第92話 ヒーローズ
俺が帝都の広場の横で待ってるとシエルが降りてきて「今から出て来てくれるってさ」と伝えてくれた。
俺はシエルを頭の上に乗せて待っていると広場の門が開き、四人の男女と俺にそっくりな黒猫が現れた。
その中では一番年長な感じの、二十代前半に見える男が話し掛けて来た。
「君が俺を呼んだのか? 本当にTBそっくりだな。並んでみても全然違いが解んねぇぞ。名前は?」
「初めまして、勇者様でいいのかな? 俺はテネブルこっちの青い鳩はシエルって言います。もうお判りでしょうけど俺達も現代日本から来てます。どうやら現代日本って言っても違う日本みたいですけど」
「ふむ、ここで話すのも変だし、ちょっと俺達の世話になってる屋敷に来てくれないか?」
「解りました」
そして俺は、四人と一匹の後ろに付いていく事にした。
シエルがちょっと心配して、念話してくる。
『ねぇパパ、この人達って絶対滅茶苦茶強いよね? TBって言う黒猫も合わせて、誰一人鑑定も出来ないよ?』
『ああ、そうだな。今の俺達じゃ戦いにすらならないだろうな。でも敵意は無いようだし、絶対的な強者の余裕で俺達をそこまで怪しんでもいない様だから、何とかなると思うぞ』
そして俺達は大きな屋敷に連れて行かれた。
大きな応接室の様な場所に案内されて、執事や侍女の様な人達もいる。
自分たちの飲み物を頼み、俺にはミルク、シエルには水を用意してくれた。
シエルは、俺の頭の上に乗っている。
俺はテーブルの上に座っている。
ちょっとお行儀は悪いが床だとみんな下を向いて話さなきゃならないから、勘弁って事で。
俺に合わせてTBと言う俺そっくりな黒猫もテーブルの上に座った所で、話は始まった。
「初めましてで良いよな? 一応自己紹介して置こう。俺は岩崎理見た目は若干若いかもしれないが四十六のおっさんだ。この黒猫はTBと言う俺の従魔だ。それにしても見た目が似すぎだな。俺ですら首のプレートが無かったら見分けがつかんぞ」
「次は俺だね。松尾翔岩崎さんとは別の日本から召喚されてきた。歳は十九歳だ」
「私は柊心愛って言います。私もこの二人とは別の日本から召喚されました。高校二年生です」
「真田希心愛先輩と一緒に召喚に巻き込まれました。高一です」
間違いなかったようだ。
「えーと、みなさんが正直にお話してくださったようなので、俺達も日本の本名と何でここに来たのか話しますね」
「俺は、本名は奥田俊樹という日本人で、歳は四十二歳のおっさんです。で、こっちの鳩は俺の娘で奥田飛鳥心愛ちゃんと同じ高校二年生です」
「そっか親子ってなんか凄いな。どうしてここに来たの? 俺達の事を探して来たみたいだよね?」
「心愛ちゃんを探してる人に頼まれて、帝都で勇者召喚が行われたって言う情報を聞いたから、ほぼ間違いないんじゃ無いかと思って訪ねて来ました」
「え? そうなの? 誰が奥田さん達に頼んでくれたんですか?」
「やたら歯の白い冴羽さんって言う男性と、おっぱいのメチャ大きな大島さんと言う女性が俺の世界に訪ねて来たんです」
「あ、間違いないね。うちの社長と杏さんだ」
「間違いなさそうで安心しました」
「で? 奥田さんがここに来てくれたって事は、帰る事が出来るって事ですか?」
「少なくとも、俺の世界って言うか、俺が住んでる日本には行ける手段はあります」
俺はこの世界に召喚された、異世界出身の勇者たちと共に自分の世界へと戻り、心愛ちゃんと希ちゃんを冴羽さんに合わす事も出来た。
取り敢えずはミッション達成かな?
俺の世界に来た岩崎さん達は取り敢えず岩崎さんの魔導具である、次元潜航艦G.Oという格好いい船で、一度自分たちの世界に行ってきちんと家族に報告してくると言い戻って行った。
その間に俺は、小説の続きを執筆した。
異世界の英雄たちとの出会いとか、中々物語的には盛り上がるかもね?
翌朝、岩崎さん達は約束通りに戻って来た。
翔君は、自分の世界ではオリンピックとかで金メダルをいっぱい獲得してたりして凄かったって希ちゃんが教えてくれた。
「それってありなの?」
「ああ、俺もちょっとやり過ぎちゃってるかな? とは思ったけど、その分解決が大変そうな問題があったら手伝ってるし、まぁそれくらいはいいかな? って勝手に思ってるよ」
「そうなんだね。パパも何かやる?」
「俺は小説ネタで異世界使うくらいで満足してるからいいよ。本当に能力が必要な事件でもあったら考えるくらいはするかも知れないけど、その時はシエルの能力とかの方が役に立ちそうだよな」
「うーん、逆にこの世界でも猫や鳩の姿になれるとかじゃ無いと、動きにくいよ」
「あーそれもそうだな」
「俊樹兄ちゃん。私は今日はオンエアだからもう出かけるね。戻って来たらすぐ出発で良いんだよね?」
「ああ、そのつもりだ」




