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イマジナリーフレンド  作者: かず。
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2. 少女は何をなくしたのか


外に出た。

......引きこもりだって自称していた割にあっさりではあるが、引きこもりだって年がら年中どこにも行かない訳ではないし、私の場合、「親が食事を用意してくれます」みたいな引きこもりにとっては贅沢すぎる環境に身を置いているわけではないので、買い物なんかは自分でせざるを得ない。だけど今日の用事はカウンセリング。引きこもりな私をどうにかして街に繰り出させよう!って意気込んで.....るわけでもなく、一患者としてカウンセリングを受けに行く。そこで小一時間私は思いの丈をぶつけて、カウンセラーの相槌を見ながら、あー人ってやっぱり一人なんだなぁとか思う。だけどやっぱり人肌恋しい私は、カウンセリングを受けに行く。

一時間後。

私は宇宙について考察してみることにした。ビックバンによって「なにも無いすらない」から有が生まれ、多分そこで地球の歴史上初めて「ある」という概念が生まれ、なんやかんやあって奇跡的に地球という星が銀河系の中に突如出現し、そこは無限という果てしなく大規模な確率の中で唯一生物が存在することが出来る星であり、私達はそんな無限大の中で、常に無と有の中で当たり前のように息を吸っては吐いている。それってとっても神秘的で、私には怖い。ポジティブに解釈するのなら、人間いつか死ぬんだから楽しくやろうぜ!なんだろうけど、私の場合はいつか全部が無になるんなら、記憶もなくなっちゃうんなら、生きてる意味ってなんなんだろうなぁとか考えてしまう。街を行く人も、政治家も、外国のお偉いさんも、ホームレスも、学生も、ぜーんぶいつかは銀河の藻屑と化すんだよなぁ。生きているって不可思議だ。時々そう考えるとポジティブにもなって、恥ずかしさみたいなものがなくなるときもある。だけどやっぱり、くそ、街ゆく人の笑顔は胸に刺さる。

こうして私のこじらした哲学は終わった。

ちなみにカウンセラーに言われたことは、あんまり深く考えずに、だ。深くも浅はくも、そんな一言でなにかが変わるなら薬なんて要らない。

私はカウンセリングついでに処方してもらった安定剤を緩い缶コーヒーでお菓子感覚で飲み込んだ。中毒.....だよなぁ。ちなみに私にはどうやら積年の空っぽが災いして抑うつという厄介な付き合う相手が出来たらしい。抗うつ剤。これは缶コーヒーでお菓子感覚ってわけにもいかないから、ちゃんと飲まなくちゃな。それより、お菓子感覚って。依存!依存!依存!。人は弱い方に流れて行く。いつかのわたしがまた目を覚ましそうな気がして、私は缶コーヒーの空をゴミ箱に放り込んだ。


「あれ?きな子じゃない?」


私の名前を呼ばれたので、めちゃくちゃびっくりした。何年ぶりだ?しかもきな子って、高校時代のあだ名だし。声のきた方を見る。


「よっ」


そこにはみなみがいた。短髪で、頭に黄色いカチューシャを付けている。赤いパーカーに傷物のジーンズを履いている彼女は、なんだか男らしかった。彼女は、高校時代のクラスメイト。私とはあまり縁のない、誰にでも話しかけるようなタイプの活発な女の子だ。


「......みなみさん、お久しぶりです」


深々と頭を下げる。

......と、思い切り笑われた。確かに、同い年相手に深々と頭を下げる理由なんてないんだけど......治らないんだよなぁ、この自分を下にする性格。んでもって、内側はどろどろしてるところとか。


「相変わらずなにかに悩んでる〜って顔してるね、きな子は。」


「それを言うなら相変わらず元気いいなぁ...みなみさんは」


どう?大学卒業してからの生活は?彼氏とか出来た?お友達はいるの?

そこからの質問ぜめは地獄だった。私はあなたみたいにはなれない。だから深々と頭を下げるんだ。どろどろとしたものが溜まっていく。空っぽは埋まらない。こんな世間話で、私は明るくなんかなれない。早く終わって欲しい、と思いながらもなんとか笑顔な私だった。


「ほいじゃ、まったねー!」


「......うん、また!」


私は不甲斐ない。それを思い知らされて、しばらく呆然としていた。自堕落!自堕落!自堕落!。あぁ、温もりが欲しい。私って...............誰なんだろう。


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