第10話 遠征
どうも、Rowun☽です。
第10話を読みに来てくださりありがとうございます。
今回は遠征任務が描かれる回になっています。
ロムの戦い方や、戦闘中のやり取りにも少し注目していただけたら嬉しいです。
それでは、第10話をどうぞ。
翌朝。
まだ日が昇りきる前、俺は指定された場所へ向かった。
既にエルダ教官はそこにいた。
「来たか」
「はい」
軽く敬礼する。
「準備は」
「できています」
エルダ教官は頷く。
「今回の任務は小規模な敵拠点の制圧だ」
やはりか。
昨日見た地図の場所だろう。
「正面からは入らない」
「裏手から、ですね」
俺が言うと、エルダ教官は少しだけ目を細めた。
「……理解が早いな」
「地図を見れば分かります」
本当はもっと色々分かっているが。
「行くぞ」
エルダ教官はそれ以上何も言わず歩き出した。
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目的地まではそれなりに距離があった。
だが無駄な会話はない。
静かな移動。
足音すら最小限。
……やっぱり、この人強いな。
歩き方一つで分かる。
隙がない。
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やがて。
敵拠点が見えてきた。
木々の隙間から様子を伺う。
門には兵が5人。
武装もそれなりだ。
「……どう見る」
エルダ教官が小さく言う。
「正面は陽動ですね」
俺も小声で返す。
「裏手は手薄に見せて、警報の可能性が高い」
エルダ教官がこちらを見る。
「理由は」
「この規模で入口に戦力を集中させすぎている」
「普通なら分散させるはずです」
「つまり見せてる」
一瞬の沈黙。
「……いい読みだ」
エルダ教官は小さく言った。
「なら?」
「正面を無視して、さらに外側から侵入」
「もしくは一度陽動して、別方向から入る」
「……任せる」
エルダ教官がそう言った。
……いいのか。
新兵に。
「了解です」
俺は軽く頷く。
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数分後。
俺たちは拠点のさらに裏側に回り込んでいた。
警備は――
やはり少ない。
だが。
「……いるな」
「はい」
気配はある。
隠れている。
「やるぞ」
エルダ教官が低く言う。
「はい」
俺はナイフを構えた。
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一人目。
草むらの中。
気配を消して近づく。
背後から首に手をかける。
――落とす。
音は出さない。
二人目。
木の陰。
振り向くより早く、ナイフを喉元へ。
気絶させる。
三人目。
少し離れた位置。
……気づかれた。
「誰だ!」
声が上がる。
だが。
遅い。
踏み込む。
一撃。
沈黙。
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「……終わりです」
俺は振り返る。
エルダ教官がこちらを見ていた。
「……無駄がないな」
「慣れてるので」
嘘ではない。
「行くぞ」
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内部へ侵入する。
だがその瞬間。
ビィーーーッ!!
警報が鳴り響いた。
「……やっぱりか」
「囲まれるぞ」
エルダ教官が言う。
奥から兵が走ってくる。
数は――10以上。
「多いですね」
「問題ない」
エルダ教官が前に出る。
「俺が前を抑える」
「お前は――」
「横から崩します」
言葉を遮って答える。
一瞬だけ視線が交わる。
そして。
「行け」
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戦闘が始まる。
エルダ教官が正面の兵を引き受ける。
その動きは圧倒的だった。
無駄がない。
強い。
……でも。
遅い。
俺は横へ回る。
気配を消す。
一人、二人。
気づかれる前に落とす。
残りが混乱する。
「どこだ!?」
「見えない!」
パニックになる。
その隙を突く。
一撃。
また一人倒れる。
気づけば。
残っているのは数人。
エルダ教官が一気に距離を詰める。
終わりだ。
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「制圧完了です」
俺が言う。
エルダ教官は周囲を確認する。
「……ああ」
短く答える。
だが。
その視線は、少しだけこちらに長く向けられていた。
「どうかしました?」
俺が聞く。
「……いや」
エルダ教官は首を振る。
「想像以上だと思っただけだ」
「そうですか?」
「……ああ」
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帰り道。
エルダ教官は少しだけ歩く速度を緩めた。
俺の隣に並ぶ。
「ロム」
「はい」
「お前は――」
少し言葉を切る。
そして。
「何者だ」
……来たか。
俺は軽く笑う。
「ただの新兵ですよ」
そう答えた。
エルダ教官はそれ以上追及しなかった。
だが。
その視線は、確実に変わっていた。
【あとがき】
第10話を読んでくださりありがとうございました。
今回は少し動きのある回でしたが、いかがだったでしょうか。
ロムの実力や、エルダとの関係にも少し変化が見えてきたかなと思います。
ここからさらに展開していきますので、続きも楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからも応援していただけると励みになります。
それではまた次のお話で。
またね。




