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全員が俺だ ~6666回転生した記憶過積載者~  作者: 雨音トキ


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第44章 カインの真意

翌朝。

リオン、ミラ、グラムは村を出た。

三人で。

北へ向かう。

村人たちが見送る。

「気をつけて!」

「頑張れ!」

声援が聞こえる。

グラムが巨大なハンマーを背負っている。

「さあ、行くぞ」

リオンが頷く。

「ああ」

ミラも頷く。

「行きましょう」

三人は北へ歩き出した。

雪道を。

氷山が見える。

遠くに。

巨大な山。

白く輝いている。

ミラが言う。

「まだ遠いわね」

リオンが頷く。

「ああ。でも確実に近づいてる」

グラムが言う。

「3日くらいかかるだろう」

リオンが頷く。

「そうだな」

三人は歩き続けた。

1時間。

2時間。

村が小さくなる。

雪が降り始める。

風が冷たい。

その時、前方に人影が見えた。

一人。

黒いマント。

立っている。

道を塞ぐように。

リオンが止まる。

「誰だ?」

ミラとグラムも止まる。

人影が近づいてくる。

ゆっくりと。

フードを取る。

顔が現れる。

リオンが息を呑む。

「カイン……」

カインが立っている。

冷たい笑み。

「また会ったな」

グラムが前に出る。

「こいつが噂のカインか」

ハンマーを構える。

「リオンの敵だな」

カインがグラムを見る。

「ドワーフか。初めて見る顔だ」

グラムが答える。

「俺はグラム。リオンの仲間だ」

カインが微笑む。

「仲間か。面白い」

リオンが剣に手をかける。

新しい剣。

戦士用の。

「戦え!」

叫ぶ。

目が変わる。

戦士アレクの目。

剣を抜く。

構える。

「今度は負けない」

カインが手を上げる。

「待て」

リオンが止まる。

カインが続ける。

「戦いに来たんじゃない」

リオンが警戒する。

「何の用だ」

カインが答える。

「話がある」

リオンが聞く。

「話?」

カインが頷く。

「お前を殺す理由を教えてやる」

リオンが黙る。

ミラが前に出る。

「リオンを殺す? ふざけないで」

グラムもハンマーを構える。

「やらせるか」

カインが二人を見る。

「お前たちも聞くといい」

リオンが剣を下ろす。

「話せ」

カインが頷く。

「いいだろう」

深呼吸する。

「俺の12回の人生、すべてでお前と出会った」

リオンが驚く。

「12回?」

カインが頷く。

「ああ。俺は12回転生した」

続ける。

「最初の2回は仲間だった」

リオンが聞く。

「仲間?」

カインが頷く。

「ああ。お前と一緒に魔王と戦った」

リオンが黙る。

カインが続ける。

「1回目、お前は魔王を倒した。だが直後に暴走した」

リオンが息を呑む。

カインが続ける。

「記憶の重みで自我崩壊。国を滅ぼした」

リオンが震える。

カインが続ける。

「俺も殺された。お前に」

リオンが顔を上げる。

「俺が……お前を……」

カインが頷く。

「ああ」

続ける。

「2回目も同じだった。お前は魔王を倒し、暴走した」

リオンが黙る。

カインが続ける。

「3回目、俺は考えた。お前を止めるにはどうすればいいか」

リオンが聞く。

「それで……」

カインが頷く。

「魔王復活前にお前を殺すことにした」

リオンが拳を握る。

カインが続ける。

「3回目以降、俺はずっとお前を殺してきた」

リオンが聞く。

「なぜ……」

カインが答える。

「お前が暴走するからだ」

続ける。

「魔王を倒した後、必ず暴走する」

リオンが震える。

「それで……俺を殺そうと……」

カインが頷く。

「そうだ」

続ける。

「魔王復活前にお前を殺せば、少なくとも暴走は防げる」

リオンが聞く。

「でも、魔王は?」

カインが答える。

「俺が倒す」

胸を叩く。

「お前より強いからな」

リオンが拳を握る。

「俺は暴走しない」

カインが首を横に振る。

「6666回言ってきたセリフだ」

リオンが叫ぶ。

「今回は違う!」

カインが冷たく笑う。

「それも聞いた」

リオンが続ける。

「ミラがいる。グラムがいる。仲間がいる」

カインが答える。

「ゼロにも仲間がいた」

リオンが黙る。

カインが続ける。

「だが、暴走した」

ミラが前に出る。

「リオンは違う!」

グラムも言う。

「そうだ。俺たちが止める」

カインが二人を見る。

「そう信じたいのはわかる」

続ける。

「だが、12回見てきた。全て同じだった」

ミラが叫ぶ。

「今回は違う!」

カインが首を横に振る。

「証明してみせろ」

リオンが聞く。

「どうやって?」

カインが答える。

「魔王を倒し、暴走しないこと」

続ける。

「それができたら、認めてやる」

リオンが頷く。

「わかった」

カインが続ける。

「だが、できなければ……」

剣に手をかける。

「俺がお前を殺す」

リオンが頷く。

「わかった」

カインが背を向ける。

「北で待ってる」

歩き出す。

「封印地で」

リオンが叫ぶ。

「待て!」

カインが止まる。

振り返らない。

リオンが聞く。

「なぜ今、教えた?」

カインが答える。

「お前に選択肢を与えるためだ」

リオンが首を傾げる。

「選択肢?」

カインが答える。

「魔王と戦うか、俺と戦うか」

続ける。

「どちらかを選べ」

リオンが黙る。

カインが続ける。

「魔王を倒せば、暴走する。俺と戦えば、世界は魔王に滅ぼされる。どちらを選ぶ?」

リオンが答える。

「魔王を倒す。そして暴走しない」

カインが笑う。

「できるか?」

リオンが頷く。

「やってみせる」

カインが歩き出す。

「北で待ってる」

雪の中を歩く。

消えていく。

三人が残された。

しばらく黙っている。

グラムが言う。

「厄介な男だな」

リオンが頷く。

「ああ」

ミラが言う。

「リオン……」

リオンが振り返る。

「何だ?」

ミラが聞く。

「本当に大丈夫?」

リオンが頷く。

「ああ」

でも心の中では不安がある。

『暴走する……』

『12回も……』

『本当に……防げるのか……』

グラムが肩を叩く。

「大丈夫だ」

リオンが見る。

グラムが続ける。

「俺たちがいる」

ミラが手を握る。

「もし暴走したら、私たちが止める」

リオンが微笑む。

「ありがとう」

グラムが言う。

「さあ、行くぞ」

ハンマーを担ぐ。

「カインを待たせるな」

リオンが頷く。

「ああ」

三人は歩き出した。

北へ。

氷山へ。

封印地へ。

カインが待つ場所へ。

雪が降り続ける。

風が吹く。

寒い。

でも三人は止まらない。

歩き続ける。

リオンは思った。

『カインの言う通りかもしれない……』

『俺は暴走するかもしれない……』

『でも……』

ミラとグラムを見る。

『仲間がいる……』

『今回は違う……』

『必ず……』

決意する。

『暴走しない……』

『魔王を倒し……』

『世界を救う……』

『そして……』

『カインに認めさせる……』

拳を握る。

歩き続ける。

氷山が近づいている。

巨大な山。

白く輝く。

頂上は雲の中。

そこに封印地がある。

そしてカインが待っている。

三人の旅が続く。

真実を知った今。

選択をした今。

前に進むしかない。

止まらない。

諦めない。

三人で。

一緒に。

世界を救うために。

運命を変えるために。

リオン、ミラ、グラムは歩き続けた。

雪の中を。

北へ。

氷山へ。

未来へ。


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