屋台って何か美味しいよね
私はお好み焼きとお茶のペットボトル。亮くんはたこ焼きと焼き鳥、お茶のペットボトル。
早苗ちゃんはベビーカステラとわたあめ、レモンティーの缶。由紀乃ちゃんは焼きそばとフランクフルト、お茶のペットボトル。
かなちゃんはリンゴ飴とじゃがバター、ミルクティーの缶。
長谷部君は焼き鳥とお好み焼き、ベビーカステラに揚げ団子、サイダーのペットボトル。
皆それぞれに買って、かなちゃんの先導で花火大会の会場から外れた方へ歩いています。
会場を背に、大分歩いてるよ? 人居なくなってきたし。
「野崎~、どこまで行くんだ?」
「もうちょっと~」
怪訝な顔をする長谷部君をスルーして、かなちゃんは神社の裏山? 丘? を登っていく。
木や背の高い草が生えてる。でも一応整備された、なだらかな坂道を登って行けば、頂上はちょっと木が疎らで、花火大会の会場が一望できた。
「わぁ! すご~い」
「こんなところあったんだ……」
私と早苗ちゃんが思わず呟けば、かなちゃんが得意気に笑って、どこから取り出したのか、レジャーシートを広げて敷いた。
会場が見えるように皆で半円になるように座って、さっそく食べ始める。
お好み焼きを半分くらい食べ終えた後に亮くんに差し出せば、亮くんはたこ焼きをくれました。
亮くんと分けっこしていれば、かなちゃん達に生暖かい目で見られたけど、今更なので気にしない。
「たこ焼きも美味しいね~」
「……あれで付き合ってないって…」
「神代、結構人気あるんだぜ? 学校のやつら、泣くな……」
何か由紀乃ちゃんと長谷部君がヒソヒソしてるし、かなちゃんと早苗ちゃんは頷いてる。仲良いね。
食べながらお喋りしていれば、ドンッと重い音が鳴る。
花火が上がり始めた。
「綺麗……」
「おぉ~」
「全体が見えて良いわね、ここ」
「でしょ~?」
「凄い」
「そうだな」
次々に上がる花火に、じっと見詰めていれば、いつの間にか口が開いていたらしい。
亮くんにいつかのように顎をくいっとされました。恥ずかしい……。
「ッヒャー! 凄かった!」
「おお! 最初から最後まで見たの、初めてだ、俺」
「私も。小学生のうちは、途中で帰っちゃうし」
「もう九時すぎだもんね~。中学生なら夜更かし怒られない!」
「ゴミ纏めてこの袋に入れるか」
「あ、亮くん、これ残ってるけどどうする?」
皆でわいわいとお喋りしながらもテキパキ手は動かして後片付け。
ゴミを放置したらいけないからね。
かなちゃんと由紀乃ちゃんは、長谷部君が送っていく。
早苗ちゃんは私と亮くんで送っていきます。
亮くん? そのままうちに来ますよ。光希がリンゴ飴とわたあめをお土産に所望しているので、買っていくのです。
「晶子ちゃん、桑崎君、送ってくれてありがとう」
「ううん。じゃあ、次はプール行く日にね」
「うん! 気をつけて帰ってね」
「大丈夫だよ~、近いし、亮くんいるし」
「じゃあな、高柳」
「ばいば~い」
「ばいばい」
前に書店だったときの名残のガラス戸はカーテンがきっちり引かれて、二階に小さな明かりが見えるだけの早苗ちゃんち。
店舗から二階へいくらしいので、ここでお別れ。
外から直接二階には上がれないから、近々階段つけるんだって。
シャッターの閉まっている商店街を、亮くんと歩く。
街灯が沢山あって結構明るいから怖くはないけど、亮くんと手を繋いでいます。
左手には光希へのお土産、右手は亮くん。転けたら最悪だね!
「そういえば、剣道の大会はいつ? 亮くん出るんだよね? 応援行きたいな」
「本選は来週だな。詳しい時間は父さんに聞けば分かるぞ。晶子が来てくれるなら、頑張らないとな」
ふ、と笑った亮くんに私も笑い、ぷらぷらと繋いだ手を揺らしながら私の家まで帰りました。
わたあめの袋が幼女向けの某ネコキャラだったため、光希に爆笑されました。
私が持っているとぶりっこのようだ、とのこと。
解せぬ。