手紙
2日後、実来の葬儀中、夏輝は実来にもらったミサンガを腕につけ、ずっと指で握りしめていた。
祭壇に飾られた写真の中は実来はいつもの笑顔で、それが余計に胸を締め付けた。
大人の真似をしながら焼香をした時、箱の中で眠る実来はいつもの実来だった。
ただ寝ているようにしか見えないし、またすぐ起きて『肝試しに行こう』なんて言い出すんじゃないか、なんて思った。
葬儀が終わり、夏輝と恭介が指定された場所で待機していると、「相原夏輝君というのは、どの子かな」と見知らぬ男が訪ねてきた。
言われ、夏輝は「あの...相原夏輝は僕ですけど」と不思議そうに男を見た。
「....ちょっといいかな」
言われ、夏輝はどこか不安そうに隣にいる恭介を見て、恭介が優しく頷くと、夏輝は男の元へ。
「あの、何ですか」
夏輝が言うと、男は「僕は実来ちゃんの遠縁の親戚の者で、牧田と言います」と言った。
「あ、どうも........」と夏輝。
牧田は胸ポケットからハート柄の封筒を出し、夏輝に差し出した。
『なっちゃんへ』と書いてある。
「これ、実来ちゃんのランドセルに入っていたものみたいでね。警察の人に許可をもらって、君に渡そうと思ったんだ」
「...実来が、俺に?」
夏輝はそう言ってゆっくりと封筒を受け取った。
牧田は立ち上がり、「じゃあ、僕は戻るね。それは君が持っていてくれるかな。その方が実来ちゃんも喜ぶと思うから」と優しく微笑み、夏輝の元を去って行った。
夏輝は牧田の背中を見送ると、近くにあったベンチに座り、封筒を開けた。
中には便箋が1枚、2つ折りの状態で入っていた。




