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初エンカウントしたモンスターは魔王様!?  作者: 七曜
第3章 獣人の国 ラヴァン
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51話 ラノロ港町


「おお、見えてきたねぇ、あれがラノロか」


馬車に乗っている紫炎の目の前にそびえるラノロ港町が見えてきた。


ラノロ港町――ラヴァン大陸に行くための港がある町である。


紫炎を乗せた馬車は、王国から約四日という時間をかけて到着した。外装には外壁が存在してなく、あるのは簡易的な柵のみとなっているが、並ぶ建物は色鮮やかでとてもカラフルな造りとなっているのが最大の特徴だ。


もちろんカラフルになっているのには理由があり、遠目でもわかりやすいというのがモットーとなっている。


「とりあえず、港にへと行くか」


カラフルな建物を尻目に紫炎が呟く。だが、所々視線がこちらに注がれるのは、何かと心にくるものがある。


まぁ、それもそのはずであろう。何せ絶世の美少女と言っても過言ではない美しさや可愛さをもつ女の子を連れているのだから。


テスタやルファーを王国に仕方がないとはいえ置いてきた紫炎にとって、今のパーティの面子というのは、少女しか居ない。


ユグやシル、クレンはもとより黒煉などは女の子とではないが容姿は幼い。よって色んな意味で視線が紫炎にへと突き刺さる。


ちなみに例の如くサミリアは影にへと潜っている。本当は影からでて紫炎から()()を貰おうとしたのだが、一応魔物なので船まで我慢しているのだ。


報酬とは、試験後にあるお願いをした時に取り付けた約束である。本人曰く


『御主人様に命令されるのは良いのですが、報酬があった方が張り切る事ができるのですが·····』


などと、上目遣いでお願いされれば、紫炎とて折れてしまうのは仕方がない話である。


報酬の内容については添い寝か別の意味で寝たいという話であったのだが、"寝たい"という単語を聞いた瞬間黒煉の目がやばかったので、紫炎としては血涙を流しながらも、添い寝を報酬にした。


紫炎にとっては現状少女の方が若干比率が高いので、保護欲というのが勝っていたが、健全な男子高校生である。性欲の一つや二つぐらいないわけないのだ。


更には、自分のパーティの女子率の高さ、いやもはや女子しか居ないこのハーレムな空間で、毎夜毎夜ソロプレイに励もうとしているのだが、夜は、添い寝やらで発散するどころか溜まっていく一方である。


よって一瞬、サミリアの報酬で目元をギラつかせたのだが、黒煉の目力が半端なかったんや。


というわけで、現在紫炎の周りには少女しかいない。よって紫炎の耳には入らないのだが、巷では「ロリコン王が·····ロリコン王が·····」や「やべぇよ、やべぇよ。羨ましすぎだろあれ!」などなど色々な事が噂されるのであった。


そんな事はつゆ知らず、紫炎は早速、港ギルドにへと向かう。


港ギルド――呼んで字のごとく港で船を管理、更には出港などをやってくれる言わば、チケット売り場である。


外装はやはり、目立つ色が採用されており、白や赤、青など多色使用されている。


そんな港ギルドにへと足を踏み入れると、テンプレ的な展開が紫炎を出迎えた。


「おいおい、にぃちゃん。えらいべっぴん連れてるじゃねぇか。えぇ?」


しかし、初めてのテンプレ展開ならいざ知らず、()()()となるとさすがに対応がめんどくさいものだ。


「うるせぇ、来るんじゃねぇよ。汚らわしいだろ?」


「おいおい、下手に回ってたらよぉ! 偉そうだなぁ。えぇ?」


内心何処が下手だよ! っとツッコミを入れるが、正直、ハントを彷彿とさせるから、若干イラついているのもまた事実。


例の如く、女性陣は虫けらを見るような目で、この名も知らぬ男性を見つめており、紫炎は仕方なしにわざとらしくため息を吐く。


「なんだぁ!? そのため息はナメてんじゃねぇぞ!」


振りかぶって放たれた拳を、避ける必要性すら感じないのか、指一本で止める。


「なんだぁ? このぬるい拳はよぉ。はぁ、ほぉらよッ! と」


驚きの顔に包まれている男を、紫炎は片手でつまみ上げ、そして後ろに控える海にへと投擲する。


この光景に港ギルドに居た連中は揃って驚愕を隠せない。それは紫炎の計り知れない力もそうなのだが、後ろに投げる際の女性陣の身のこなしにも驚いたものだ。


無言で真顔の状態で、サッと避けるその動きはまるで精密機械のようなものであった。


そして、それをまるで何事も無かったように、受付まで進む紫炎たち。これには、港ギルドにいた連中は、もう無言で酒を飲むしか道はなかった。


目が合えば殺される。目が合えば吹き飛ばされると必死に目を背けるその姿は、少し笑えてしまうが、そんな暇はないのでさっさとチケットを買うことにしよう。


「すまない。ラヴァン行きのチケットを人数分くれるか?」


「は、はい。お待ちください」


受付さんも呆然と見ていたのだが、あまりにナチュラルに聞いてきたので、気を取り直し、チケットを発行する。


「五人で五千ゴルドです」


「これで十分だな」


「はい。ちょうどお預かりします。はい、これがチケットです。では良い旅を」


さすがプロ。受付さんは見事な手つきでチケットを渡し、会計を済ませ、決まっているセリフを放つ。


そして、紫炎たちは港ギルドを去っていくのだが、残された連中から王国やクイシーの街同様に紫炎へと噂が加速していくのだった。

ではでは、第3章も皆様が楽しめられるような小説にしていきますので、感想、評価、ブックマーク等してくださると嬉しいです。


誤字脱字、日本語の不自然な部分等ございましたらご報告下さい。

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