15被害
錬金術を学ぶことになった。
まずは初歩中の初歩から。
「地面に錬金術を込める…そうすれば揺れる」
「はーい!」
基本は習い後は実践するが。
「あれ?」
地面に反応はない。
ボコッ!
「蟻の巣ぐらいの穴しか空いてないよ!!」
「もっ…もう一回」
地面に手を置き試みるが。
今度は土ボコができた。
「え?」
「何でだい!!」
あまりにも地味過ぎて笑えない。
何度も試みるも同じことの繰り返しだった。
「アンタは魔力があるから錬金魔法もいけると思ったんだけどね」
「キュー」
パトラッシュが土で遊んでいる。
「気に入ったの?」
「キュキュー!!」
柔らかい土がお気に入りのようだ。
「そのうち私が巣を作ってあげるよ」
「アンタねぇ…」
錬金術でウサギの巣を作るなんて発送する術者はいない。
「それそれ!!」
ボコボコ!!
「蜂の巣みたいな穴だね」
「うーん…すごい地味。地味過ぎるわ!!」
さっきから何度も試すも土に無数の穴ができるだけ。
反対に土ボコも作るが実用的に使えるものはない。
「はぁ人間堅実が一番なのかな?それとも地の神様は気難しいのかな?」
「いや、間違っちゃいないけどね?才能の問題だと思うよ」
「はぁ~…才能ないんだ」
生まれ持った才能なんて持っていなかった。
(亜美は天才肌だったからな)
幼馴染の亜美は美人で天才肌で優れていた。
別に自分のことを卑下するわけではないが、両親に溺愛され何不自由なく過ごして来た亜美とは違って苦労が多かった。
神様から愛された存在が亜美ならばそのオマケの自分はどうして召喚されたのか。
その意味が未だに解らなかった。
「大丈夫かいアンタ」
「はい、大丈夫です」
「いきなりやって習得できるもんじゃないよ。錬金術も魔法も地道にスキルアップだ。いいね?」
「はい」
乱暴な手はしわくちゃで亡くなった祖母を思い出す。
「リカルトさん」
「なんだい?」
「晩御飯はお肉を所望します」
「アンタって子は!!」
悩みはしても最終は空腹を満たすことが最優先になりあつかましくもリクエストするナギにリカルトはあきれ果てていた。