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仄かに私を隠したのは誰?  作者: 狛烏賊
わたしのハジマリ
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6. 少女としての買い物

「わぁ!なんかすごい!」

 

 これがこの店に入っての開口一番だった。


「え!?いや、普通だと思うよ。」


 当然である。何て言ったってこの店はそれなりに品揃えもよく、人気のあるお店であることには変わらくないものの、至って普通の規模の洋服屋さんなだけである。

 しかしこの少年、、、いや今は少女なのか、、、は普段あまり洋服屋さんはおろか買い物に行かない。たまに買う洋服さえもユニ○ロで適当に揃えてきたのだ。そんな彼女からしたらこういう店は新鮮だったのかもしれない。


 ここで語り手を萩斗に戻させてもらおう。




 なんかすごいなと思った。普段あまりこういうとこ来ないから少し興奮してしまう。


「お姉ちゃん、こっちの方だと思うよ!おいで!」


「あ、うん。」


 これだけ見ると妹に連れられた姉、という不思議な構図が出来上がってしまうがこれはしょうがないだろう。

 ただでさえこんなところにはほとんど来なかったのだから、当分は涼香に任せようと思う。


「ちなみにどんな服買うの?大体イメージあるなら置いてある場所たぶんわかるから…」


 買いたい服、か、、、


 正直言わせてもらうとかわいいワンピースとか上としっかり合わせたスカートとかそういうコーデをしてみたい。要するにガーリーな感じのふんわりとまとめてみたい。もしくは軽く崩した程度の服装とか、、かな。


 なぜかと言われると困る。母に一先ずこの事態を隠す、と言われたからでは決してない。ただシンプルにかわいくなりたい、と本能的に思ってしまっている、というか。


 少なくとも折角女の子になってしまったのだから、どちらかというとボーイッシュというよりはガーリーな感じでかわいくまとめてみたいというのが本望なのだと思う。

 でも、これ言ったら絶対引かれるだろうしな、、、


 それでもこういうとき俺は素直に言ってしまうのです。 


「え、えっと、折角だし普通にワンピースとかそういうガーリーな感じとかあとはカジュアルにまとめてもいいかも…」


「え、ちょっと待った。いや、なんでそんなに決まってんの!?」


 妹から不本意な突っ込みを受けたのだが、、

 第一イメージがあるかを聞いてきたのはお前だろ!といってやりたい。まぁでもその突っ込みもよく気持ちもよくわかるが。

 それを想定した上で言ってしまた面もあるし、、、


 ……でもこれはどう返すべきか。素直に理由を答えれば絶対に引かれるだろうな。うーん。


「えっと、それはさっき母さんとかと一先ずこの事態を隠すって話になったじゃん?だから、だよ、うん。」


 とりあえず建前はこんな感じにしてみました。なんか言い方が不自然になった気もするけど、嘘ではないから問題ないだろう。


 ………本当でもないけど。


 その言葉を聞いた涼香は明らかにこちらを訝しんでいる。まるで覗き込むかのようにこちらを見つめている。しかし、あるとき小さく息を漏らすと、お、、私の手を取って言った。


「そんな理由ならボーイッシュでも問題ないんだけどね。まぁ、とりあえずこっちだよ。たしか。」


 そう言いながら私をもう少し奥の方へ引っ張っていった。気づいたら周りの色合いが白から桃色に変わっていた。逆にさっきまでピンク色に近かった照明は完全に白色になっており、ある意味バランスの取れた色になった。


 

「うん。合ってた。この辺が一番サイズ的にも合うはず。じゃあすずは勝手にお金余ったら買うの探しているからなんか見つけたら持ってきてね。」


「え、いや。ちょっと待った。てか、そもそも私の服買いに来たんだからその発想はおかしいでしょ?」


「でも、お母さんいいって……」


「いや、渋々って感じだったでしょ!?あれは。とにかくせめて私のチョイスが変じゃないかくらい見てくれないの?」


「えぇ、、」


「お願いします!」


「しょうがないなぁぁ。。」



 この図、周囲から見ればどっちが姉かわからない仲良し姉妹である。外から見ればこの二人に朝あんな事件が起こったなどわからないだろう。というかそもそもこんなこと起こる方がおかしいのだが、、

 とにかくどちらが姉かを決定するに難があるのである。


 話を戻そう。

 とりあえずすずは嫌々ながらも少なくとも俺の服を買うまでは一緒に見ていてくれるという。しかも予想外なことに俺を着せ替え人形にする気は全くないらしい。まぁあとでそうされる可能性は十分あるが、少なくとも今すぐということはないらしい。


 それともかく。


 俺はすずが近くにいるうちにいくつか目ぼしい商品をリストアップし始めた。のだが、そもそもサイズがわからない。確かにすずに身長が低くなっていると指摘されたから。というのもあるが、説明をし忘れてたが心なしかあしまでもが小さくなっていたのだ。

 よって靴はすずの1つ前の23.5のものを借りてる。もとも24.5だから身長に比べればこちらはそんなに変わってない?のか。これに関しては靴を買うときに。


 とにかく、そんな理由で右往左往していた俺にすずは呆れたらしい。彼女は俺の服をとって、背中に合わせてサイズを決めるからおとなしく立っとけ、と。


 なんだかムカつくがこればかりはしょうがない。おとなしく涼香に委ねることにした。もともと160くらいの服を着てたためそれから合わせることにしたのだが、、


「うーーん、、少し大きいかもね…」


「いや流石に嘘でしょ?」


「本当ですけど?」


 衝撃の事実である。いや今までも160、要するに大人物のSくらいかな、、でもそれなりに余裕があったのだが。まさか160が明らかに大きいと、言われるとは思ってなかったのだ。


 この涼香の目には涼香の予想していた以上に身長低いんじゃね?といった疑いが浮かんでいるように見えるのは気のせいではないらしい。


 次に150。


「うん、こっちの方がちょうどいい気がする。うん。女の子で中二だからこれ以上伸びないことも考えると1つ以外全部150のでいいんじゃないかな、」


「マジですか。」


 147あるかわからないのにこれ以上伸びないとか本当にやめてほしいんですけど。女子にしろ男子にしろこれは低すぎませんか。これだとうちのクラスの一番小さな女子はおろか、それよりも小さなチビよりも低いじゃないだろうか。



 ………



 それは嫌だな。うん。



 もう一度涼香と見比べてみるとああなるほど。思ったよりも身長差がない。少なくとも昨日までと比べたら身長差ない気もしなくもない。すずの身長が伸びただけと是非信じたいところである。が、現実は無情なものなのだ。


「とにかく150のを選んだら?」


「あ、はい。」


 その言葉で現実に戻った俺は一先ず先ほどリストアップしたワンピースを一先ず手にとって体に合わせる。すずに言われた通り150のやつを合わせてみるけど割りと余裕がある。それを感じてつい軽いため息をついてしまう。150が合うとか笑えないんですけど。

 でもまぁしょうがない。とりあえずそれを買い物かごに入れて、ほかにもいくつか合わせてみて良さそうなのを選ぶことにした。

 その結果、白色のTシャツに灰色のスカート、こちらも白いブラウスに明るいピンク?のロングスカート。さらにショート丈の白に近い色のブラウスと茶色っぽいガウチョパンツをチョイスした。さらに春なのでデニムジャケットとカーディガンを加えて、気温の調整はできるようにしといた。最後に述べた二つ以外はすべて七分の袖。さらに、因みにトップスには何かしらのロゴがどれにも入っており、一セットを除いてすべて150もしくはそれに相当するやつ。そのもう1つは160。一応少し大きいのも1個買っとくべきだと思ったからだ。

 まぁとりあえずこんなもんで大丈夫なはず。これで4セット。つまり、言われた通り4日分はあるのである。


 それを近くで別の服を見ていたすずに見せる。この間すずは俺に全くなにも話しかけてくれなかったのだ。でも近くに居てくれただけで十分だ。こんなところで一人にされたくない。


「うわぁ、、、随分バリュエーション豊かだね…」


「これって変…かな…?」


「いや、むしろよくここまでいい感じのコーデ作れたよね、。まぁ確かに随分と真剣にみていたみたいだけど」


「そこまで!?」


「だって一時間はないけど30分は余裕で掛けてたじゃん。」


「えっ!?」


 腕に近くにたまたまかかっていた時計のはりをみると確かにここに来てから50分近くは経っていたらしい。そこまで服選びに熱中していたのか、と自分に呆れる、、。

 てか、よく涼香もこんな長い間俺になんも言わずに黙っていられたね、、。まぁ確かに別の服を見てたみたいだけど、近くにいてくれただけである意味すごいぞ。個人的には感心ものだぞ。

 そこで予想外な一言。


「すすが勝手にそっちのエリアに行って服選んでも気付かなかったからよっぽど集中してんだね、、」

 

 今の俺の感心を返せ!それに気づかなかった俺も俺な気もしてくるのがなぜだかムカつく。


 そんな俺の抗議の視線を物ともせず、すずは俺の袖を引っ張ってきた。


「じゃあ、試着しに行こっか」


「へっ!?」


 予想外な言葉に変な声が出てしまった。いやだってもう大体決まったんだからよくないですか?


「いや、普通するよね。うん。それにお兄ちゃんの場合初めてなんだから背中では合わせてみたけど、一応着といた方がいいって。絶対。」


 確かにごもっとも。面倒くさいけどしょうがないね。着せ替え人形にされることはさすがにもうないだろうし、ね。

 というわけで、俺はおとなしくすずに袖を引かれて試着しに行くことになった。


 結論から言わせてもらうとどの服も少なくともサイズ的には合っていた。160は少し大きかったけどなんとかなった。また、すずからも結構好評だった。


 なぜ結論から紹介したのか、と言われると困るのだが。要するに全部説明するのが面倒くさいのだ。すずの着せ替え人形にされるようなことはなかったが代わりにすずがいちいち「かわいい」と言ってしまえば一言で終わるのにも関わらず何かしらの感想を述べるのだから。

 他には正しい着方?みたいなのがわからないのが1個あってすずに笑われたくらいで特に面白いことはない。

 そういうわけで試着の諸々は割愛させて頂くものとする。



「いやお兄ちゃん、割りとセンスあって驚いたよ、てかなに?女の子の洋服のことなんであんなにわかんの?普通はあそこまでバリュエーション豊かにしかもかわいい組み合わせではできないと思うよ?」


「知らないよ!ってか逆に俺はすずにそう言われるという事態に驚いているよ?」


「俺?」


「私。ってか、すずも!」


 結局チョイスした服はすべて購入。計13000円しない程度。すずは自分の服を買うのを断念してた。とりあえず今は白Tに灰色のフレアスカートという組み合わせに着替えている。すずから借りたワンピは袋にしまってある。


「あ、しまった!……それはともかくとして。あんなかわいい服をここまで着こなせちゃうなんて反則だよね。しかも身長小さくて私がお姉ちゃんみたいに見えるし。」


「いや、それはないでしょ!少なくとも8センチは差があるはず……だし、」


 そんな他愛もないような会話をしながら、今お、、、私たちは例の洋服屋から出て、、なんだっけ。ラジェリーンショップだっけか。ランジェリーショップだっけか。とにかくそんな舌を噛みそうな名前の店へと向かっている。もちろん、すずに手を引っ張られながら、だ。なんでもそこで下着を買うらしい。面倒くさい。ユニ○ロとかじゃダメなのかな…、というかさっきから同じ道を歩いてマップ図を見る回数がやけに多いような、、


「ねぇ、すず?」


「うん?」


「もしかしてだけどさ、、」


「迷った?」

「迷っちゃった…かな…?」


 ほぼ同時。少なくとも最初の「迷っ」はハモったよ。てか、こいつ人の手を勝手に引っ張っておいてなんなんだよ!

 すずもこっちの半ば呆れたような顔をみて、言い訳する。


「だってすずも行ったことないし。これこそお母さんが連れてくべきなのに」


 涼香も行ったことのないところに涼香に連れてかれるという状況に軽く驚きをもつ。

 わからないならすずに命ずなという突っ込みを一瞬しようとなる。が、一応元は男だし母さんに付いてこられるのは恥ずかしい。だからと言って一人で行ってもなんかあれだし、それに考えてみれば母さんとすずも似たようなもんだけどそれでも母さんよりはマシだからこれについては許すしかないね。付いてきたのがすずでよかった。うん。


「うーん。えっと、、あっ、わかった。こっちだよ!」


 そういって再び腕を引いて歩きだすのだが、、


 

 あれ?下着屋さんってことは、、 



 ……採寸とか、そんな感じのなにかがあったりすんの?


 嫌なんだけど。今さら気づいた萩斗くん(?)だったのでした。


  ※


 例の下着屋さん、思っていたよりはマシでした。普通に胸触られたりとかされるかと思って嫌だったけど。わりとそうでもないらしく、普通に服の上から測ってくれた。たぶん今日一番の驚き。


 裸になるもしくは下着の上から測られると思ってたもんだから。だからこそ涼香の下着を借りる羽目になったのではないかとも思ったし。


 じゃあなんですずの下着まで借りる羽目になったのかと思ったけど、今着ている服は春物でそこまで厚くないから上の下着は透けて見えちゃうからだと感じた。確かに確率は低いと思うけどバレちゃうかもしれないことを考えると懸命な判断だったかな。


 すずはというとすずも初めて来たっていうのは本当らしくちょっと困ったようにオロオロしていた。お前はいずれ来るようになるんだろ!と突っ込んでやりたい。


 やっぱりショップに入ったときはすごい恥ずかしかった。一応中身男なだけあって罪悪感もあったし、なんだか入りづらい雰囲気だったのもある。しかし、店員さんも優しくてなんとかなった。


 それで上下合わせていくつか買ったのだけど、店員さんにもし少しきつく感じたりしたらまた来るように、と言われてしまった。嫌、というよりは面倒くさい。


 ここで残り1200円強程度残ってる。女子の買い物はもっとお金がかかるイメージがあっただけあって驚きを隠せない。それとも今回が特別安かったのか、、まぁいいや。


 

 もともとあと靴を買うつもりだった。しかし、いや予想通りというべきか。お金が足りなそうである。個人的には下着すら買えないのでは、と思っていたから随分と安くすんだな、という感覚なのだけど。


 因みにすずもさすがに靴までは買えないと思っていたらしい。何を思って服、下着、靴、すべてを買うお金を20000円にしたのか我が母の判断に疑問が残る。


 しょうがないので二人の判断によって1度母さんと合流してから靴を買いに行くことになった。母さんに電話するとすでに買い物は終わっていたらしく、靴屋の前にあったエスカレーターの脇にて合流することになった。


 5分後、無事交流してすぐに靴屋に歩もうとしたのだが、母とすずはなにやら俺に関する話を始めて動かない。


「萩、随分かわいいの選んだね…」


「でしょ?他のもいい感じなんだよ?」


 これがあってすぐの会話。そこまでかわいいものを選んだつもりは……ない、、とは、いえない。むしろかわいくて今の俺に似合いそうなのを選んだところはある。


 …話を変えたい。そう思い、この会話をどう区切り付けるかつい考えてしまう。


「え、もしかしてなんか気にしてる?」


「あぁ、そんなつもりなかったのね。ごめん、」


「あ、うん?あ、大丈夫だよ。」


 俺の微妙になっていたらしい顔を見て、すずが変な勘違いをしてくれた。おかげで会話が切り替わってくれた。ありがと。感謝しかないです。今度さりげなくおやつをゆずってあげよ。

 

 とにかく、折角すずがくれた話題を切り替える好機。個人的には歩き疲れたのでさっさと帰りたいところ。そういうわけで、


「てか、さっさと靴買って帰ろーよ!眠いし、つかれた。」


「あぁ、一応病み上がり?だったしね。さっさと靴選んで帰ろうか。」


「えぇ!?すずはここでご飯食べてきたい!」


「ごめんムリ!さっさと帰ってゴロゴロしたいの!」


「すず。お兄ちゃんは朝まで熱あったんだから。」


()()()()()だよ!」


「あ、そうね、、気を付けないと、。」


「全く、結局すずは洋服も買えなかったしお昼すら外食できないとか、、」


 以下略しよう。このあともつらつらと涼香は文句をいい続けたが、結局俺は23.5の白いろのスニーカーを買ってすぐに帰ることに成功したのだった。


 


 帰り道、なぜだか俺は頭がクラクラしていた。熱は朝、家出る前に計っても完全に平熱だった。にも関わらず、だ。デパートを回っているときは平気だった。まだ午後2時を回っていない。そんな頃合いに再び熱が出てしまったような感じ。


 家に帰ったらすぐに昼食も食べずに、自分の部屋にはいって寝ることにした。その頃にはすでに朝よりは酷いくらい体調が悪化していた。


 母さんとすずにはすでに車のなかで体調が悪いからとりあえず自分の部屋で寝ると伝えておいた。そのときの彼女らの反応は忘れた。考える余裕もなかった。


 布団のなかにはいった。少し楽になった気がした。少しすると母さんが再び氷枕を持ってきてくれ、なにか2、3言話した気がしたが、何をいってたか覚えていない。


 記憶にあるのはここまでたった。ここから先は覚えてない。いつ頃寝たかもわからない。ただ、、。


 

 このときの俺は知らなかった。知れるはずがなかった。



 次起きたとき世界が変化していたことを。


ーーーそして、、



 萩斗という、ただ一人のその少年の存在が消えていたことを、、、



 知るよしもなかった。これが物語の始まりとなることも。

次回から話が急展開する予定です。また、どこかでこの閑話としてこの話と前回の涼香視点を書けたらいいなと思ってるので良ければ読んでください。

正直変な書き方とか多いと思うので教えてくださると嬉しいです。

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