表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DRAGON・DESPAIR  作者: どらごん
アウグストゥス編
23/34

獣の咆哮

(奴等を止めなければ、世界は崩壊の道を辿ること。それはまず第一に見えてくる問題だ。私がセティ、お前と契約した理由は何だった?)

バハムート、ラムセスはセティに忠告するように言う。セティ構わず長い廊下を歩き続けた。

(ゲオルクは多少厄介だ。さすがの私でも竜と犬を同時に相手するのは手に余る。素直に軍の・・・)

黙って下さい、とセティが叫ぶ。長い廊下にセティの声が響き渡った。

「ハイネを殺すのはこの僕です。誰にも邪魔させません」



アレスト教の本拠地である渓谷には無数のワイバーンが飛び回っている。崖の縁に立つセティとラムセス。ハイネ逃亡の件もあり、アレスト教との接触はほとんど無くなっている。その為、アレスト教の本拠地に乗り入る事はほぼ、不可能と考えていても過言ではない。

帝国軍、共和軍の両方にも属さない宗教団体アレスト教。独自の軍隊を保有するアレスト教は帝国軍、共和軍の軍事力を持ってしても強制的に支配下に入れることは困難。それはアレスト教の本拠地がワイバーンの生息地に囲まれている渓谷という地形的な面もあるが、アレスト教の軍隊の強さ所以だ。

「ラムセス、この谷を越えるにどうしたらいい?」

(ワイバーンを一掃することは私にとって何の問題もない)

「正面突破。君の力を見せつけよう」

セティの影から現れたラムセス。セティを肩に乗せ、ワイバーンの飛び回る谷に向かっていく。

ワイバーンの群れが此方に気がついた。甲高い咆哮を上げるワイバーンが羽ばたきながら接近してくる。ラムセスは接近するワイバーンを巨大な爪で切り刻む。肉片となったワイバーンが深い谷底に落ちていった。だがワイバーンは減ることなく、数を増していく。

『獣の臭い、ケロベロスだ!』

谷の向かい側の崖に佇む一匹のケロベロス。ケロベロスは巨大な牙を剥き、此方をジッと見ている。威嚇でもするように。

『近くに契約者がいるはずだ』

「ナタリアです。あのケロベロスの契約者は」

承知した、とラムセスは六枚の翼を羽ばたかせる。迫り来るワイバーンを口から放つ焔の弾で焼き付くす。火の玉となって崩れ落ちていくワイバーンの中をラムセスは悠然と飛んでいる。

それを見るケロベロスが咆哮を上げた。

『帝国軍の言いなりか? バハムート程の魔獣がよ!』

『黙れ、主を裏切った汚らわしい魔獣め!』

『俺の主はフェレスだ!』

ケロベロス、ゲオルクは雄叫びを上げる。ラムセスは自らの爪を振り下ろした。跳ねるように地面から浮き、それを避けるゲオルク。地面を抉りとり、吹き飛んだ土。セティはラムセスの肩から飛び下りると剣を引き抜き走り出した。

「頼みます、ラムセス!」

『承知した!』

セティに飛び掛かろうとしたゲオルクの前に素早く回り込む。ゲオルクがそのまま突進し、ラムセスはゲオルクを正面から押さえつけた。土砂を撒き散らしながらゲオルクはラムセスを岩壁に叩き付ける。悶えるラムセスは渾身の力でゲオルクを投げ飛ばす。宙を舞うゲオルクは身を翻し、地面を削りながら着地した。

『あんたの目的は?』

『貴様と行動を共にするハイネ、そして忌まわしき竜の肉体。私達は奴等を殺す。邪魔をする貴様諸ともな!』

『随分とご立腹な様子じゃねえか。三百年も前に同族を殺された恨みが今も残ってるって話かい? デカイ図体して器の小さい奴だな!』

『私の心に友の声は残っている! それを忘れろと言うのか!』

ラムセスの口から火球が放たれる。飛び上がるゲオルク。爆音と共に吹き飛ぶ地面。

『ただ一匹残され、一人身の少女と身を寄せ会う。惨めな仔犬ごときに私の気持ちがわかるのか!』

『なんだとぉ!?』

ゲオルクは巨大な咆哮を上げた。けたたましい咆哮は大地を揺らし、木々を揺らめかせる。威圧感を全身に浴びるラムセスはさらにゲオルクを挑発した。

『誇りの欠片もない塵のような魔獣と運命を共にする少女の身にもなってみろ? どう足掻こうと、貴様は一匹の・・・』


ーー身寄りのない、仔犬だ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ