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イマジナリーフレンド  作者: かず。
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4. 少女は何を聞いたのか(噂話には魂が宿る)


ききーっと自転車のブレーキの音がなった。振り返ると、そこにはまだみなみさんがいた。なにか忘れていた用事でもあるのだろうか。こんな、私に?


「きな子はさ、聞いたことある?こんな噂話」


正直私は噂話が苦手だ。だからといって切り上げるのも苦手で、それに私はどうしようもなく孤独で。そのまますぐに立ち去らず会話を続けてくれている彼女へのありがたみも感じている。こんな私に。だから、私はその話を聞くことにした。現代語で言うならば、リア充と非リア充の邂逅である。いや、邂逅じゃない。向こうからすれば、ただ何と無く懐かしい顔を見かけたからついでにって感じなんだろうけれど。


「この街ってさ、どこか閉鎖的なところがあると思わない?都会の隅っこでひっそりと、そこだけ都会から外れた人が密集しているっていうかさ。なんか怪しい宗教とかもあちらこちらにあるしさ。廃墟とかも多いじゃない?私達にとってはそれが当たり前になってるけど......他の街からの評判って、結構怪しい談が多いらしいよ」


そうだろうか。私は別に、この街のことをただの郊外としか認識していなかったので、感覚の齟齬を感じた。怪しい街......かなぁ。


「えーっと、それで、そんな私達の住んでる街の話はまぁ置いておいて。あのさ、この街には時々、どこか知らない景色の映った水晶玉が落ちてるんだって。それを拾うと、その水晶玉の中に吸い込まれていっちゃうとか何とか」


あぁ、それなら私も聞いたことがある。その水晶玉を拾うと、水晶玉の向こう側の景色とこちらの景色が入れ替わって、一生こっちに戻れなくなっちゃうっていう、確かに怪しい談といえば怪しい、この街で結構広まっている噂話。それのことか......女の子は噂話が好きだからなぁ。私も女の子だけど。


「それにね、その水晶玉には物凄い念が封じ込められているって話だよ。黒髪の童女の目撃証言とかもあってさ、水晶玉から手を伸ばして、彼方に引き込もうとするんだって。まさに、怪しい談だよね」


「童女.......は初めて聴いたかもです。うん、見つけても拾わないように気をつけるね」


「ダメ!って言われると触りたくなっちゃったりするのが私だから、私が注意しなくちゃか。触らぬ神に祟りなし!それじゃね、きな子」


そうして、みなみさんはまたチャリンコを、今度はブレーキをかけることなく飛ばしていった。あー、誰かとこんなに会話したのって久々だな。私、ほとんどなにも喋ってないけど。街のことやら水晶玉のことやらを聞いて、なにか約束でも交わすわけでもなくバイバイ。なにを期待していたんだか。大体、そこで一緒に過ごすことになったとしても、私は心を開けない、どうせ下を向いているだけだ。私は自販機の前に備えられていた灰皿の前でタバコに火をつけて、そのまましばらくぼんやりとしていた。水晶玉。実は、この前道端で拾ったまんま部屋に放置しているのだ。帰ったら見てみよう、と、本当になんとなく、私はそう思った。それがあちらへの入り口のドアノブにもう既に手をかける行為だということには、まるで気づかないまま。


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