは覚えてますか?ですが先程から身動きが取れるようになりましたので探ってみましたら使用人全てを信用してなかった事が分かりました。気になったので他にも調べてみましたが旦那様も第2王子派へは何も言ってない、いや、言えない様です。何か弱みでも握られているのでしょうか?」
メリルの無表情が少し困った顔をしている。
貴族の使用人達は純血種の貴族だった。それも信用してないとなると…いや、まてよ。
「そう言えば騎士もこの領地には居ないのでしたね?」
「はい?厳密に言いましたらレイナス家には居ないです。この地に住む封地貴族自体はやはり騎士が居ないと難しいので居ますね」
私は一つの仮定が浮かび上がった。
「ねぇ、騎士の介入は阻止できた。しかし、貴族の介入は阻止できなかった。そして、私はお父様へと我儘で貴族を没落させた事が有るので権力はあり正当な理由ならお父様はその権力が使えて、何かの弱みで普段は使えないのではないですか?」
メリルはハッとする。
「それはあり得ます。ライナスの仲介役は実家と書類ではなってますが厳密に言えば第2王子です。婚約者であるクレアを平民に任せるのはおかしいと講義されたと使用人達が以前聞いております。それで使用人達は純血種の使用人と混血種の使用人を用意されたそうです。以前から勤めていたプリムとララは旦那様に近い使用人でした。彼女達は旦那様に近いので今回の件では関わりを持っていないのです」
この一連は王族の相続騒動が関係している可能性が出てきた。
原作ではあっさり婚約を破棄するなとイメージしかなかったが元より利用するだけの婚約だとしたら?
原作ではクレア嬢が悪さしたからこうなった的な表現だったが裏があったら?書かれていない伏線や表に出るはずのない話だったら?
そして、お父様は権力欲しさに悪さをしていたと思い込んでいた。考えていた。
しかし、私が婚約者にさせられたからお父様は忙しくなった気がする。
様々な可能性、思考が浮かび口にする。
「公爵家は王族の相続には関わってはいけないのに今回はお父様は第2王子についている。私はてっきり権力の増加で第2王子との婚約だと思ってました。しかし、逆だったとしたら……」
「クレア様、それ以上は口にしてはなりません。お顔を失礼します」
メリルはスッとハンカチを取り出し、私の頬を拭く。
「え?……あれ?何故ですの?」
涙が自然と流れていた。
「申し訳ありません。お嬢様が立派過ぎて気がつきませんでした。離れへ戻りましょう」
「いえ、ギーベ・プーリアとの相談があります。彼を仲間にします。それまで戻りません」
メリルは困った顔をしたが畏まりましたと言い部屋を出ていく。
様々な事柄が浮かんでは消える。
何が正しくて何が間違いなのか、想定された未来なのに想定されてない事実、私は私でなくなりそうだ。
私の物語はお母様が亡くなった時から始まっていたのね。
何も無駄にしたくない。
昔の自分を褒めてあげようじゃないか。
教養がない?だから我儘な子供として権力を振るえる。
貴族を没落させた?だから容赦なく敵を貶めれる。
周りが敵だらけ?だから本当に信じられる仲間を手に入れた。
そして、前世の彼だ。彼のおかげで私は真実へと近づけた。彼の知識のおかげで様々な事が助かった。
両方共もう私だ。
大義名分?復讐?
いや、心のまま動けばいい。ならやる事は一つだ。
第2王子への反撃だ。
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