1話
何件かなろうでも投稿してとの感想があったので、カクヨムから移植しました。
20XX年8月2日
私も13歳になって、ITFジュニアの大会に出場できる年齢になったので、今日からブログで日記を付けてみることにした。
目標はでっかく、庭野環希みたいにグランドスラムで、優勝!
でも、庭野環希ってテニス界の記録を次々に塗り替えた、人外の地球外生命体だしなぁ。
小学生時代に全国でベスト8程度の実績しか残せなかった私だと、現実は厳しいんだろうなぁ。
どうせ私は日本国内の同世代の中では、そこそこテニスが上手い程度の平々凡々な一般人ですよ。ぐすん。
ええ、どうせ私はフロリダのテニスアカデミーに留学する為のファンドの自薦に、あと一歩及ばない程度の実力しかない、ちょっとだけテニスが上手な一般人ですよ。ちくせう。
ということで、冷静に現実を見つめ直して、目標はグランドスラム本戦出場と初戦突破に設定しなおしときましょう。
これぐらいの目標であれば、私でも頑張ったら達成できそうな目標の気がするしね。
え? 目標が低い?
夢を語るのが許されるのは、小学校低学年までなんだよ!
つまり、現実と向き合わなくっちゃ! ということだ。
小さなことから、コツコツと積み重ねるのが大事なんだよ。
私はウサギには成れないから、カメでコツコツと頑張るのさ。
だけど、グランドスラムのR64二回戦進出でも、十分に凄い実績になるんだぞ!
その年に世界で64人しか居ないということだからね。
日本国内だけでなら、十分に威張れますとも!
それはさておき、テニスの世界では、下部ツアーの大会を回ることを、ドサ回りとか言うんだよね?
私の名前が"土佐まはり"だから、一抹の不安がよぎるのですけど……
名字は土佐だけど、高知県とは縁もゆかりもないはずです。
名前の"まはり"は漢字では真榛と書いて、意味はハシバミという植物を上品に例えた美弥な古語らしいんだけど、いまいちピンときません。
私がお母さんに、まはりの意味を聞いた時に、お父さんが万葉集の「住吉の 遠里小野の 真榛もち 摺れる衣の 盛り過ぎ行く」
この歌から真榛を貰ったとか、お母さんは言っていたけど、この歌ってあまり良いイメージなくない?
摺れる衣の盛り過ぎ行くだなんて、哀愁が漂ってくるんですけど……
あとさ、お父さんが私の名前を付ける時に、遊んだ可能性が無きにしも非ずなんだよなぁ。
土佐まはり、まはりの"は"は、"わ"とも発音するから、土佐まわり≒ドサマワリ。
うん、ギルティ。
お父さん、自分の娘の名前で遊ぶなよ……
まあ、まはりって名前には愛着もあるから、許してあげるんだけどさぁ。
だけど、なんかモニョるぞ。
あと、土佐には観光名所で、はりまや橋があるから、はりまやをもじって、まはりとかもありそうな気がしますね。
さすがにこれは、私のうがち過ぎなのかも知れないけれども。
ついでに言うと弟の名前は、龍馬。
これは土佐の偉人である、坂本龍馬にあやかった名づけで間違いないでしょうね。
この弟の龍馬は、小学二年のエロガキなのだ。
お風呂に一緒に入っていると、私の大して膨らんでもいないおっぱいを揉んだり吸ったりしてくる、とんでもないエロガキなのである!
仕返しにおちんちんの皮をむいてやったら、痛いとか言って逃げ出して、お母さんに泣きつきやがった!
で、私がお母さんに怒られたんだけど、解せぬ。
龍馬はお母さんの後ろに隠れながら、ベーって舌を出してきやがりましたよ。
昔はあんなに可愛かったのになぁ。お姉ちゃんは悲しいです。
まあ、それ以来、弟も一人でお風呂に入るように言われたから、私もおっぱいを揉まれるような被害はなくなって助かったんだけどね。
これが怪我の功名ってヤツなのかな?
でも、一抹の寂しさも覚えるんだよなぁ。
それと、弟はカラスの行水で直ぐに出てくるから、ちゃんと身体を洗っているのか、お姉ちゃんは少し心配です。
ちなみにハシバミは、ヘーゼルナッツの親戚だそうです。
うん、ヘーゼルナッツ美味しいから許してあげよう。
まはりって名前も珍しいから、日本に64人もいなさそうな気がするし、名前だけならもう既に有名人?
でも、テニスで活躍して有名にならないとね!
これからのテニス人生がドサ回りにならないよう、神様に祈っておきましょう。
それはそうと、明日の朝は8時には羽田に着いておきたいとか言っていたから、5時半ぐらいには起きて準備をしなければ。
ということで、今日の日記はこれぐらいにしておこう。
それでは、おやすみなさい。
20XX年8月3日
というわけで、夏休みを利用して、タイのバンコクまでやってきました!
まあ、家族で夏休みの海外旅行ってことなんだけどね。
お父さんが今年のゴールデンウイークに有休を取得できなかった分、お盆前に纏めて有給休暇を取るようにと会社から言われたとか。
だから、サラリーマンとしては少し長めの夏休みになったのです。
しかーし!
ネットでITFジュニアサーキットのカレンダーを見ていたら、このタイ旅行の日程と同じタイミングで、タイのノンタブリーでITFジュニアの大会が開催されているではありませんか!
同じ大会の過去のドローを見てみると、予選には結構空きがあるんですよね。
これはもしかしたら、大会に出場できるチャンスなのでは?
今年も予選に空きがあって出場できるかはともかく、ノンタブリーで開催される大会に取り敢えずエントリーだけでもしておこうと思って、お母さんを呼んでITFのPINを取得する手続きを進めました。
出場できたら儲けもの程度の軽い気持ちで。
私も英語はお母さんと学校で習っているから、簡単な英会話程度だったらできるけど、専門用語とかの英語だと私にはまだ難しいんだよね。
ちなみに、お母さんは帰国子女で、英語とスペイン語が堪能なトリリンガルだそうです。
お母さんも若い頃はテニスをしていたそうで、三年程ドサ回りも経験しているとかなんとか言ってましたね。
ランキングのキャリアハイは500位台の中盤が最高だったとかで、自分の才能ではこれ以上の上がり目はないと見切りをつけて、早々に引退したとか言ってましたけど。
お母さん曰く、ドサ回りは肉体的にも精神的にも金銭的にも、結構キツかったらしいです……
まあ、下部ツアーの賞金って安いもんなぁ。
これが、6月の中旬頃にあった話。
そんなこんなで、家族がアユタヤ観光をしている間に、私はテニスの大会に出場しちゃおうってことになりました。
出場する大会はといいますと、ITFジュニアサーキットでも最底辺のグレードに格付けされている、J30大会になります。
まあ、J30大会だからこそ、0ポイントでノーランキングの私でも、出場が可能だったのでしょう。
ちなみに、私の中学校での部活はテニス部には所属していませんので、全中には出場しません。
私の部活動は、パソコン部なんですよ。
パソコン部≒帰宅部とも言うけど。
まあ帰宅するのも自由だからこそ、パソコン部に入ったんだけどね。
テニスをしているのに、テニス部に入部しないで帰宅部に所属しているのは、学校が終わってから近所にあるテニススクールに通っているから、時間的な制約で部活動は不可能ということです。
それに、私の通っている中学校には、ソフトテニス部しか無いんだよ。
つまり物理的にも、初めからテニス部に所属することは不可能ということでした。
もっとも、学校にテニス部がない人のための救済措置なのか、テニス部に所属していなくても個人戦には出場できるみたいなんだけど、私はパスということで。
それはそうと、明後日から予選が始まるから、本戦出場を目指して頑張るぞ!
目標は最低でも、R16まで進出してポイントを獲得することかな?
対戦相手は私よりも年上である、15~17才ぐらいの選手が大半だと思うけど、いま現在の私の実力で海外の年上の選手を相手にして、どれくらい通用するのか?
期待と不安が半々といった感じで、ドキドキしています。
明後日の日記には、好結果が書けたらいいな♪
それにしても、タイの夏は日本の夏と比べても蒸し暑い……
バテないように気を付けなくっちゃ。
日記調だからカクヨムでは一日一話だったけど、一話あたりの文章が短すぎるのでなろうでは数話纏めて一話にします。




