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歪み愛  作者: お嬢
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ねぇってば


「はぁ」


恵実が残したパフェを食べてプリクラを撮って適当に散歩して解散となった。


凄く楽しかったし、不満なんてないのになんでこんなにも胸がモヤモヤするんだろう。


恵実が告白されているのを見た瞬間から、ずっとだ。

ムカムカして、もやもやして、変な感情が消えない。


「ほんと何この感情、あーもう!あのブスのせいで!このこのこの」


ベットに置いてある枕を、憎き仇みたいにボコボコに殴る。


「もう2度と関わってこないと思うけど、恵実と付き合えるのはっっ」


付き合えるのは...なに?


恵実と付き合ってもいいのは....めちゃくちゃイケメンで、性格もめっちゃ良くて、私よりちゃんと恵実を大事にできる奴とか?


うん、それなら、納得。多分。


納得、なはずなのに。


どうして胸の奥のざらつきが取れないの。


「もうわかんない!恵実のバカ!」


考えてもどうせ答えなんて出ない。

さっさと寝よう。


布団を被って目を閉じる。

暗い闇の中に沈んでいく浮遊感。


(恵実、置いていかないで)









「っちゃん、けいちゃん!」


「ん?どしたの?」


「どしたの?じゃないよ、もうけいちゃんって何度も呼んでるのに反応しないから」


「あっごめん、ちょっとぼーっとしてたかも」


昨日からずっと晴れない、このモヤモヤ。

無意識に考えてしまって、恵実にまで心配をかけてしまう。


考えるのやめればいいのに。


恵実だって、これから好きな人ができるかもしれない。

そしたら私は――


「っいひゃい、なに、えみぃ」


ぐにっと頬をつねられ、グイーっと横に伸ばされ好き放題される。

普通に痛いんだけど、恵実が嬉しそうにしてるからまぁいっか。


「うん、けいちゃんは悩んでるの似合わないよ」


「似合わないって?」


「もっと悪口ズバズバ言って、つよつよなけいちゃんが好き。もし本当に悩みあるなら聞くけど……今のは、なんかどうでもいいこと考えてる顔」


「どうでもいいこと……」


私が恵実のことで悩んでるのはどうでもいい事なの?わからない。


でも恵実がそう言うなら、そうなのかも。

だって私よりずっと、ちゃんとしてるし。


「ふーん、まぁそうかもね。じゃいっか」


「そうそう、けいゃんの話もっと聞かせてよ」


「ん、そだね。と言っても新しい話題がないんだけどね。誰かブスの話題ないのかなぁ」


チラッと周りを見ると視線があったクラスの子はすぐに俯いてしまう。

別に誰構わず悪口言ってる訳...言ってるかも。


ま、別にいいけど。


田口の話題もないしなぁ、暇じゃん。


周りから視線を外し恵実の方へと視線を戻すと、カチッと歯車が合うように視線が重なる。


「っ、どしたの?」


「今日「けいちゃんってほんと綺麗だなぁって。こんな近くでご尊顔拝めるなんて幸せ」


「ご尊顔ってなにそれ、言い方www」


思わず吹き出し、体が震えるくらい笑う。


こういう天然なところ、ずるいんだよね。

恵実のこういう天然なのが可愛いんだよね、恥ずかしいから言わないけど。


ひとしきり笑ったあとも恵実は驚いたようなニヤついたようなどちらとも取れるような表情をしていた。


「なによ?また変な事でも言うつもり?」


次は何言っても驚かないように警戒心を高め、恵実の顔をじっと見つめる。

この子は照れるって言う感情がない、簡単に可愛いって褒めてくるしどんな反応すればいいのか時々わからなくなる。


「けいちゃんって笑った時、瞳が大きくなるよね。猫みたいにさ、それがすっごく可愛いなって驚いたの」


「っぶ、ちょっと何急に!!覚悟してたのにこれだから天然タラシは」


首から上が赤く染まり上げていくのを感じる。


何を言われても動じない心を作っていたのに、恵実の言葉に容易く崩壊してしまう。


見られたくなくて胸元のTシャツを捲り上げ顔を隠す。


「っふふ、けいちゃん。可愛い」


(もう!なんで恵実って照れないでこんな事が言えるの!勘違いしたら...勘違いってなに?)


熱くなった顔から、さあっと熱が下がっていくのを感じる。

あんなに恥ずかしかったのに、今は自分で発した『勘違い』という言葉に引っかかってしまう。


私が勘違いしたらまずいの?

でもそれって、好きな人に抱く感情じゃないの?


私たちは友達。

これは違う。きっと違う。


熱が引いた事もあり冷静に考える事ができた、恵実はからかい含めて可愛いって言ってるだけ。


私が過剰に意識しすぎなんだ。


「紛らわしい事ばっかり言うから勘違いする所だったわ」


「勘違い?」


キョトンと驚いた顔で復唱する。

(ほんと無自覚にかわいい顔しちゃって、かわいなぁ)


「そ、だって恵実って頻繁に可愛いって言うからてっきり私の事好きなんじゃんって」


「好きだよ」


「っはぁ!?」


また顔が赤くなっていく、今日は心臓に悪い日だ。

恵実は不思議そうに首を傾げて尋ねてくる。


「何でそんなに驚いてるの?けいちゃんは私のこと好きじゃないの?」


「っ、す、好きだけど」


「嬉しい、両想いだね。けいちゃん」


頬を赤く染め微笑んでくる恵実の笑顔に、胸が震え上がっていく。

うるさい程にどくどくと高鳴り続けていく。

(心臓がうるさい、止まれってば)


「っ、もう!!本当にタラシ!タラシ!クソタラシ!」


「むっ、私タラシじゃないよ。好きな人以外には言わないよ。けいちゃんが可愛すぎるから悪いの、それにけいちゃん以外で可愛い人って居ないからね」


馬鹿真面目に私以外に可愛い人はいないと宣言する。

そりゃこんなビジュアル整ってる顔はいないけど、恵実に言われると変な感じになる。


「うぅ~、可愛いって連打すんな!バカ!わかったから」


今日はいつもより翻弄されるのが多い...いつもは私が恵実に可愛いって言ってるのに。

それに両想って...意味わかってるのアレ。


友達としての両想いだとしても、あんなの他の人に言ったら誤解されるじゃん。


てか、何でこんなに照れてるんだろ。

今までなら『ありがとね、でも恵実も可愛いじゃん』って言ってたはず。


なのに、何で。


昨日から全部がおかしい。

調子狂う...いつもの私に戻りたいのに、恵実を見てると何故か胸が熱くなる。


全部あのブスのせいだ、あいつが現れなかったらいつも通り恵実に可愛いって言えてたのに!


今までどんな顔して恵実と話してたのかすら思い出せない、たった1日でこんなに変わるなんて。













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