夏休みです、が…
夏休みは、本当に何もないです。
おばぁちゃん家には去年すでに来るなと言われていたし、亮くん達運動部は大会だ引き継ぎだで予定が合わないし。
早苗ちゃんは絵を描くのに集中したいからって学校に行ってるみたいだし。
「…暇…」
昼間のリビングに私一人、とてもさみしい。
夏休みって言っても平日の昼間だからテレビは情報番組くらいだし。
財布も作っちゃったし、お父さんとお母さんのカバンも昨日出来上がったし。
勉強は、毎日時間決めてやってるから、今日の分はおわってしまったし。
「ひーまーだーよ~ぅ…」
亮く~ん、光希~、私と遊んでおくれ~。まぁ、無理なんですけどね。
光希も部活とか、友達と遊ぶとかでほとんど家にいないし。
そういえば、最近敦さんもうちに来なくなったような?
……いや、弟の女友達の家に頻繁に来る方がおかしいですね。
これならお母さんの婦人会という名の井戸端会議に付いていけば良かったかなぁ? …確実に亮くんのことでからかわれるんだろうけど。
「う~ん…文化祭に出す作品でも考えようかな…」
リビングの端にある小さな本棚には、雑誌や小説が色々はいってます。誰でも読んで良いよってことでおいてあります。
お母さんが買った洋裁の本があったから、それを見ながら考えよう。
小学生の時は、雑巾が縫えれば良いほうだったのよね。しかも縫い目がガッタガタのやつ。
それが今はカバンを作れるようになったよ。成長したね、私。
`前´の時だってボタンをつけ直すのがやっとだったのに。家庭科の成績が伸びたのは純粋に嬉しいわ。
料理も洗濯も、掃除のコツもお母さんやお父さんに教えてもらったし、うん、これなら大学で一人暮らしも大丈夫だわ。
…半年だけだけど。
「カバン…あ、財布にショルダー紐付ければ可愛いかな? お札とカードが入るようにして、小銭用のファスナー着けて~、ハンカチとか鍵とかが入るくらいのスペース作って~。うん、可愛いかも」
確か余り布が色々残ってたから、ツギハギみたいにして、一つ作ろう。
さすがにこれは女の子用になるから、亮くん達には作らないよ。
ノッてきたので、そのまま簡単な設計図? 展開図? を描いて、大きさを決めていく。
カバン用の硬い接着芯がもうなかったし、ショルダーは流石に既製品よね。
ファスナーと、磁石のボタンと…。結構買いたさなくちゃいけないものがあるなぁ。
……お小遣い足りる?
「うーん…お手伝いの頻度を増やすしかないなぁ」
紙の隅の方に要るものを書いていき、夢中になっていればいつの間にかお母さんが帰ってきました。時計を見れば、四時過ぎです。
どうやら暇潰しにちゃんとなったみたいです。
「晶子、悪いんだけど牛乳買ってきてもらえるかしら?」
「牛乳? あれ、今朝まだ残ってなかったっけ?」
「残ってはいたわ~、これだけ」
「ありゃ…」
お母さんが掲げた計量カップには、二十ccにも満たない牛乳でした。
光希…あとこれだけなら飲んじゃえば良かったのに。
どうせ光希が毎日飲むから、ってことで、二本くらい買ってきますよ。
「気を付けていってらっしゃい」
「はーい、いってきま~す」
財布をカバンに入れてレッツゴー。あ、マイバッグ持っていかなくちゃ。
一日家にいたからね、少しは運動しなくちゃいけません。薄着なのに太っちゃうとか嫌だ。
外に出れば、時間的には夕方だけど、結構暑いです。
まぁ夏だしね、仕方ないですよね。
ついでにリンゴジュースでも買おう。水分欲しい。
お茶は家に麦茶があったし、たまにはジュースが良いです。
でも炭酸は太る。きっと太るから、却下。
百パーセントリンゴのジュースを買いましょう。
ふんふんと下手な鼻唄を適当に歌いながらスーパーへ行き、牛乳とリンゴジュース…と、思ったけど、牛乳二本ですでに重いので、リンゴジュースは五百mlのほうにしておきましょう。
お母さんと二人で飲んだら一杯で終わりだね。明日お父さんに買ってきて貰おうかな。
「あ、光希」
「姉ちゃん。買い物?」
スーパーを出て暫く歩いていくと、光希と会いました。
部活帰りですね。
「あれ? 商店街寄ってたの?」
「あぁ、うん。ちょっと……、あ~、食べる?」
「買い食いしてたの? 先生に見つかったら怒られるよ~」
言い淀んだ光希は、手に持っていたビニール袋からコロッケを取り出してきた。
運動した後だからお腹減ったんだろうけど、部活ジャージで買うのはアウトですよ。口止め料として半分もらっちゃいます。
「あ~、光希と会うなら、リンゴジュース大きいの買えば良かった…」
「リンゴ? あ、牛乳…」
私の持ってる袋を覗き込んで、思い出したような表情をする光希。
残りが無かったのに気づいていたみたい。
バツが悪いのか、光希が袋を持ってくれました。
そのまま二人で帰りました。
果実百%のジュース、糖質はあるよね。
飲み過ぎれば太りますよ。
飲んで食べて、適度な運動。
解ってはいるけど、続きません。




