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魔剣の呪いがスパルタって!  作者: 軒下水滴
ガイアス編
16/31

15.ガイアスに来ました

 

 リレイロードからの転移後、おれは草原に中腰で立っていた。

「スパルタン、別の世界に転移したのか?」

『はいマスター、そのようです。

ところでその《中腰前屈み》の姿勢はなんですか?』

「未来から来たアンドロイドの登場シーンを再現したものだ!恰好いいだろう?」

『…情報の収集を開始します』



『情報収集を終了しました。この世界はガイアス。精霊の力が満ち溢れた世界です』

「スパルタン、精霊の力って何?」

『たとえば、人は精霊の力を使って魔法を発動することや、身体能力を上げることができます。

また、精霊の力を借りれば、この世界の人と会話ができます』

 外部から供給出来る魔力と闘気って感じか。


 スパルタンに使えそうな情報を聞いてみた。

 ・現在の位置は、バグナール帝国のハンター村の近く。

 ・バグナール帝国の通貨は1ダル≒1円くらいだ。

 ・等々


「まずはお金の確保と身分証の取得か!」

 魔剣スパルタンが一番近い町の方向を示す。とりあえず、サイクロン号でそこを目指す。


 やがて、進行方向に、大きな猪のような動物が現れた。

「スパルタン、あれ、食べられる?」

『食べられます、マスター』

 大きな猪のところまで走って接近すると、腰を落とし右腕を下げ、右拳を大きく振り上げた。

「《モーニングエレクションアッパー》」

 大猪が宙を舞って落ちていく。

「絶命している?」

『まだ生きています』

 その場で喉を引き裂き、血抜きをする。

「売れるといいけど」


………

……


 転移してからの初めての村、バグナール帝国のハンター村に着いた。

「ハンター村へようこそ。身分証は持っていますか?」

「いえ、持っていません」

「そうですか、ではひとり1万ダルの通行料がかかります」

「持ち合わせがないので、この猪を売ろうと思っています。買い取ってくれるところはありますか?」

「ならここで買い取りましょう。少しお待ちください」

 査定人らしき人が呼ばれ、査定を行っているようだ。



 猪は10万ダルになった。そこから1人分の通行料を引いて9万ダルを受け取った。

「身分証明が欲しければ、冒険者ギルドか商業ギルドに行って登録するといいです。1万ダルほどかかりますがそれで身分は証明されます」

「わかりました。ありがとうございます」


 とりあえず安そうな宿屋を探して一泊する。

 明日は冒険者ギルドに行って冒険者登録しよう。お金も必要なので、ついでに依頼も受けよう。


………

……


翌朝:

 冒険者ギルドに来た。


「冒険者登録したいんですが」

「登録するには簡単な審査が必要になります」

「はい、お願いします」


 受付嬢が水晶玉を取り出した。

「これは嘘発見器です。嘘をつくと濁ります。じゃあこの水晶玉を触って、今からする質問に答えてください。

《犯罪を犯したことはありますか?》」

「いいえ」

「はい、結構」

 水晶玉は濁らなかった。


「では登録料が2万ダルになります」

(あれ、町に入るとき、ギルド登録料は1人1万ダルと教えられたけど?ま、いいか)

 その後、身長、体重、体の特徴などを記載用紙に記載し、指紋を取られ、身分証となるギルドカードを作ってもらった。


「これが冒険者ギルドの説明書です」

 ギルドについての説明書受け取る。

 この世界の冒険者にも冒険者ランクがあるらしい。

 D級~A級に分かれている。


「依頼を見せてもらってもいいですか?」

「左上にD級と書かれているのが、あなたのレベルに合った依頼です」


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

依頼

S級 《ホワイトゴーレムの欠片の収集》報酬5億ダル 期限残り1か月

A級 《カウカウの討伐と肉の調達》  報酬25万ダル 随時

B級 《ビッグボアの討伐と肉の調達》 報酬12万ダル/1匹 随時

B級 《用水路の清掃の護衛》     1万ダル/1日 本日

D級 《淡霧草の採取》        報酬50ダル/1本 限定1万本

D級 《用水路の清掃》        6千ダル/1日 本日

∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞


 依頼にはS級という物があった。これはA級のパーティーが5組以上組んで受けられる依頼らしい。

 D級はと…《淡霧草》採取の依頼やってみようか。


「この依頼受けたいのですが、初めてなので詳細を教えてくれませんか?」

 受付嬢が指導係りの人を呼んでくれた。

《淡霧草》の標本と採取場所を確認し、地図を買わされた。

(スパルタン、この草の生えている場所分かる?)

『情報収集します…おおよその位置はわかりました』

「じゃあサクサク採取してこよう」


……


 その日は、夕方まで《淡霧草》の採取を続け、合計400本になった。

 2万ダルになるはずだったが、1万6千ダルしかもらえなかった。

「あの、400本あるので、2万ダルになるんじゃないんですか?」

「あ、ごめんね、他にも《淡霧草》を持ち込んだ人がいて、1本40ダルになったの」

 周りの冒険者達がクスクス笑っている。

「え、ですが依頼用紙にはまだ1本50ダルと書いてあります」

「訂正するのを忘れていたわ。後で訂正しないと」


 次の日も《淡霧草の採取》の依頼を受けてみる。

「あの《淡霧草の採取》の依頼、きょうは1本50ダルで間違いないですか?」

「ええ、間違いないわ」


……


 その日も夕方まで採取を続け、昨日と同じように400本渡した。

「報酬は1万ダルになります」

「今朝確1本50ダルと確認しました。2万ダルの間違えでは?」

「マスターに聞いてください」

 するとそこへやけに体のゴツイおじさんが現れた。

「何を騒いでいる。お前は昨日登録したという冒険者か?

採取の仕方が悪かったんだ。半分は使い物にならないから報酬は1万ダルだ!」

 また周りの冒険者達がクスクス笑っている。


 ちょっとした新米冒険者虐めってやつか。

 もういい、少し大きい町へ移動することにしよう。

 移動する前に持ち物を売ってお金にするか!


「わかりました。

では、このポージョン売りたいんですけど、買い取って頂けますか?」

 と、マリアナさんが作ってくれたポージョンを差し出す。

「これ、ポージョン?マスターちょっと確認お願いします」

 指先でポージョン掴み、ぷらぷら左右に振っている。

「どれどれ」

 受付嬢がマスターにポージョンを渡そうとした瞬間、瓶が指から滑り落ちてしまった。

 飛び散ったポージョンが一瞬虹色に輝いた。

「あ、ごめん、割っちゃった。マスター、業務上の過失ってことでギルド経費でお願いします」

「割ってしまったものはしょうがないなー、ほれ1千ダルやる、これで十分だろう」

 と、悪びれる様子もなく、1千ダルをおれに差し出した。


………

……


翌日 バグナール帝国諜報部:


「宰相、探していたエリクサーが見つかりました」

「何、本当か!どこにあった?急いで手に入れろ」

「エリクサーはハンター町の冒険者ギルドにありましたが、瓶が割れて飛び散りました」

「瓶が割れただと?」

「はい、受付嬢がギルドマスターにエリクサーを渡そうとしたときに、誤って割ってしまいました」

「その冒険者ギルドのマスターに伝えよ!30日以内に、変わりのエリクサーを見つけろ。見つけられなければ斬首だと」


翌日 冒険者ギルド:


「冒険者ギルドマスターに勅命を伝える。エリクサーを損失させた失態は許し難い。

よって30日以内に、変わりのエリクサーを見つけろ。見つけられない場合は斬首とする」

 国の使者が勅命を伝える。

「私はエリクサーなど知りません!」

 ギルドマスターが慌てて否定する。

「先日受付嬢から渡されたエリクサー入りの瓶を落として割ったことは調査済みだ。

飛び散った液体が虹色に輝いただろう?あれはエリクサーならではの現象だ」



 国からの使者が帰ると、ギルドマスターが慌ただしく受付嬢に詰め寄った。

「おい、先日の新人冒険者はどこに行った?」

「2日前にこの町を出て行きました。何か用事でもありましたか?」

「先日割ってしまったポージョン、あれは帝国が必死になって探していたエリクサーらしい。

代わりのエリクサーを探して献上しなければ、おれは斬首だそうだ!お前も無事に済むとは思うな」

「え、エリクサー…私はあの瓶をちゃんとマスターに渡したわ、割ったのはマスターで私のせいじゃないわ!」

「国からしたらどっちが落としたなんて、どうでもいいことだろうよ。斬首の対象はおれとお前だよ!」

「イヤーーー」

 何事かと、周りの冒険者が集まってきた。そこには頭を抱え震えているギルドマスターと、白目を剥いて失禁している受付嬢の姿があった。





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