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第11話 戦いの始まり

 ガルシア財閥日本支社の最上階にあるCEO室で。アレンは秘書であり、白鳥(スワン)の最高幹部であるフランツから報告を受けていた。


「昨日の夜、フランスから来たプライベートジェット機が羽田空港に着陸しました。ジェット機の警備が想像以上に厚く、干渉は出来ませんでしたが、黒狼(ブラックウルフ)のボスが乗っていたという情報を手に入れました」

「フランツ、直ぐに都内にいる者たちに通達しろ。直接彼とは接触するな。と」

「了解致しました」


 アレンは室内にある高級ソファに腰掛け、目の前で完璧な佇まいで報告をするフランツをジッと観察する。フランツは、アレンの心許せる二人の者のうちの一人だ。もう一人は小さい頃からの側近、ヴィル。


 フランツは、胸に手を当て、腰に回し頭を下げる。そして、音も立てずに室内から出ていく。室内に残ったのは、アレンとヴィルの二人だけ。ヴィルは静かに地図とにらめっこしている。アレンは言葉を一言も発さずに、静かにその時を待った。



 ◇◆◇ 



 フランス、パリの何処かの建物の一つの部屋で、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、と規則的な音が何処からか鳴り響いている。その音は少しずつ大きくなり、最後にはピーーーーーーーーーーー!!!!!!と大きな音を出して爆破した。


 建物は崩れ、バラバラと残骸が砕け散り、舞い降りている。地下に続く道は瓦礫で閉ざされ、外に全く出れなくなった。


 地下に居たギャング、黒狼(ブラックウルフ)の者たちは皆静かに閉ざされた出入り口を見ている。誰かが呟いた。「戦いの開始だ」……と。


「外に出られなくなったな」

「大方、白鳥(スワン)が仕掛けたことじゃろうて。儂ら黒狼(ブラックウルフ)の宣戦布告を受け入れたようじゃな。ボスが日本でどう動くか。それによって、戦況はかなり変わってくる。」

「爺さん、応援には行けなくなってしまったぞ」

「それくらい、どうにかなるじゃろ。今は静かに眺めるときじゃ。白鳥(スワン)も一度は様子見をするじゃろうからな」


  白髪に長い髭を持ち、杖を突きながら使えなくなった出入り口を眺める貫禄のある爺さんは、前ボスの頃から居るメンバーだ。


 前線に出る事は無くなったが、今でも指令官としてギャングの中心にいる。


「爺さん、あの瓦礫はいつ動かす。直ぐにやらないと警察にこの場所がバレる」

「それは安心せぇ。儂が直ぐに地上からこの場所に干渉出来ないようにするからの」

「分かった。ところで、アイツはどうする」


 貫禄のある爺さんは、杖を少しだけ持ち上げ、直ぐに床に叩きつける。すると、出入り口を塞いでいた瓦礫を地上から切り離し、地下に繋げた。


 この魔法は、物体を切り離し、繋げ、外から干渉出来ないようにする代わり、三週間程中からも干渉出来なくなるのだ。


 言わば、欠陥魔法である。それなら瓦礫を消してしまえば良いというヤツが居るので言うが、爆弾が仕掛けられた時点で何かしらの罠が張ってある可能性が高い。


 それもあって、下手に刺激するよりも、切り離し繋げるだけの欠陥魔法を使って安全を確保するぐらいしか選択肢がないのだ。


「拷問しても無駄じゃろうよ。よく教育されておるし、まず口を絶対に割らないからな」

「そうか...話を聞くぐらいは良いだろう?」

「口は割らなくても、多少の会話は出来るはずじゃ。だが、あくまで多少の会話だけじゃ。どちらにしろ、逃げられる」


 貫禄のある爺さんと、隣に立って喋る筋肉質の男は、手足首が魔法で拘束された一人の女性を見て言う。

 

「私、何かしたかしら。何故、指令官とカラーのお一人に拘束されているのです?」

「トボけなくても良いぞ。貴様はドイツの間諜だろう?証拠も取れている」

「あら、証拠だなんて...。ある訳ないじゃないですか。私、違いますもの」


 筋肉質の男は、拘束された美しい女性と会話する。惚気ている訳でもなく、真面目に話していた。


「そうか。なら良い。貴様は連れて行く」

「そうですの。詰めが甘いこと。もっと感知する技術を磨いた方が良いですわ」


 拘束された美しい女性は、筋肉質の男が立たせた瞬間、少し離れた場所に転移し、拘束を外した。


「嬢ちゃん、儂らをどうする気じゃ?その気があるなら直ぐに戦いを始めようじゃないか。」

「どうする?何もしないわ。本部と戦うのは面倒ですもの。ボス同士の対決が終われば決まるのですから、ここで行動しても意味ありませんの。それでは」


 美しい女性は、貫禄のある爺さんに微笑みかけて何処かへ姿を消した。


今日は少し短いです。

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