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ninety first story 優しい笑み


朝が来た。


龍崎が教室に来る。

朝が来た。



いつもよりずいぶん遅い時間に起きる。

いつも通り、制服に手を通して階段を下りる。


5段ほど下りた時、美味しそうな匂いと、人の楽しそうな笑い声がした。



少し深呼吸をして、一気に階段を下りてドアを開ける。



「おっ、お早う!お母さん、お父さん!」



出来た!

少しつまりながらも、言うことができた!!

きっと、私の顔は真っ赤だろう。


恐る恐る、綾子さん・・・お母さんの顔を見る。


お母さんもお父さんも少し恥ずかしそうに笑っていた。



「お早う、奈緒。」





昨日の夕方、学校から帰って、家に入るとお母さんに抱きしめられた。

その目には少し涙がにじんでいた。



良かった。

人に・・・お母さんに抱きしめられるのがこんなに温かいなんて知らなくて、少し戸惑っていた私に、お母さんは優しく


「お帰り、私の娘。」


とささやいた。



きっと、龍崎に出会えてなかったら、こんな幸せな気持ちにはなれなかっただろう。


私は改めて龍崎に感謝した。







少し緊張しながらも、お父さんと向かい合って座って、まだ湯気が立っているご飯を口に含んだ。


それが、龍崎の作ってくれたオムライスと同じぐらい美味しくて味わって食べていたら、時間はあっという間に過ぎていた。


ご飯に時間をかけすぎていたため、準備を急いでやり靴を履く。


そして、


「行ってきま〜す!!」


と、叫んだ。


「言ってらっしゃい!」


お母さんはドアから顔を出して答えてくれた。





「・・・うぃ?」



ドアから出ると、そこには居るはずのない人物が居た。


「よぉ。」


そう、龍崎が塀にもたれかかっていた。


「何でいんの?」


私は、驚きと嬉しさを隠しながら近寄った。


「・・・、待ってたんだよ。今日、お前の頼み聞いてやんだから、教室ぐらい一緒に上がれ。」


顔を背けながら恥ずかしそうに言う龍崎。


そこからは少しの不安がにじんでいた。



そうだよね・・・、緊張するよね。



私は龍崎に手をとった。


「よし!行こう!!」


そういって、駆け出した。



「はっ!お前、はしんの?!」


「だって、寒いじゃん!!」


私達は笑いあいながら学校へと向かった。




学校が近くなるにつれ、他の生徒の目が集中する。

龍崎はそれを知ってか、スッと、手を離した。


「あれ・・・、お袋?あさって退院するって。」


自分の手をポッケに突っ込みながら言う。


「退院?良かったじゃん!!・・・で、直哉さんはどうすんの?」


「あ〜・・・。居るんじゃね?」


少し顔を赤くする龍崎に、居て欲しいんでしょ。と、ささやく。


それが聞こえてたのか龍崎はポコッと私の頭を叩く。



校門を入ると、生徒指導の先生までも驚いて少し後ろに下がった。


「ほら、挨拶!!」


龍崎に舌打すると、龍崎は少し唸ってから


「・・・はよざいます。」


と、小声で言う。


「ああ、おはよう・・・。」


先生は額に汗をかきながらも答えた。

きっと、職員室ではこの話題で持ちきりになるだろう。


私は、少し顔を赤くした龍崎を見て、クスッと笑う。



それに気づいたのか、龍崎は恥ずかしそうに睨んできた。




そういえば、私と龍崎の周りに人が居ない。


生徒は皆、猛獣を囲むように、私達から1.5メートル以上はなれたところでこそこそ言っていた。




「あ〜!!馨君じゃんvv」


私が、遠巻きからみていた生徒を睨んでいると、前方から甲高い声が聞こえた。




沙織たちだ。


今日はさらに、厚化粧に磨きがかかっている。

顔・・・ういてるよ?



「なになに、今日早いじゃん!うちらに会いに来た?きゃ〜!!」



・・・・・なに、一人芝居してんのさ?

龍崎はうざったそうに、それをみていた。


≪んな訳、ねぇだろ。≫


そういうんだろうなって、思って私は得意げな顔をする。





「さぁな?」


ー―え?


龍崎は少し笑みを浮かべて、沙織たちにそう言った。


さぁな?


さぁなって・・・。


その優しそうな笑みを向けられた、沙織たちは一気に倒れた。




なんか・・・、優しいね。




『俺、お前以外に優しくするつもり無いから・・。』


その言葉が私の頭の中で渦巻いていた。






昨日、更新できなくてごめんなさい!!

明日・・・、てか、今日ですね?は、出来ます!!

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