駅で
ジリリリリリリリリリリ!!!
「っ!?」
目覚ましの音で跳ね起きるあたし。
学校に行くのが、怖い。
「休んでしまおうか・・・」
あんなに楽しみだった高校生活が、どんどん嫌になっていく。
「おはよう、パパ、ママ・・・」
でも、返事は返ってこない。
2人とも、いないから。
1人で朝食を作って食べた。
寂しい。
あたしは、いつも1人。家の中から忘れ去られたみたいに。
トーストにぬったイチゴのジャムが、いつもは甘いと感じるのに、甘酸っぱく感じた。
「いってきます」
私は家を出た。
「渚!!おっはよ〜!」
悠香が登校中、抱きついてきた。
「渚も7時8分の電車に乗るの!?ってゆーか、意外とウチら、家近くない!?どこに住んでるの?」
悠香の質問に少し戸惑った。
「あ、あたしは××町だよ。悠香は?」
「あぁ、ウチ?ウチは○○町!××町の隣町!!偶然だねっ☆」
「だねっ!」
あたし達の会話に間があく。少しの時間のハズなのに・・・ずっとこの間が続くのじゃないかってくらい、長く感じた。
「そっ、そういえばっ!!」
沈黙を破ったのは悠香。
「あのカッコいい人、森本君って言うんだって。下の名前は・・・」
下の名前は?
とあたしが期待していると、返ってきた言葉は、
「知らないけど。凄くない?ウチが自分で調べたんだぁ♪」
だった。
名字くらい、あたしだって、知ってる。
「ウチ、話しかけてみるから。」
えっ・・・悠香・・・話しかけちゃうの?
「・・・そ、そぉなんだぁ!!凄いね!あたしも一緒に・・・」
「いいっっ!!」
話しかけてあげようかって言おうとした瞬間、悠香の口から発せられた強い断りの一言。
一瞬、何を言われて、自分がどんな立場に置かれているのか、あたしには分からなかった。
固まってしまったあたしを見て、悠香は慌てて、あたしに、
「ごっ、ごめんね!?ちょっと家で色々あって、今日はなんだかイライラしてたの!渚に八つ当たりなんて、ウチ・・・最低だね!アハハハ!!」
びっくりした・・・あたしが森本君のことが好きなの、悠香にバレたのかと思った・・・。
「渚、やっぱね、話しかけるの、渚に付いてきてほしい・・・いいかな?」
悠香が頼んできた。
あたしの答えは、決まっていた。
「当たり前だよっ!!」
「渚・・・ありがとう」
「何よ〜〜?なんか調子狂う〜(笑)」
「って!!何こんなトコで立ち止まって話してんのウチらは!!」
時計をみると・・・
7時9分・・・
「で・・・電車。行っちゃった・・・よね??」
悠香の言葉、疑問形だし。
・・・あたしに聞いてるのかな・・・?
何て答えよう?行っちゃったでしょ、とか、そんな事ないよ、とかこたえればいいの?
とか何とか考えてたら、なぜかあたしはとっさにテキトーに答えていた。
「多分ね・・・次の電車まで待つかぁ」
「あの・・・渚?次の電車は・・・1時間後だよ??」
「えッッッ!?マジでぇ!?」
あたし、驚きを隠せない。
「ど〜する?遅刻しちゃうよ!?」
悠香が顔をニヤつかせながら聞いてくる。
・・・嫌な予感。
「渚!!学校サボっちゃお♪1日くらい、いいじゃん♪」
あの、あたし、まだ何も言ってないんですけど。
てゆーか、学校サボったってパパとママに知られたらどうすんの。
「え、え〜?悠香ってば森元くんに話しかけるんじゃなかったの〜??行こ〜よ学校」
「え〜?やだぁ♪冗談だよぉ?恥ずかしいじゃん?ま、どーせ怒られるんだから、遊ぼぉよ♪」
嘘。森元君のことは理由じゃない。
本当は・・・
親に知られるのが怖かったんだ。
卑怯だよね?あたし。
結局は自由になれないあたし。
弱虫でズルいあたし。
その証拠に悠香が森元君に話しかけないって言った時、ホッとする渚もいたよ。
悠香みたいに素直で純粋で強い悠香みたいになれたら、どんなにいいだろう・・・。
だれか、助けてよ。
あたしを、この世界から、消して―・・・




