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"プリズン"を"ブレイク"といったらアレ

平家の寝室。


ここで大陸三賢者の1人、ズワーン・ディルマから受注した、


"謎の人物を救え"


というクエストがスタートした。


"謎の人物"というのは身長は160センチくらいで包帯が全身に巻かれた人だ。

今はベッドの上に横たわり、かろうじて息をしている。

ところどころ見える皮膚は焼けただれているようで、ドス黒い瘴気を放っていた。


この人は一体、誰なのか……?

気になるところではあるが、今はこのクエストをクリアすることだけを考えないと。



「牢獄?なんで牢獄?」


「どちらも捕まってるからです」


「いや、それはわかるけどさ」


捕まる以外に牢獄に入る理由ってないでしょ。

しかも、2人とも捕まって牢獄にいるというのは穏やかな話ではない。


「それって、どこの牢獄?」


「ひとつはエヌス・ヤタですよ」


「え?」


エヌス・ヤタの牢獄?

って、まさか。


「もしかして、それって……」


「勇者候補のエリシアです」


ここで久しぶりに登場する勇者候補"X"ことエリシアさん。

彼女はルザルグ討伐後、犯罪者という扱いでエヌス・ヤタの牢屋に閉じこめている。


「問題はもう一人のほうです。彼女がいる場所が少々、厄介でして」


「どこなの?」


「西部にある【白狼はくろうの砦】です」


「は、"白狼"って……北西最強の勇者候補!?」


これにはランジェリカさんとサラさんが青ざめている。

そりゃそうだよ、彼女たちにとっては"白狼"って人は元上司だろうからね。


「白狼がいる砦の牢獄に捕まっている"魔神ディアナ・ボルティクス"のスキルが必要です」


「なんで魔神が捕まってるんだ……?」


「彼女が白狼の力を見誤ったのです。愚かなことに自分の力を過信するところがあるんですよ。正直、助けるつもりはなかったのですが致し方ない」


仲間同士なのに、なんと薄情な。

でも魔神たちって、あまり仲が良くないというのはイヴとセシルを見ていてわかる。

恐らくディアナさんって魔神も"クセ"があるのだろう。


「じゃあ、エリシアさんのスキルとディアナさんのスキルを組み合わせるってことだね」


「はい。仰る通りです」


「エリシアさんのスキルは『治癒ヒーリング』だよね。ディアナさんのスキルっていうのは?」


「ディアナのメインスキルは『付与エンチャント』です。彼女は従える魔物や魔獣に自らの強化スキルを付与して戦うのです」


ああ、なるほど。

セシルの考えがわかった気がする。


「つまり、この者に『治癒ヒーリング』を『付与エンチャント』して治すのです。これは他人のスキルを『複写トレース』できる主人様にしかできない……というわけです」


エリシアさんの『治癒ヒーリング』は死に至らないほどの傷なら即座に治してしまというもの。

そしてディアナさんの『付与エンチャント』を使って、この謎の人物の状態を正常に戻すということだ。



この話にはズワーンさんも思わずニヤリと笑った。


「ふふふ、これは面白い。【白狼の砦】にある牢から魔神を脱獄させるなど……もし、そんなことができたら認めてやろう。おぬしが黒竜だということをな」


"助ける"イコール"脱獄"か。

ズワーンさんの言い回しからすると白狼の砦にある牢屋からの脱獄とは恐らく不可能レベルなことなのだろう。

だけどランジェリカさんの祖父の予知が間違っていなければ、ディアナさんは必ず助け出せるということだ。


いや、ちょっと待てよ。

なんか"僕"が脱獄させる流れになってない?


「それって……もしかして、僕が"プリズン"を"ブレイク"する……ということかな?」


「主人様がおっしゃる"プリズン"を"ブレイク"が脱獄の意味であれば、そうですね」


セシルが真顔で言った。

()()()()()の通りであれば、なんとなく作戦はわかるぞ。


簡単に言うと、

僕はわざと事件を起こして捕まって牢獄に入り、脱獄するために牢屋の中で色々と準備して実行する……といったところか。


「こんなこともあろうかと、もう既に作戦は考えてありますよ」


「セシルさん、ナイス!」


僕の考えを超えるような簡単で安全な方法でお願いしやっす!


「作戦はこうです。主人様はわざと事件を起こして捕まって牢獄に入り、脱獄するために牢屋の中で色々と準備して実行するのです」


結局それか。

頼むからエンディングで使う脱出用の飛行機くらいは用意しといてくれよ。

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