25話
今回は主人公の偽善や独断が混じっております。
不快に思われる方も居るかも知れませんが自称10歳の女の子なので許して下さい。
「では貴方達が集められた理由が分かりますよね?」
只今玄関ホールで使用人を集めた。勿論ライナス君抜き。
私は階段から使用人達を見下ろす。先程のやり取りを見ていた所為か私に畏怖しているのが手に取るように分かる。
諦めて潔く言われる言葉を待つ者、諦めきれず涙する者、自分の非を認めずガタガタ震える者色んな使用人がいる。
ちゃんと様々な感情がある様だ。怯えるのがデフォルトじゃなかった。
私も正直、お母様の件で気が動転している。
それに騒動の始まりはお母様が居なくなってから徐々に起こっていた。
流石のメリルでもお母様の件は知らなかっただろう。
もう、全ての使用人を切り捨てようかと黒い感情が渦巻く。
「お嬢様、どうかご慈悲を!私達はライナスに唆されただ、やらされただけなのです」
声をあげたのは男爵家の7女のリールだ。
……いや、主犯格が何言っているの?
私はその言葉に対して怒りが湧き熱くなったが出た声は冷徹な声が出る。
周りの使用人の雰囲気も強張るのが分かる。
「何を言っているのかしら?やったと言う事実を私が犯罪を許すと思いになりまして?ましてや、公爵家に対してですよ。犯罪を止めなかった者は更に重罪じゃないのですかね?罪を犯したのを更に続けさせる結果へ変えたのですから。罪を償うのは当然ですわ」
まぁ、どの位罪を償うかは人によるけどね。
リールは顔を真っ青にする。
何を言っても自分の罪が変わらないと悟ったのだろう。呆然と立つ。
「待って下さい!僕達はこれでも貴族ですよ!私達を処罰したら周りも醜悪を晒しそれが漬け込むすきになります。なら私達は反省をして次からはしません!それよりこの混血種達の方が罪深いとは思いませんか!?平民の分際で貴族の物を盗むのはね?此奴等と我々の罪は違う!」
必死にアピールしてくるのは子爵家の5男だったっけ?アレックスだ。
平民だの貴族だのはもう関係ないレベルだけど気づいてない?
「貴方は何を言っているの?貴方達が自分達のバレだ時の保険に強制させた手駒の方が罪深いだと?中々面白い事を言うのね?思わず焼き殺したくなりますわね」
ひぃっ!と後ろに転び後ずさる。
「それにギーベ・プーリアよりちゃんとした情報は出回るわ。勿論、貴方達がやった事はお家に報告させて頂き、今までの徴税を返して頂きます。そして、貴方達のお家は没落は免れないわね。ライナスは家族ぐるみの犯行のようですから一族の皆様も覚悟はあるのでしょうがアレックス……貴方はどうなるのかしら?」
にっこり微笑むとアレックスはガクッと力が抜け、ごめんなさいとひたすら譫言のように言う。
「さて、他の使用人達の犯行ですがメリル来なさい」
メリルを隣へ呼ぶ。
できる事なら私は関係したくなかった。こんな馬鹿げた内容を堂々とやってのけ、平気だと思っている一部の使用人達をお父様から情報を渡して処分して欲しかった。
考えたら公爵家の領地だからこの様な横暴を考えたのかもしれない。この地は王族の関与も出来ない。公爵家の独裁場だ。
これ程の事をされて居たなら没落するのは必然なのかもしれない。
お母様の殺害、お父様の多忙、クレアの我儘と第三者の悪意が重なり原作の未来が作られるのだろう。
これ本当に悪意しか感じない。
「残りの処罪を教えてあげなさい」
メリルが名前を呼ぶと呼ばれた使用人はビクッとして犯行内容を話すと誰もが青ざめていく。
「ーーー以上です。クレア様」
「ご苦労、では貴方達の言い分を聞くわ。ほら、言ってごらんなさい」
混血種の使用人達は誰一人口を開かない。
自分達のやった事の重大さに気がついたようだ。
それなら少しは救いようがある。
しかし、貴族の使用人はまだ諦めてないようだ。
「確かに我々は公爵家に対して非礼を行った。しかし、我々はただの巻き添えだ。冤罪だ。あんたは今まで学びもせずに学もない。これは旦那様に正当な判断をしてもらうには実家に問い合わせて王へ直訴する!」
……こいつ、何言っているんだろう。ついに私をあんた呼ばわりだ。なんでこんなに犯罪を認めない姿勢ではいられるか不思議でしかない。
「そうですか。では不満か他にはありますか?」
「そうだ!貴族にはちゃんとした法律がある。ここは公爵家が管理しているからその法律は使わないのでお嬢様には知らないでしょうが」
うん、書籍室で読んだので内容は覚えている。
凄く貴族に都合がいいなって印象だったが、だが彼らのこの状況をどうにかする法律はなかった。それに公爵家の庇護化の場所は公爵家の判断に任せるのも法律にあったよ?
とりあえず、貴族の使用人達の罪を法律に当てはめて教えてあげる。
そして、当てはめてあげたら全員死罪だった。
「と言うわけで仮に公爵家の判断じゃなければ確かに死罪ですね。私甘かったようです。貴方達の指摘がなければ没落だけで終わらす所でした。ちゃんと没落後は財産も没取させ15年間強制労働に出迎えさせ、15年後に死刑ですね。一族皆が」
皆が口をパクパクする。
お魚さんかな?
「何で勉強をさせなかったあのお嬢様がそんな事まで知っているの」
ポツリと聞こえた。
「あら、私は貴方達から学ぶ事なんてありませんでしたの。無駄な時間を取りたくなかっただけで貴方達が勝手に私を無能と思ったのでしょう?本を読んだだけでも貴方達よりマシな頭のようですがね」
もう貴族達の使用人達は何も言わなくなった。
「さて、混血種の皆様の番ですね」
混血種って言いたくなかったがこの言葉を使わないと今回の件は上手く収まらないので我慢。
それに今回は分けて置かないと分かりづらいのだ。
貴族の使用人達よりマシな顔つきだ。この様に他の貴族の使用人へと捧げられる者は元々虐げられたりされている者も多い。なので諦めもついているのだろう。
「では皆は何か言い分はあるのかしら?」
1人が勇気を出して前に出る。
確か、自分の懐には入れてないが様々な罪はあったはず。
「私はありません。認めます。しかし、勝手な我儘と承知でお願いします。実家の者への罰はお許し下さい。私はあの方々には逆らえずやりましたが実家の者には罪はありません。何でもします。家族だけは許してください」
……家族ね。公爵家だからこそ送ってくれた貴族もいる様だ。
前に出た子はノーマークだった。ちゃんと愛されているのに仇で返したくないのが伝わった。
「では他にはないのですか?」
私は他にも聞く。
その子は私が聞いてくれなかったと勘違いしたのだろう。
目を閉じ涙を流す。
「ないようですね。でしたら貴方達の処遇を伝えます」
使用人達は数人が力なく頷く。
混血種の使用人達は基本はアリバイ作りがメインだ。
そして、中には同じ様に真似した者は貴族の使用人と同じ様に罰を与えないといけない。それはお父様の役割だ。
「今回の件の重大さを肝に命じ、信用を取り戻す為に今までの罪の分は給料はないと思って働きなさい。今の貴方達を私は信用しない。ですが働き様によっては信用を取り戻す事は可能ですわ。ですが、中にはもう少し罪を重くする者もいます」
私の言葉に皆がびっくりする。私が言った事を時々に理解したのだろう、口を開いている者涙を流す者、跪く者と様々だ。
その中で納得の行かない者達はいる。
「何故、此奴等も同じ事をしていて処罰が変わるのだ!やはり貴族としても教養の無い子供の様だな!」
「何を言っているのです?貴族である貴方達が強制したら平民は言う事を聞かないといけない。この件を責めるなら貴方達の罪が増えるだけよ?」
「納得いきません!何故此奴等と我々の罪が違うのですか!?」
「貴方さっき言ったですよね?我々と此奴等の罪は違うと、あの時は貴方達もちゃんと知恵があるのねって感心したのよ?それに貴方達が唆した所為でこの手の犯罪に染める事も無かった人間が何人いるのかしら。この先、そこまで手を染めてしまって全うに生きれるのかしら?コレは貴方達の責任ですよ」
「なっ!しかし、同じ使用人です」
「あら、同じ使用人と言うわりにこの使用人達を蔑んでいたではありませんか。私を見る目と同じでしたよ」
にっこりと笑うと顔を引きずる。
「それに貴方はさっき言ったわ。教養のない子供だと。はい、本には知識しかないので貴族としての教養はありませんわ。なので規律より心情をとり救いようのある人間を救い元凶を切るのが私にとって最善なのです」
まだ何か言いたげな彼らにトドメをさす。
「混血種の使用人は平民でしょう?平民を貴族と同じように扱うのが間違いじゃありませんの?」
貴族にとって平民は消耗品であり人以下の扱いだ。
もう、貴族の使用人達は何も言わなくなった。
「ですが、自分で分かると思いますが罪を重ねた者達は私からの罰の償い終えたら屋敷から出て行って貰います。そして、次からはちゃんと罪を犯さないと誓いなさい。そこからが本当の貴方達の償いです。ここに残る者が私達に信用を取り戻すのと同じ位簡単では無いですが更生する事を願います」
混血種の使用人達は私に何度もありがとうと感謝を示し、私へ忠誠を誓う。
そんな中、アレックス君は何だか生き返り私に言い返す。
「混血種がなぜ貴族である私達より扱いが良いんだ。あんたは何時も我々を見下していたではないか。それに噂は上手く流れる訳がない!」
「貴方みたいなのを見下して居たのよ。自分より弱い者しかなにも出来ない貴方達をね。ですがここの使用人を信用してなかったからが本音よ。それとギーベ・プーリアにはちゃんと貴族と平民に違う情報を流す様に頼みました。貴族には混血種を使い公爵家に手を出した一族がいると平民には貴族の使用人にいい様に扱われ罪をなすりつけられそうになったのをお嬢様に助けられたそうだとそして、償いを終えたら平民として暮らすとね。だから、貴族のオモチャにされた使用人が平民へ戻っても大丈夫よ。ただ、戻っても同じ事を繰り返したら意味がないのですがね」
罪の意識がある者は頷き何かしらの決心の顔が伺える。
「私はなるべく穏便に済ませる様にお父様には言うわ。ただ、お父様が怒り狂って私のこの話を無かった事にする事も頭に入れておいて頂戴。お父様でしたら私の言葉なら聞いて下さると思いますけどね」
これである程度片付いた。
お父様が一族への追尾や処遇をやって貰うまでは死なせない。
メリルを筆頭に使用人達には再教育をさせる。
メリルに後は任せたら大丈夫でしょう。
貴族の使用人達は地下に幽閉させる。
解散させ、ゆっくりと振り返ると目をキラキラした我が弟、ハルトが居た。
救える者と救えない者、貴族には面子がありますがクレア嬢はまだ貴族の面子を納得出来ないです。そのまま我儘に育ってしまう恐れがあります!
お読みいただきありがとうございます!




